「発明塾®」へようこそ!: 12月 2010

2010年12月27日月曜日

発明塾@東京 第35回開催報告

発明塾@東京第35回も無事終了しました。

2010年最後の発明塾でした。

京都からの塾生さんの飛び入りもあり、Prefab関連のテーマでブレストを行いました。すでに1名はコンセプトが固まっており、もう一名はコンセプト出しの段階でした。

ある程度詰まってきたら、こなれている3-4名で討議するのが良さそうである、ということが分かってきました。あと、やはり学生さんは発想が柔軟であるということも、改めて痛感しました。

知らない、ということがハンデになるか、強みに変えるか(変わるではなく変える)は完全にその人次第です。

知らないから進まない、という発想の人はそこで止まってしまいますが、知らないからこそ大胆に発想し、それを調べて検証してみる人はどんどん先に進めます。

なんども言いますが、重要なのは「仮説・検証」です。知らなくても仮説は立てられます。それを検証するときに、調べればいいのです。つまり、仮説ベースで進められる人は、知識を前提とせずに知的生産ができることになります。

ぜひ皆さん後者(仮説ベースの思考)になってください。これには特別なスキルは不要で、自分の考え方と行動を変えるだけです。

そうすれば、あらゆる分野で通用します。これが発明塾の目指すところです。

さて、本年は東京での開始に始まり、京都への展開、立命館大学での講義と発明と発明塾ドップリの一年でした。来年は、経験を積んだ塾生さんが中心になってくれることを期待して、さらに活動を活発にしていきたいとおもいますので、ご協力よろしく。

具体的には、まずは、京都大学と東京大学で、学内サークル化を目指します。

では、良いお年を。

2010年12月23日木曜日

発明塾@京都 第19回&補習開催報告

@京都19回も無事終了しました。(16:00-は補習開催@会場1Fの茶店)

久々のメンバーや見学者も交えてでしたが、補習も含めて3名のテーマを討議することができました。

段取りを考えると、マインドマップは事前に(当日でも構わない)楠浦宛メールで送っておいてもらうのがいいでしょう。

さて、繰り返しになるので今更書くことも無いのですが、今回はブレストのルールだけおさらいしておきましょう。
①量を出す(質より量)
②批判厳禁
③相乗り歓迎
が3原則です。

他、詳しくはこちらにも紹介があります。
(元は以下)

会議関係の参考書でいうと「すごい会議」も参考になります。
・「すごい会議」大橋禅太郎 http://tinyurl.com/26lce4s 

特に日本人は、大勢集まると無難な会話しかできませんが、せっかく大勢集まって無難な会話をしても意味がありませんので(集まる無駄×生産性ゼロの2重の無駄!)、集まるからには大胆な意見をいう、これを徹底しましょう。

それには、皆が前向きに議論をする、という土台が必要です。

他ではいくら否定的でも構いませんが、発明塾の会場に入ったら、前向きに議論を進めていく(与党精神)、ということでお願いします。

「できるようにするにはどうしたら良いか」「できるはずだ」てな感じです。

野党精神では、実績は出ません。今年、うまい具合に、いろいろな政治家が目の前で証明してくれました。古い世代はさておき、これからの世代である皆さんに求められているのは、当事者精神であり、建設的な意見、そして実行なのです。

では、来年もよろしく。

2010年12月20日月曜日

発明塾@東京 年末のご挨拶(と第34回開催報告?)

さて、昨日は@東京の第34回でした。

だんだん書くネタもなくなってきたので(笑)、今日は年末年始に勉強する方に参考図書を紹介します。もちろん、発明もよろしく!でも普段より時間がありますから、まとまった勉強をぜひ。

ちなみに私の場合、この正月に中国語をカジる予定です。
こんな時でもなければ、まとまって語学の勉強なんてできないですから・・・

さて、それでは開始。


1.特許・知財関連の参考書
・「マイクロソフトを変革した知財戦略」
「発明先取り会議」を行って発明を創出し、特許権を先に確保することに、事業上どういう意味があるのか。マイクロソフトでの実際が、詳しく書かれています。特許についてある程度予備知識がある方がいいですが、なくとも、発明塾の取り組みとダブらせればある程度理解できるでしょう。
最先端の知財に対する取り組みの一端を感じることが出来ます。IV社がマイクロソフト出身のネイサン・ミアボルドとエドワード・ジュングによって設立されたことを考えると、IV社の取り組みとマイクロソフトの取り組みに大いにつながりがあるのは当然です。そこにも注意して、読み解くと楽しめるでしょう。

