2010年10月30日土曜日

発明塾土曜日第5回開催報告

土曜日開催も、第5回となりました。

本日は、汚染水域の浄化をテーマに、アイデア出しを競いました。

社会人の方がおられるので、その後、普段私が用いている発想法を説明しました。文章で説明するのは難しいのですが、ポイントは「いかにニッチを狙うか」ということで、特許情報の有効性(特許は、未実現のアイデアの宝庫)も含め、具体的に普段どの様に発明を行っているか、ノウハウをお話しました。

私自身は、かなりシーケンシャル(機械的)な発明創出を行っている、ということが分かってもらえたと思います。

学生さんも、ある程度進んできたら私が普段用いている手法を説明し、一緒にやってみたいと思います。(ある程度素地ができないと理解出来ないと思いますので、アイデア出しができるようになった学生さんには、適宜お話しています)

ではでは。

2010年10月28日木曜日

発明塾@京都 第11回開催報告

@京都11回参加の皆さん、雨の中&寒い中お疲れ様でした。
急に寒くなりましたので、体調管理に気をつけてください。

さて、今回は3名からSRのドラフトが上がってきたので、それを元に討議しました。
1名は前日の晩に送ってもらっていたので、新幹線で移動中に楠浦の方で追記訂正しておきました。

事前に提出しておいてもらうとこういう事が可能になりますので、できるだけ事前提出してください。

時間いっぱいいっぱいまで、3名のSRにコメントし、また必要な図のイメージなどを固めました。
>3名の方、次回までに書き進めておいてください。その場で言った理由により、時間が経てば立つほど書くのは難しくなりますので、ここで一気に仕上げましょう。

いくつか質問があり、それに対してした話のうち、2つ取り上げておきます。

・特許と発明
よく「発明って広げたほうがいいのですか?」という質問があります。これは、皆さんそれぞれ特許のことにも関心が出てきて、少し調べたりすると「特許はできるだけ広くとろう!」なんてことが、モノの本に書いてあったりするからです。

で、どうか。

答えは、「特許と発明は全く別物、はっきり言えば無関係なものなの」

発明はできるだけピンポイントに絞り込んだものを考えることです。自分が理想的に実現したいアイデアは何か。具現化するには極限まで絞り込む必要があります。1つしか作ってはいけない、と言われたらどうするか、あるいは、量産するならどうするか、そういうふうに考えるといいでしょう。

特許制度というのはあくまでも法制度であり、法制度というのはツールに過ぎない、ということを理解してください。特許は目的ではなく手段であり、自分のアイデアをビジネスに活用する際に必要かどうか、必要ならどういう権利が必要なのか、そういうふうに考えるモノです。ちなみに、特許制度というのは、各国とも「自国の産業(発明、発明家、企業の総称)がグローバルに有利に展開できるようにするにはどうしたらいいか」を考えて戦略的に変更してきます。アメリカの例を見れば一目瞭然です。

特許はツール。

この分野の専門家はたくさんいますから、発想の段階でいちいち特許のことを考える必要はありません。(特許化されうるアイデア、という観点では考えておく必要がありますが、それは皆さん既に学びましたね)

まずは、自分がそのアイデアを具現化する際のベストな状態について、より具体的にピンポイントに掘り下げて考えてください。仮に広げたくても、中心がわからなければ、広げることは出来ません。


・発明は理解されるのか
これは、今回参加した塾生は、他の塾生のSRを見てわかったでしょう。他人の発明というのは、よほどきちんと説明できないと、理解されません。これは当たり前で、誰も考えたことがないことを提案するワケですから、読む側は通常そのアイデアに対して準備が出来ていません。

ですから、「如何に、理解してもらうか」が発明を具体化、具現化する上で重要なポイントになります。

 直感的な方法:図や表、写真などを用いる
 論理的な方法:式や言葉、論理で説明する

の他に、ある技術について、

 すでに存在する、広く使われている、応用可能である、実現可能であることを、引用文献などを援用して説明する

ことも重要になります。発明の本質部分とそうでない部分それぞれについて、メリハリをつけて説明することも重要でしょう。どうでもいいことに紙幅を費やせば、読み手はそこが重要なのかと勘違いする可能性が高くなります。

また、最後に英語の重要性も触れておきましょう。言うまでもなく、世界経済・科学・工学の中心言語は英語です。既に存在する資料も多くが英語であり(インパクトファクターの高い論文誌が日本語でいくつあるか、考えればすぐに分かります。ちなみに、私の分野で日本機械学会論文集は1.4ぐらいだそうです。)

資料も英語のほうが具体的で制度の高いものが出る場合があります。また、自分のSrが英語に翻訳されるということを強く意識してください。日本語的に「・・・・で・・・・で・・・・で・・・して・・・また・・・・・」とダラダラ書くと、誤訳の原因になります。まぁそもそもこういう冗長な日本語は、自分の頭が整理されていないということの証ですが。

