「発明塾®」へようこそ!: 「極端」なことを考え、「考えられないこと」を考える~第334回

2016年6月19日日曜日

「極端」なことを考え、「考えられないこと」を考える~第334回

第334回は、部分的に楠浦も参加して、行いました。

「完全遠隔討議」


のメリットは、この辺にあります。いつもどおり18:00から討議してくれていたようですが、気になる話題のところで、仕事の傍ら「少しだけヘルプ」してあげることができました。


「”頭脳”が集まる時間を、どう、効率よく使うか」


今後も、掟破りの手法を、どんどん開発していきましょう。


組織運営について何を目指すべきか、マズローの一文を引いておきます。


「このように、仕事生活、すなわち生活のために収入を得る仕事を正しく管理すれば、そこで働く人間は成長し、世界はよいものになる。その意味で、この仕事生活の正しい管理はユートピア的、あるいは革命的なものといえるだろう。」

(「完全なる経営」A.H.Maslow より、他マズロー関連は コチラ にあり)

発明塾において、発明/創造活動は「組織を発展的に継続し、各自が糧を得て成長する」ためのものです。したがって、企業と同じ原理原則に基づき、
発明塾は運営されます。


さて、今回の討議で楠浦がアドバイスした部分は、


「極端を考える」


思考の典型的なアウトプットです。


「極端に大きな磁場の中で、精密に信号を送り続ける」


必要がある環境での議論でした。こういう


「極端」


な市場について、


「ニッチ」


だからといって無視せず、調べ、情報を蓄積していくことが重要です。いつも言う、


「エッジ情報」


の蓄積です。



この考え方は、発明塾で皆さんに話をする遥か前、部下を20名ほど指導する立場に立った時に行き着いた、


「コーチング」


の考え方に、ヒントを得たものです。


コーチング理論では、多くの場合


「選択肢の創造」


という段階を踏むのがよいとされます。その際、役に立つのが


「極端」「起こる/できるとは考えられない」


ことや手法を、まず最初に選択肢として挙げることです。


「ありそうなこと」ではなく「ありえないこと」


できれば


「両極端」


を、最初に、選択肢としてあげるのがBestです。


この「両極端」の考え方は、ある経営者の方(*)がインタビューで語っておられたことにヒントを得ました。経営上の重要な決断を行う際、かならず、「両極端」を考えるのだ、とおっしゃっていました。


また、「起こるとは考えられないことを考える」という考え方は、シナリオ・プランニングの生みの親「ハーマン・カーン」の著書から学んだことです。


もちろん、


前提を疑う


ためにも、極端を考えることは効果的です。一石何鳥かになります。



僕のノートの一つ、通称「ハンバーガー」には
多くの方の「言葉」が書き留められています。
ほぼ毎晩、開くようにしています。ざっと見返すと、例えば
アサヒビール 池田社長、TOTO 貴瀬社長、東京電力 木川田社長、
JR東海 松本社長、日本たばこ産業 本田社長、東芝 西田社長
(所属と役職は全て当時のもの、順不同、㈱省略)
のお名前と、当時の発言が書き留められていました。


このように、発明塾で用いている様々な考え方、手法は、その多くが、僕が


「技術者/経営者として仕事を成功させる」


ために必要になった知識を、発明/創造活動へ応用したものです。企業内「発明塾」の参画者の方から、


「発明塾で学んだことは、発明より、むしろ、普段の業務で役立つ」


と仰っていただくことが度々ありますが、それは、上記のようなところに理由があるのだろうと思います。



極端や、「普通」起こりえないことについて具体的に調べ、考えて、それを書留め、蓄積しておくことで、


「その時が来た」


時に、素早く動くことができます。投資は、タイミングが重要ですから、


「その時」


になってから調べていては遅いわけで、


「今は”極端”だと思われるが・・・」


の時点で、


「どういう条件が揃えば、投資するべきなのか」


まで考えておくことです。発明自体、頭脳の投資ですが、


「発明をものにする」


には、さらに「多額の資金 や 莫大な労力」を投じる必要があります。


「極端な発明」「常識破りの発明」


が、いつ


「投資に値する発明」


になるのか、その条件を定められるまで調べ、書留め、蓄積しておいて下さい。僕が、


「発明塾」


を始められたのも、


「15年以上の蓄積と構想」

コチラ、特に、甲斐塾 と DeepSprings Colledge を参照)



「良きご縁、タイミング」


が重なりあったからです。多くの経営者や事業家にお話を伺うと、やはり、足掛け15年、20年の構想で、というお話がよく出ます。


「今日の明日」「昨日聞いたネタを、今すぐ」


ではなく、


「5年10年、じっくり時を待つ」


つもりで、ネタを拾って下さい。今は、時代の流れ(クロックスピード)が早くなっていますから、それでも、意外と「数年後」に時が来たりするものです。時代の速度に負けないよう、できるだけ「先取り」しておきましょう。


「時代は加速する」

(特異点や、シンギュラリティーの話は別途)

ことを忘れずに。


時が来たかどうかを確認するために、


「日々の情報」


を活用しましょう。決して、


「日々の情報を見てから、それについて考える」


のではありません。


予測した未来が来ていないかどうか、その予兆をつかむ


ぐらいに考えておきましょう。日々の情報に振り回されると、ジリ貧になります。


「一度、ぶっ飛んだところまで考えておく」

「ありえないぐらいのことまで考えておく」

ことで、


「現在の情報を、未来から見る」


余裕ができます。発明塾でいつも、誰かが見つけてくれた


「ありえないような、ぶっ飛んだネタ」


を喜んで取り上げるのは、


「その後が楽になるから」


です。それ自体はなんてことないネタであっても


「未来の視点」(エッジ)


を、見つけ出すことができるのです。

(そして、多分、僕はそれが得意です)

「未来から見る」「投資家の視点」


を忘れないように。



ではでは、次回もよろしく。



楠浦 拝



* りそなHD の 細谷社長 の言葉(所属と役職は当時のもの