・「御社の特許戦略がダメな理由」
日本の企業は、一般論で言うと先のマイクロソフトの例より少し遅れています。日本の最先端の企業がどのへんにいるのかが書かれた本です。比較すると面白いでしょう。やはりアメリカの企業は一歩先へ行っています。逆に、少なくともここに書かれているようなことは、現時点で理解しておくべきでしょう。

・「企業人と理工系学生のための知的財産権概論―特許から著作権まで
大学生が読んで、単に面白かった以上のよい本(ある程度専門的で、将来も使えそうな本)がなかなか無いのですが、この本はそこそこ専門的に有名な事例を解説しており、大学3回生~社会人ぐらいまでカバーできます、すこし専門用語が多いですが、ググリながら読めばなんとか読めるでしょう。

・「特許の実践読本」
上記が少し難しい人にはこちら。読み物的で入りやすい、でも巻末にちゃんと条文などが入っている。大学1-3回生ぐらいが対象かな?

・「エンジニアのための知的財産権概説」
上記2冊の間になるのがこれ。少し古いので要注意ですが、考え方や特許の事例、調べ方に関する説明がとても分かりやすい。私自身も、これで勉強しました。

・「知的財産権とデザインの教科書」
すこし毛色が違いますが、サムスンの躍進に見られるように、現代の製品戦略では技術以上にデザインが重視されており、遅まきながら日本企業もその流れに乗ろうとしています。そういう意味で、今読んでおくといいと思います。

2.その他
・「保存食品開発物語」
Food Safety Monitoring, Sustanable Food Packeging に取り組んでいる人に。

・「加速するテクノロジー」レイ・カーツワイル
最先端テクノロジーを、エジソンの再来と言われる発明家、カーツワイルが読み解く。ちょっとした読み物。

・「イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」」
京都の塾に参加してくれた方のおすすめ本です。今読んでいますが、普段発明塾でいっているようなことも書かれており、参考になるでしょう。知財とは関係ないですが、発明の切り口をどう選ぶか、の参考になります。

・「ビヨンド・エジソン」
研究というキャリアを考えている人には是非。日本で様々な独創的な研究に取り組んでいる人のインタビュー。


ツイッターにも書きましたが、

・丸島流に言うなら、技術とニーズと競合を先読み、深読みし、効率的網羅的にアイデアを出す。これが現代の発明戦略。
・そして、その発明群を権利化し制空権を確保した上で集中的に投資を行い事業にする。それが知財と事業。

この二つが、実は発明塾を通じて学んでほしいことであり、学生さんがいまから社会に出るにあたって間違い無く役に立つ知識であり、経験だとおもいます。

それらを身につけるためには、机上の空論ではなく、実践あるのみなのです。ある京都の方が「ビジネスプランコンテストに飽きた(もしくは飽き足らない)学生にはぴったりですね」と言っていましたが、たしかにそうかも知れません。起業した僕自身が現に楽しんでいる、という意味で、「発明」には起業にはない魅力があるのでしょう。


では、少し早いですが本年のまとめまで。京都も東京も年内は次で最後です。皆さん参加宜しく。

2010年12月19日日曜日

東京MOT会「発想法WS」開催報告(12月18日)

さて、昨日12月18日@博士のシェアハウス(http://chizaisupport.jimdo.com/)にて、東京MOT会主催の「世界を変える発明発想法」WSを開催しました。(http://kokucheese.com/event/index/5906/

そもそもは、夏に開催を企画していたもので、私の怠慢によりMOT会幹事(特に小野崎さん)にはお手数をおかけしました(ゴメンね)