一文でひとつの内容。簡潔に区切って、文と文の接続詞(因果関係)を明確にして書く。

他に、日本語の文献を引用する場合には、引用したい部分を抜粋して「」でSR中に引用してしまう、ことも勧めます。いちいち日本語の文献を参照してくれ、と言っても世界の人はそんなもの見ないでしょう。

世界を意識すれば、自ずとそうなります。ホントは英語で書くのがいいのでしょうが、それはそれで、思考に制限が出るかもしれません。(私もやってませんのでわかりません)

ということで、次回も宜しく。

2010年10月25日月曜日

発明塾@東京 第28回開催報告

第28回も無事終了しました。

今回は、塾生さんの発明提案書、特に課題やメリットの表現法などについて討議した他、楠浦の経験から分かっている「発明のタイプ」について、話をしました。

発明には大きく分けて、既存のシステムのパフォーマンス改善を目指すようなエンジニアリング的な手法と、全く違う異分野の技術を持ち込む「異分野組み合わせ型」の二通りのアプローチがあります。

エンジニアリング的な手法は、しばしばトレードオフに陥りがちであり大きな改善が見込めないため、その中においても結局は、異分野技術への置換えや導入が必要になってきます。

問題は「異分野組み合わせ型」なのですが、こういうのをどう「思いつく」のか。

「散歩しましょう」とか「情報を集めて考えましょう」では、方法論ではないですよね、、、(という塾生さんの指摘もあり)、、、というのが私の意見で、ここを「コントロールしながら新しいアイデアの切り口を見つける」ために、特許情報分析を駆使します。

ここまで来るとかなり高度な話なので詳細は割愛しますが、一つ言いたいことは、これを身につけてもらうために「発明塾」は存在する、ということです。その前段階として、やはりいろいろな発明を自分で体験し、発明の何がどう難しいのか、あるいは、どういうふうに考えたらアイデアが出てくるのか、出てこないのか、そういうことを体験を通して学ぶ必要があります。

発明塾が継続的な場であるのはそれが理由です。

それなりのものを身につけるには、やはりそれなりの時間がかかるのです。

一過性のEventで身につくことは所詮知れています。学習は段階的に進むものなので。

ということで、既にそういうレベルに達した人、まだまだ達していない人、いろいろいますが、それぞれのペースで継続的にレベルアップし、お互いに切磋琢磨してください。

では、次回も宜しく。

2010年10月21日木曜日

発明塾@京都 第10回開催報告

今回は6名の参加者で開催しました。

一名の学生さんのアイデアがほぼ固まっているため、そのSR(発明提案書)の書き方について討議したあと、他2名の学生さんのTOPIC(RFI)について討議をしました。

いつも話していることですが、まずRFIを自分なりに理解し、Google検索などで情報収集をして、その分野でどんなことがすでに行われているかをきちんと調べることが重要です。すでに行われていることを、新しいアイデアとして考えるのは時間の無駄なので、それを防ぐためです。逆に、アイデアとして出ているが、実用化されていない情報を、特許から拾い出してその欠点を考え、補って発明にすることも重要です。

RFIのトピックが理解出来ない場合は、テーマを変えてもいいでしょう。あるいは、諦める前に、Youtubeなどで関連動画がないか調べてもいいでしょう。TEDも役に立ちます。

1)RFIの把握
2)関連する取り組みの現状、現在の技術開発・実用化の状況把握

まずはここまでやっておけば、当日の議論は出来ます。さらに、できれば、

3)自分が取り組みたい切り口(技術、課題、用途;漠然とした方向性でもいい)

があれば、話が進めやすいでしょう。

いつも言っていますが、発明とはアイデアを考えることではなく、問題を理解することなのです。

もちろん、その先も長いのですが・・・・


では次回も宜しく。

2010年10月18日月曜日

発明塾東京27回開催報告

無事、発明塾東京27回が終了しました。

昨日は参加者のアイデアについて、詰めの討議をしました。
また、番外編として私のアイデアに関する関連文献の調査を行ってもらいました。

久々にピンポイントで文献をみっちり探しました。

徹底的に調べると、参考になる文献が出てくるもので、今回も非常に参考になる文献が見つかりました。皆さんありがとうございました。

発明を詰めていく段階では、ある程度先行技術と参考文献を調べる必要があるので、発明塾では文献検索、調査も重視しています。このスキルは重要ですので皆さん継続的に磨いてください。

では、次回も宜しく。

2010年10月14日木曜日

発明塾@京都 第9回開催報告

第9回は、7名の参加者により開催されました。

今回はすこし初心を思い出す(私が、ということかもしれませんが)ために、たまたま最近見たTEDのビデオで、プレハブとか食品包装に関係ありそうなビデオ(これは、たまたま最近同じものを見た学生さんもいたので)を一つ、ついでに先日のテレビ東京「WBS」でも取り上げられた、「蚊を打ち落とすレーザー」のビデオを見ました。

・Are mushrooms the new plastic ? by Eben Byer
めちゃくちゃ面白いです。ローテク発明が世界を変える、の典型的な事例。

Could this laser zap malaria? by Nathan Myhrvold
Intellectual Ventures CEO ネイサン・ミアボルドが、「マラリア対策の蚊撃退レーザー」を紹介。

テレビ東京で放映されたのはこちら。ラボの紹介もあり、もっと詳しい。

実はいずれも(失礼ながら)、技術的には大した発明ではありません。マッシュルームなんてどこにでも手に入るし、蚊を落とすレーザーも、部品はすべて家電製品(DVDレコーダー、レーザープリンタ、デジカメ等)です。

では、なぜ彼らがこのような素晴らしい発明を考え出すことが出来、私?には出来なかったのか。(あるいは皆さんには出来なかったのか?)

