「発明塾®」へようこそ!: 塾長の部屋(38)~「毎週教会へ行く」ことの意味

2013年3月3日日曜日

塾長の部屋(38)~「毎週教会へ行く」ことの意味

 今週は土曜日が「合宿」だったので、日曜日も仕事をする(注)ことになりましたが、僕は基本的に、土曜日は仕事をして、日曜日は仕事以外のことをする時間にしています。

 仕事以外のこと、で一番重要なことは「自分にとっての教会へ行く」ことと、そこで「自作の聖書を読む」ことです。クリスチャンに怒られそうな比喩ですが、精神的に隔絶された場所で、原理原則を確認する作業は、毎週程度の頻度で行うことが必要だと、今更ながら感じます。

 たまたまですが、僕の「聖書」にも「旧約」と「新約」があり、この2冊を必ず通しで読む(新約→旧約と)ことが、日曜日の日課です。ちなみに「新約」は、たまに平日にも読みますが、旧約は日曜にしか読みません。

 喩え話なので、意味不明だと思いますが(卒業生には、OB会で説明します)、その「聖書(どちらかと言うと旧約)」の内容の一部を、塾生がまとめてくれていますので、公開することにします。彼は大学2回生なのですが、ここ最近、成長が著しいメンバーの一人です。将来が非常に楽しみです。


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「成長の方法」

1.リバる(形式知化できていない能力(知)・方法を抽出すること)(暗黙知→形式知の方法論)
キーワード:「確信」

(1)人(自分、他人)をリバる
・すごい奴をターゲットにする(客観的結果により評価)
・総合能力を因数分解する。各能力をラベリングして実体としてとらえることがカギ。
・因数分解の後はいつもの引き算。目的に応じた競合を設定し、差異を求めることで、本質が分かる。
・自分が形式知化できていない能力まで、仮説的に定義することがポイント。
・自分がすでに形式知化できている能力を再び学ぶ必要はなく、学ぶべきだが分からないものを仮説的に定義している。
・自分がまだ形式知化できていない能力についての参考文献(ググってもOK)を見つける。これまでに構築されてきた理論をまず学ぶ。
・自分の経験だけをもとに知(能力)に気づく行為は、すでに体系化されている知ならそれは再発明しているだけでコストの無駄であるから、推奨されない。
・ラベリングできた時点で、その能力がどこかに形式知として存在しているという仮定を前提としている。
・経験値に比例して知をだんだん正確に定義できるようになるので、理論と実践の両方から攻め、常に能力をラベリングし直し(仮説を立て直し)、それに基づいた実践(検証・証明)を行うべきである。最初に、暗黙知を形式知としてとらえるには最低限の経験が必要である。
・全てのことにおいて、(情報の整理、)仮説、検証・証明を繰り返しながら確信をもって意思決定していくことは基本。

・暗黙知…広くは単に形式知化(マニュアル化)されていない知。狭くは自分の中で形式知化されていない知。たまに、自分の中で形式知化されていないのに既に身体知となっているものがあり、これも暗黙知と呼ぶ。
・成長過程は「暗黙知→形式知→身体知」のイメージ。
・ひとつの能力をある程度得るためにかけられる期間の目安は3か月。何か学ぶときに読んだ方がいい参考文献の目安は3冊。

(2)過程・アウトプット(成功、失敗両方ありえる)をリバる
ターゲットを因数分解し、目的に応じた適切な他のものと差異をとる。成功/失敗との因果関係を明らかにする(検証/証明)。あらかじめ仮説を立てている(成功の状態を定義している)ことが前提。つまり、(情報の整理、)仮説、検証・証明のいつもの流れ。
・成功の因果関係は、成功する(確率の高い)選択肢として、方法論に加えておく。
・失敗の因果関係については、「ベカラズ集」に記録して、二度と同じ失敗を繰り返さないようにする。成功より失敗の方がむしろ重要。


2.習慣化(意識的に繰り返すことで無意識的な習慣にする)(形式知→身体知の方法論)
 キーワード:「徹底」

・意識しないと行えないことは、余裕がなくなり意識できなくなると行えなくなる。余裕がない勝負所で行えるようにするために、徹底して普段から意識的に繰りかえし、無意識でも行えるようにする必要がある。この必要性はスポーツをしているとよく分かる。
・また、習慣には良いものだけでなく悪いものもある。悪い習慣は意識的にしないようにし、徹底的に排除することが必要。

3.他
・目的があってこその成長なので、まずは目的を明確にすることが重要。
・成長もあくまで目的を達成するための手段。


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 僕の口癖である「確信(犯)」と「徹底」が入っているのが、ご愛嬌でしょうか(笑。

 結局のところ「形式知は、本という形で安く流通しているから、根本的な価値にならない。暗黙知の取得技術こそが、価値である」という理解が、塾生には有るようです。(取得「技術」がポイント)

 この背景には、「暗黙知の次元」(ポランニー)、「知識創造企業」(野中)、「学習する組織」(センゲ)、「フロー体験」(ミハイ)、「経営者を育てる」(菅野)、「ディープスマート」(誰だっけ?)、「完全なる経営」(マズロー)、「7つの習慣」(コビー)、あたりの理解があります(順不同)。

 これも、今後塾生がまとめてくれるようなので、非常に楽しみです。発明塾で日々やっているように、各大学でも、これらの本をテキストにした、「イノベーションリーダーシップ」の講義と演習をやると、とても実践的だと思います。


 「徹底的に読み、憶え、理解し、確信を持って実行する」


「リヒター指揮」版をよく聴きます


 そのためには、「教会」へ行く必要があるようです。ちなみに偶然ですが、私の「教会」では、常にバッハがオルガンを弾いています。


※ 注) クリステンセンは、彼のブログの中で「重要な原則は100%守るべきであって、例外は設けてはいけない(きりがないから)」と、この手の言い訳を厳しく戒めている。