さて、最終12名の参加者で3時間、発明に取り組んでいただきました。

立命館大学では15時間位かかる講義を圧縮して実施しているので、当然いろいろ無理は承知なのですが・・・最終的には、いろいろな意味で?アツイ議論が戦わされたので良かったかなと思います。

ポイントを整理しておきましょう。

<講義編>
・10円玉ゲーム
各自10円玉を見て、気づいたことをとにかく書きまくる。で発表してもらいます。
他人の意見を聞くとそれも気づきになります。
その後、それをカテゴライズしてもらいます。
さらに気づきがあります。

ここでは、自分の見方の偏り、他社からの気づき、なによりも「スピード感」の重要性を知ってもらいます。

カテゴライズに「現在・過去・未来」が出たのにびっくりしました。こういう個性的な分け方が出ると、それだけで新しい発想が出ますので「勝ち」ですね。

「MECEは非創造的?」(http://edison-univ.blogspot.com/2010/12/mece.html)でも述べましたが、コンサル本などででてくるワンパターンの分け方を覚えても意味はありません。MECEはそもそも「もれなくダブりなく」分ける、というムダやミスを防ぐための、分類法の基本(注意点)を述べているだけであって、定形があるわけではありません。答えを覚えても意味はなくて、考え方を頭に入れておいて、それを自在に使いこなす「訓練」をしてください。訓練あるのみです。

ちなみに私は、フレームワークを覚えて乗り切ろうとする人を「フレームワーク病」と呼んでいます。覚えてもダメです。使えないと。そのためには、なぜそのような「枠」が意味があるのか、必要なのか、を「そもそも」から考える必要があります。

・発明の3原理
「構造化」「変換・組み合わせ」「引き出し」この3つの掛け算です。
異分野融合は、IPCなどの記号を使えば強制的に起こせます。そのためには、特許情報検索、分析のスキルが不可欠です。
Google検索は、「画像」検索に限ります。単位面積当たりの情報量が数百倍です。とにかく、インプットスピードを上げることが重要です。どんどん入力すると、どんどん気づきがでる。それをGr内でつぶやくことで共有し、「ネット世界」と「他人の頭脳」を自分の頭脳に「コネクト」するのです。

ですので、発明発想法において一番重要なスキルは「検索技術」です。これによって、ネット上の情報はすべて自分のものになります。人が一生に詰め込める知識はしれていますから偏っていますし、陳腐化します(もちろん、知っていることは重要です)、それを補完するために「検索」技術が必須になります。最新の情報を広く(偏りなく)知ることができます。

<演習編>
・テーマ:Natural lighting and Ventilation
自然光の利用(と換気や空調の問題)をトピックに取り組んでもらいました。
先入観を排除するため、まずはあまり説明をせずに開始しました。

・題意の把握、問題の設定
実はここでほとんど決まります。どの程度の大きさの(範囲の)問題に注目していくのか、「そもそも自然光の利用において何が問題なんだ」、そういうふうに考えることから始まります。それを知る(調べる)事から始まります。それには、特許が有効であることは話しましたね。

・Grワークの注意
これは、あえて話しませんでしたが、Grワークで画期的なアイデアを出すための鉄則は「遠慮はしない」「手加減しない」ということだけです。同時にブレスト段階では「批判しない」も重要ですね。

「そのアイデアはXXが問題だと思います」→「XXが問題かもしれないけどAAで解決できそう」
もしくは
「XXが問題になりそうやから、それを解決できる技術を探そうや!」

そういう風に、誰かのアイデアや発言を前向きに変換し、追求していくことです。

それと相反しますが、行き詰まったら「そもそも」にさかのぼって方向を大胆に変えることも重要です。

・最後に
Twitterで @2ndlb さんがつぶやいていましたが、「ラストワンマイル」「ラストワンピース」の課題を探すことも重要です。誰かが放置したものに、チャンスがあるのです。誰かが諦めたとしたら、それはあなたにはチャンスなのです。彼にはできない、気づかないけど、あなたにできること、気づくこと、それを追求するのです。

つまりは、「人がやらないことをやる」「人が考えないことを、考えない風に考える」ことなのです。

ではでは、みなさんぜひ、

「一日30分」
「毎週一回は数時間」

発明に取り組んでください。あなたの頭脳で解決を待っている課題が、世界には無数にあります。

発明塾土曜日第7回 開催報告

土曜日も、第7回となりました。

今回は、水の浄化に関するブレスト、というかその前の問題把握や既存技術調査を行いました。

すでにある水に関する技術で、ひろく使われていないものにはどんな問題があるんだろうか?

