「発明塾®」へようこそ!: 発明塾@京都 第11回開催報告

2010年10月28日木曜日

発明塾@京都 第11回開催報告

@京都11回参加の皆さん、雨の中&寒い中お疲れ様でした。
急に寒くなりましたので、体調管理に気をつけてください。

さて、今回は3名からSRのドラフトが上がってきたので、それを元に討議しました。
1名は前日の晩に送ってもらっていたので、新幹線で移動中に楠浦の方で追記訂正しておきました。

事前に提出しておいてもらうとこういう事が可能になりますので、できるだけ事前提出してください。

時間いっぱいいっぱいまで、3名のSRにコメントし、また必要な図のイメージなどを固めました。
>3名の方、次回までに書き進めておいてください。その場で言った理由により、時間が経てば立つほど書くのは難しくなりますので、ここで一気に仕上げましょう。

いくつか質問があり、それに対してした話のうち、2つ取り上げておきます。

・特許と発明
よく「発明って広げたほうがいいのですか?」という質問があります。これは、皆さんそれぞれ特許のことにも関心が出てきて、少し調べたりすると「特許はできるだけ広くとろう!」なんてことが、モノの本に書いてあったりするからです。

で、どうか。

答えは、「特許と発明は全く別物、はっきり言えば無関係なものなの」

発明はできるだけピンポイントに絞り込んだものを考えることです。自分が理想的に実現したいアイデアは何か。具現化するには極限まで絞り込む必要があります。1つしか作ってはいけない、と言われたらどうするか、あるいは、量産するならどうするか、そういうふうに考えるといいでしょう。

特許制度というのはあくまでも法制度であり、法制度というのはツールに過ぎない、ということを理解してください。特許は目的ではなく手段であり、自分のアイデアをビジネスに活用する際に必要かどうか、必要ならどういう権利が必要なのか、そういうふうに考えるモノです。ちなみに、特許制度というのは、各国とも「自国の産業(発明、発明家、企業の総称)がグローバルに有利に展開できるようにするにはどうしたらいいか」を考えて戦略的に変更してきます。アメリカの例を見れば一目瞭然です。

特許はツール。

この分野の専門家はたくさんいますから、発想の段階でいちいち特許のことを考える必要はありません。(特許化されうるアイデア、という観点では考えておく必要がありますが、それは皆さん既に学びましたね)

まずは、自分がそのアイデアを具現化する際のベストな状態について、より具体的にピンポイントに掘り下げて考えてください。仮に広げたくても、中心がわからなければ、広げることは出来ません。


・発明は理解されるのか
これは、今回参加した塾生は、他の塾生のSRを見てわかったでしょう。他人の発明というのは、よほどきちんと説明できないと、理解されません。これは当たり前で、誰も考えたことがないことを提案するワケですから、読む側は通常そのアイデアに対して準備が出来ていません。

ですから、「如何に、理解してもらうか」が発明を具体化、具現化する上で重要なポイントになります。

 直感的な方法:図や表、写真などを用いる
 論理的な方法:式や言葉、論理で説明する

の他に、ある技術について、

 すでに存在する、広く使われている、応用可能である、実現可能であることを、引用文献などを援用して説明する

ことも重要になります。発明の本質部分とそうでない部分それぞれについて、メリハリをつけて説明することも重要でしょう。どうでもいいことに紙幅を費やせば、読み手はそこが重要なのかと勘違いする可能性が高くなります。

また、最後に英語の重要性も触れておきましょう。言うまでもなく、世界経済・科学・工学の中心言語は英語です。既に存在する資料も多くが英語であり(インパクトファクターの高い論文誌が日本語でいくつあるか、考えればすぐに分かります。ちなみに、私の分野で日本機械学会論文集は1.4ぐらいだそうです。)

資料も英語のほうが具体的で制度の高いものが出る場合があります。また、自分のSrが英語に翻訳されるということを強く意識してください。日本語的に「・・・・で・・・・で・・・・で・・・して・・・また・・・・・」とダラダラ書くと、誤訳の原因になります。まぁそもそもこういう冗長な日本語は、自分の頭が整理されていないということの証ですが。

一文でひとつの内容。簡潔に区切って、文と文の接続詞(因果関係)を明確にして書く。

他に、日本語の文献を引用する場合には、引用したい部分を抜粋して「」でSR中に引用してしまう、ことも勧めます。いちいち日本語の文献を参照してくれ、と言っても世界の人はそんなもの見ないでしょう。

世界を意識すれば、自ずとそうなります。ホントは英語で書くのがいいのでしょうが、それはそれで、思考に制限が出るかもしれません。(私もやってませんのでわかりません)

ということで、次回も宜しく。