そういう疑問をもつことから始まります。

気づきを得るには、まずは調べて情報を得るしかありません。

よく「調べずに問題に取り組む」という人がいますが、それで解を得ることは不可能です。
問題を読まずに試験で高い点数をとろうとするようなものです。絶対、とは言いませんが、実現は難しいでしょう。むしろ、問題の理解にできるだけ時間をさくべきでしょう。

小さくまとまろうとせずに、大きな飛躍を得るには、まずは問題の理解にじっくり取り組むことです。理解出来れば、いくらでも大胆に発想できます(どこまで行けば大胆か、がわかりますから)

まずは、問題を理解する。で、もし、誰も取り組んでいない問題があれば、ラッキーです。取り組んだだけ、収穫があります。できれば、そういうフィールドを探しましょう。

これまでに、いい発明が出ている塾生さんは、実はほとんどこのパターンです。問題、課題が新しい、その定義が新しい。

それに尽きるんですよね・・・。

2010年12月16日木曜日

発明塾@京都 第18回&補習 開催報告

16日・17日と、18回の発明塾と補習を開催しました。

京都もいよいよ本格的に寒くなってきましたね。学生時代が懐かしいです・・・(修論締め切り前に、雪の中終電で帰った日々とか・・・24Hrの2交代で実験した日々とか・・・材料系の実験は時間がかかるのです。)

さて、今回は既にアイデアを固めつつある塾生さん1人、割と漠然としているもののなんとなくコンセプトを見出しつつある塾生さん1人、のトピックを中心に進めました。

いつもの話ですが、ある程度固まってきたら、その発明の本質はなにか、何が本当に新しいのか、何がその発明の効果に繋がっているのか、をじっくりと絞り込む必要があります。

問は2つ。

・その部分には、ずばりの先行技術がないのか。(用途が違う、などは違うものとして扱う)
・その部分がないと、その発明は意味がなくなる(効果がなくなる)のか。

必須であり、しかも新しい。

そこが発明の本質であるはずです。


もう一つは、ブレインストーミング段階のお話です。

斬新な発想につながる方法論は幾つかありますが、たとえば「何かと何かの組み合わせ」で行くなら、まずは以下のように機械的な手順で作業を省略します。

・たとえば「靴」と「家電」
・家電をいちいち思い出すのはNG(時間が無駄)
・PanasonicのカタログをネットでDLして、そこに出てくる商品名をかたっぱしからリスト化して、それらと「靴」の組み合わせを網羅的に考え、アイデアを出す。
・1組み合わせ1分、とか決めておいて、思考のスピードをあげる。ゆっくり考えても何も出てこない。頭を温めるには、フルスピードで思考する癖をつける。それには、時間制限が一番。
・なにかを思いついたら、ためらわずに書く。書くべきかどうか迷うこと自体が思考を妨げる。
・最期まで行ったら、少しゆっくり見直して、アイデア同士をつなげたり、補足したりさらに連想や妄想?を膨らませる。
・膨らんできたものを、さらにじっくりと、実現可能性(必要な技術)やメリットを考え始める。

昨日話しましたが、実際に立命館大学の講義では、この手法で「マジで売れそうな」発明が出ました。彼らはまだ大学3回生ですから、この手法の威力が分かります。

ということで、ある程度機械的にやる部分と、じっくり考える部分の整理、やるときはてきぱきとスピードを上げてやることが重要であることを、肝に銘じておいてください。

のんびりだらだらやっても、いいものは生まれません。

それよりも、回転数をどんどん上げていくと、いいものがどんどん出てきます。遠慮したり恥ずかしがったりしていては、ダメ。どうせ誰もやっていないことなので、自由にやればいいのです。

発明塾では「そんなのできるんですか?」とか「それは無理」とか、「ばかばかしい」とか言われる心配はありませんので。

ほとんどの発明や発見は、最初は「ばかばかしい」と一蹴されています。(当初、DNAシーケンサーが馬鹿馬鹿しいと言われていたという話は、しましたね)

だから、誰かに「バカじゃないの」とか言われた場合、それは最大の栄誉だと思っておきましょう。
(関西人にとっては「バカ」と言われることは最大の侮辱で、「アホ」と言われるのは最大の栄誉ですが^^・・・)

ちなみに、僕がなにか新しい仕事をするときには、大抵周りの人たちが猛反対します。絶対無理とか危ないとか怪しいとか、いい大人がとかいい加減にしろとか・・・、まぁ、表現はいろいろありますが、要するに止められます。で、僕はそれはチャンスだと思います。止めるということは、彼らはやらないのだから、僕がやれば当面は一番になれる。あとは努力と能力と運?次第。

逆に皆がやろうやろう、やれやれ、というのは、ちょっと眉唾かなと、考えます。

そういう事です。

誰もやっていないことをやる、誰も考えそうにないことを考える。

これが、世界一になるための唯一の方法です。

あと一つ、今日の補習で「そもそも」論の話をしましたが、これはツイッターに書いたので省略します。読みたい人は、@kusukusu105 をフォローして読んでおいてください。

ではでは。

2010年12月13日月曜日

発明塾@東京 第33回開催報告

本日は33回目でした。

今回は、AMに毎月弊社内で実施しているブレストの続きをやりました。弊社内ブレストは、場所はIV社をお借りして、IVの方にファシリテートいただきながら、毎月一回、5時間程度ぶっ続けでやっています。4時間でテーマ2つ、発明塾とは違い全員が同じテーマに取り組んでいます。

こなれてくるとこちらのほうが、効率よく発明が出ます。
(そういえば、本日私の発明が一件採択になりました。)

私の一ヶ月の計画を書くと、

・1週:調査&発表討議、アイデア出し。ここでIV社でブレストを行います。上述のとおり、1回に2テーマ、当然事前にきちんと下調べをしてマインドマップを作っていきます。
・2週:討議内容を元にさらに調査、アイデアを絞り込み、実現性の検討。ここで特許も調べまくります。
・3週:SRを書き始める>1回目のコメントをもらう。
・4週:最終提出に向けて仕上げ。

という感じです。時間があるときは同時並行で2-3件進めています。

初期のブレストではできるだけたくさんのアイデア、コンセプトを出し、その中からオリジナリティーと実現性を調査しながら、最終的に2-3に絞り込んでいきます。同じテーマで複数の発明を同時に検討すると、背景知識が効率よく使えますので、うまく進みます。課題の理解も深まりますし。

慣れてきた塾生さんは、この方法を試してみましょう!

ではでは!

2010年12月11日土曜日

MECEは非創造的?

こんにちは。

さて今回は、ここ数カ月いろんな方と話していて、気付いたことを。

それは、ロジックツリーとMECEに関するものです。


私は発明塾やその他のセミナーで、基本的にロジックツリーやロジカルシンキング(いわゆるMECEの考え方も含め)をベースに、マインドマップを使って情報を整理し、穴をみつけ、発想を広げることを推奨しておます。

で、当然それに対する様々なご意見を頂きます。


一番多いのは、
「MECEは皆使うツールなんだから、それでオリジナリティのある発想が出るわけがない」
というものです。まぁ、実際には出てるんだから仕方ない、と開き直ることも出来ますが、それは塾生さんのためにならないので、「ロジカル」に反証しておきます。

①MECEといっても分け方は無限にある
②どれを選ぶかで、整理して導出される概念が変わってくる
③導出される概念が変われば、導出されるアイデアも異なる

という、3段論法です。②~③は自明だと思いますので、①を証明すればいいことになります。無限であることを直接証明するのは厄介なので、個人により異なることを示します。


たとえば、私がいつもMECEとロジカルシンキング、ロジックツリーのトレーニングに使うのは「10円玉」です。

Q1:10円玉を見て気付いたことをできるだけ多く書きだしてください。
Q2:それを、MECEに整理してください。
Q3:MECEなロジックツリーを用いて、強制的に気付きを産み出してください。

これをやります。特にQ3が重要です。

A1:材質、重さ、形、模様、字、汚れ、傷・・・などについて気付いたことを挙げ、それをMECEに分けた人。

この辺が一般的ではないでしょうか?たしかにありきたりなので、なんだMECEでは大した発想は出ないかも、と思ったかもしれません。


その人は、MECEの修行が足りません。


上記は実は、ほとんどが「視覚」の言う切り口(一部触覚)ですね。それに気付いた人は、概念化の階段をひとつ上って「視覚」と「触覚」とそれ以外(あとの五感)、で再度気付きを得ることが出来ます。10円玉の「味」や「臭い」はどうなんだろうか?と。
注)銅のサビである「緑青」は猛毒?説があるので(すくなくとも体にはよくなさそう)なので、10円玉は舐めないように!

ロジックツリーとMECEというのは、このように、無限に概念化して遡ることが出来ます。つまり必要なのは「概念化」能力であって、ロジックツリーはそれを助けるツールに過ぎない、ってことです。足が遅いのを、靴のせいにするようなものなので、道具のせいにせずに、しっかり「頭脳」の方を鍛えてください。


実はこれにはおまけがあって、なんと私の立命館大学での講義「マーケティング・リサーチ」を受けている学生さん(理工学部3回生)が、最初から、

A2:「5感」でまず切り口を設けました。

と回答。うーん、なかなかやるな。彼は、一段飛ばして走っているわけです。こういう人のことを「独創的」と言うのでしょうが、先の議論で、同じことは論理的思考と概念化能力の向上で達成できることを示しましたので、私も落ち込まずに頭脳を鍛えたいと思います(笑)


しかし、若いっていいですね。A2のような回答に刺激を受けて、他の学生さんも頑張ってます。


「創造性はすべてを省略する」を痛感した一瞬でしたが、「創造性は獲得できる」を示して、本講義は終りにします。

では。


2010年12月9日木曜日

発明塾@京都 第17回開催報告~「マクロからミクロへ」「靴である必然性」で考える

発明塾京都は17回を迎えました。前日には補習?もやりました。

いいアイデアが出ましたね。

補習といっても、塾生さんのアイデアについて、こじんまりと討議しながら、必要なスキルを丁寧に解説する場、なので「個別指導」という方が正しいかもしれません。


さて、今回は3名のアイデア+αの討議を行いました。

それぞれステージは異なりましたが、再度おさらいをしておくと、

✔ アイデアは批判しない
   ⇒ まず、一旦受け入れる

✔ まずマクロから考えていく
   ⇒ 細かいところは、細かくなってから議論する

この二つは肝です。



● アイデアを批判せず、受け入れ、伸ばせるところを探し、伸ばす

これは、説明無用でしょう。アイデアの「アラ探し」から入る人がいますが、これはナンセンスです。最初から完璧なアイデアは、そうそうありませんし、最初から完璧なアイデアがあれば、それは提案されません(本人が黙って1人で実行すべきですから)。

「提案されてくる」

ということは、

「議論の余地がある」

ということですので、

「どこを議論すれば良くなるか」

を見極めるのが、

「発明討議」

に参加する側の義務です。

「どこを伸ばし、何を捨てると、そのアイデアが飛躍するか」(後日補足:ココへ書きました)

を考えるのが、「発明塾」の発明討議です。



● 後で良いことは後にする

いきなり細かいところから議論し始めても、大元のストーリーが変わってしまったら役に立ちませんから、まずは「どういうニーズにどう応える、その手法の何がいいのか、それがベストか」を徹底的に考えることになります。

ベストでないなら、ベストにするにはどうするのか、もしくは、ベストなものになるよう、応えるべきニーズ、シチュエーション、マーケットを探します。

たまに、

「こういう条件が明らかになっていないと、議論は進められない」

のように、

「XXの情報がないから、先に進めない」

というタイプの議論をする人がいます。

しかし、

「発明は設計」(後日補足:コチラを参照)

ですから、

「仮説的、探索的、かつ、収束的」

に、行うものです。

「ニュートン法」



「モンテカルロシミュレーション」

の考えは、物理や数学という「学問」を

「設計という、ドロドロした現実世界の、妥協の世界」

で生かすために、生まれたものです。

発明は、

「理想を現実にする」

作業であり、

「XXがわからないと先に行けない」

という発想ではなく、

「まず今ある情報から考え始めると、どうなるか」

と、考えましょう。



● 発明は「マーケティング」

「アイデア出し」と「マーケティング」を行ったり来たりするのが、発明塾式「発明」の勘所の一つです。

偶然か必然か、立命館大学での講義は「マーケティング・リサーチ」という講義名で、マーケティングの基礎的な知識、情報分析の基本を学んてもらった後、発想法を取りあげ、発明の演習を行っています。

理系の人間がマーケティングについて考えるのに最適な活動、それが「発明」だと、発明塾では考えています。

その技術(アイデア)が一番になれる所(市場、ニーズ)はどこか、そのニーズを満たすために、その技術(アイデア)をどう工夫、具体化すればいいのか、これを「ぐるぐる」考えるのが「発明」です。




● 立命館大学での「マーケティング・リサーチ」

たまたまですが、今日の立命館大学での授業もちょうどそのステージで、全員「新しい靴」を考えるという課題に取り組んでいました。

靴の現状の課題、今後の可能性・発展性(「XXできる靴」みたいな)、靴に何かの機能を加えるときの課題、それを発掘してもらい、解決手段を考えてもらいました。

その時に「それは靴でないといけないのか」とか、「靴であることが最大限生かされているのか?」ということも議論します。

「固有性」「必然性」の議論ですね。

徹底したGr討議の中から、奇抜で画期的、でも実用性も十分というアイデアが出ます。
今回も、いくつか出ました。

安易な解決策で小さくまとまらないことです。Think Big !



さて、この徹底した思考と検索、検索した情報と自分のアイデアの違いをまた徹底的に考える(検索した先行技術のアラを探す or 使ってしまえ、等)ことが発明であることを意識し、発明活動に励んでください。

結局は、かけた時間の分だけ上達するものです。スポーツと一緒です。筋肉同様、頭脳は鍛えることができますから。


では!





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2010年12月6日月曜日

発明塾交流会(東京京都合同発明塾)開催報告

今回は、発明家のイベント後に、品川で京都組2名(イベント出席者)と東京組2名+大人、で発明塾交流会を行いました。

結果的には、各自の発明を2時間も議論することになり、通常の発明塾と何もかわりませんでしたが・・・

さて、議論したポイントとしては、以下の点です。

・考えたコンセプトについて、絶対に先行技術があるはずなので、まずそれを探す。
・自分のコンセプト、もしくは具現化したアイデアのどこが新しいのか、つまりどこが本質なのか、を技術要素に分解して、整理する。この際も、それぞれの要素について先行技術を検索し、それとの違いで考える。
・1発明、1(新規)アイデア。複数のなんとなく新しいものを組み合わせても、「すごく新しく」はならない。ひとつに絞って、それが新しい理由を考える。「探す」というよりは「考え出す」という感じです。なんで新しいと言えるのか。まずは「屁理屈」でもいいので、考えてみることです。

結局は、1にも調査2にも調査、それをもとに徹底的に考える、なんですよね。

発明家のイベントでは、他の発明家の方との交流と、その前に少し、私が使っている特許分析を元にした発明法の解説をしました。こうすれば、必ずそれなりのアイデアが出せる、という手法です。もっとも、特許に関する理解、特許自体をバリバリ読みこなす事が必要となりますが・・・(私の場合はそれが普段の仕事なので)

私自身、なんでもシステマチックにしないと気が済まないタチなので・・・そういったことが好きな方には、気に入っていただけたのではないかなと思います。もちろん、「あ、ひらめいた」という発明を否定するわけではありませんので、まずは各自の手法で取り組めば良いと思います。

では、今後も宜しく。

2010年12月3日金曜日

かんたん特許検索でIPCを活用する

「かんたん特許検索」皆さん既に使っていますよね。


このHP、簡単な特許分析も出来ます。

マニュアルを良く読んで、使いこなせるようにしておいてください。使えるものは「徹底的に使う」。しかも「タダ」。

検索結果表示画面の上に、
「出願人ランキング」・・・「IPCランキング」・・・というボタンがあります。

これで、出願人分析や出願推移分析、技術分野分析ができます。

IPCって何?って人は「国際特許分類」でググッておいてください。
疑問点はすぐ調べる、聞く。これが発明塾の鉄則です。大抵のことは、調べたほうが早いので。

IPCで分析できるようになると、どの分野が狙い目か、がわかるようになります。

理由は・・・塾で直接聞いてください。

では。

2010年12月2日木曜日

発明塾@京都 第16回開催報告

第16回は、3名の塾生さんのトピックを取り上げて討議しました。3時間なのでこのへんが限界でしょうか。本当は2件ぐらいにしてじっくり討議したいところですが・・・ちなみに弊社社内のブレストでは、5時間近くかけて、2件です。

今後すこし、やり方を考えたいと思います。

さて、今回は3名ともマインドマップを作ってきてくれましたので、アイデアの中身についての調査や討議に、時間を割くことが出来ました。他の人も参考にして、まずは

・その分野がどうなっているのか、何が問題で、どういう事を解決しないといけないのか。
・すでにある技術、取り組みはどの様なものか(既存技術、先行技術)

を徹底的に調べてマップにまとめてきましょう。参考資料のURLリンクなどを貼っておくと、調べた結果がきちんと蓄積されます。この「蓄積」が重要です。

毎回、なんとなく調べてなんとなく流していく人は、残念ながら成長しません。

「調べたことをまとめておく、得たものを積み重ねていく」

ここに、伸びる人と伸びない人の違いがあります(見てれば分かります)。これは立命館で授業をしていても感じることです。伸びる人間は、一度やったことは確実にこなして自分のプロセスをレベルアップしてきますが、そうでない人は、同じことを何時までもやっています(あるいはやっていません)。

毎回着実に成長できるように、参加して得た情報、知見などは自分なりにまとめておきましょう。自分は今日何を学んだのか、あるいは、どんなあたらあしい情報を得たのか、記録に残し、復習し、それを踏まえて次の事をやる。それ以外に成長はありません。

Grチャットで討議した内容も、Gmailに履歴が残りますから、各自それを振り返ってマップに追記しましょう。討議内容は徹底的に活用し、それを踏まえてアイデアを出す、詰める。こうすれば効率よくアイデアが出せます。せっかく皆で貴重な時間を費やしたのですから、そのまま捨ててしまわないように。

さて、再度復習。

・マインドマップソフトで、RFIの内容、調べたこと、理解したこと、思いついたこと、先行技術、をマップにまとめる。
・Grチャットの内容も、盛り込む。皆の頭脳を使って得た情報は「貴重な財産」、捨てない。
・とにかく調べる、それをまとめる。特に関連技術や先行技術。既存の技術の理解、把握なしに発明はない。

これに尽きます。

・マインドマップソフトを用いて、事前にマインドマップを作成してくる。前回のものを常にブラッシュアップしてくる、もしくは有望なアイデアを切りだして再度作ってくる。
・今後参加者は、塾に参加し着席したらGmailのアドレスを楠浦宛送ってください。Grチャットに招待します。
・また、そのメール宛に、当日発表の資料などを送ります。ですので、準備したマップは事前に送っておいてください。
・発表しない方も、参加はもちろんOKです。他の人のやり方から学び、また積極的に議論に参加して、学んだことを定着させましょう。議論からヒントを得て、発明に取り組んでも構いません。別個に取り組めば、最終的に同じアイデアになることはまずありませんので、問題ありません。


「マインドマップソフト」

<補足>
・「Mindomo」 http://www.mindomo.com/
塾生さんの一人がこれを教えてくれました。まだ使っていないのですが、Grでやるには便利かもしれません。オフラインでの拡張性があれば文句なしですが。参考。


アイデアの創出にも、効率は必要です。ITはそれを助けてくれます。