これを、ぜひ常に考えて欲しいと思います。発明塾京都ではいくつかの意見が出ました。

・そんなふうに使えるとは(マッシュルームやDVDレコーダー)知らなかった。
・そもそもDVDレコーダーにそのような技術があると知らなかった。
・マッシュルームにそんな性質があるとは知らなかった。
・そんなこと言ったらバカにされる。
・そういう問題を意識したことがなかった。
・コストに見合うと思えなかった。
等々。

そうかもしれません。

一つだけ私も全く同感な回答がありました。

それは「そういう問題を意識したことがなかった」です。(実は「そんなこと言ったらバカにされる」も同感です。その体験談も、@京都でしましたね。新しいことをするときは、必ず馬鹿にされますから、今度から馬鹿にされたら「ほめられてるんだ」ぐらいに思っておきましょう。)

皆さんは、マラリアについてどれぐらい知っていますか?大気汚染は?水質汚濁は?ゴミの減容化について、どれぐらいの時間考えてみたことがありますか?

ビル・ゲイツが以下のビデオで言っています。
「ほんとに重要なことに、優秀な頭脳が使われていない」

記事は以下参照。


逆に言うと、きちんと問題を知らしめて、それについて皆が時間を割いて考えれば、さほど複雑な技術を使わずとも、大きな(世界規模の)問題も解決できる可能性が多いにある、ということだと思います。

すくなくとも、マッシュルームと蚊撃退レーザーが、その可能性を示唆しています。なんども言いますが、「たいした」技術は使っていません。ナノテクも宇宙技術も遺伝子組換えも使っていません。

ネイサン・ミアボルドが、Intellectual Venturesで取り組んでいることはまさにそういうことであり、またビル・ゲイツが支援しているのもそういう理由でしょう。

また、昨日話したように「問題に着目し、解決するための新しいコンセプトを考え、それを実現できる技術を探す」というアプローチは、大学生にこそ向いています。世の中にどういう技術があるか、ということをあらかじめ知っておく必要はありませんし、すべてをあらかじめ知っておくことは不可能です。それは、Googleや特許データベースを調べれば分かることです。(知っている方が早いかもしれませんが、逆に、知っていると偏るかもしれません。自分の得意分野に解決法を探しに行く、という形で。)

それよりも、問題を「分析的」に考え、理論を用いてモデル化し、新しいコンセプトを出す、このが重要です。昨日話した「触覚グローブ」(守秘義務の関係でここにはこれ以上書けませんが)が、いい例です。これに限らず、ほとんどの「筋の良い発明」は、課題の着眼、絞り込み、モデル化、ここにポイントがあります。

今後も、様々な発明を行い、あるいは他の人の発明に学びながら、「いかにして世界を変えるアイデアを出すのか」について学び、実践していきましょう。発明塾に終わり(卒業)がないのはこれが理由です。世界中の課題が解決されたら、終りにします。

この話の続きは、京都大学VBL主催で来月行われるIVの講演(11月25日予定)と、12月8日に私が物理工学科の授業「モノづくり演習」で行う講義でしましょう。参加希望される方は連絡下さい&今後のツイッター情報に注意してください。

では。

2010年10月12日火曜日

発明塾@東京 第26回開催報告

今回は、はじめての方2名を含む5名での開催となりました。

食品包装のテーマを取り上げて、いかにして環境負荷の低い食品包装を実現するか、アイデア出しと討議を行ないました。

別の回の報告でも取り上げましたが、オーソドックスな方法としては、現状を調査しつつシチュエーションを絞り込み、「こういうのがあったらいいね」というコンセプトを出す(もしくは既存のものから絞込む)ことから始まります。

今回は参加者の一人からなかなか面白いコンセプトが出たため、それを中心に実現できる技術を探索しました。

それなりに調べて出したコンセプトでも、大抵既にどこかで誰かが考えているものなので、
・先行技術のアイデアを参考にして、さらに練る。
・余りアイデアの出ていないフィールド、切り口を新たに考え直す。
のいずれかになります。

どちらにしても、まずは既存の技術や利用方法(ニーズ)などを整理し、その中からまだあまりやられていないフィールドを選んでいく作業になります。

以上、次回も宜しく。

2010年10月8日金曜日

発明塾京都第8回開催報告

今回は、7名で開催しました。

食品包装の「エコ」化ということで、たとえば身近な例で「いろはす」がなんで実現できたんだろうかとか、すでにある流れをきちんと調べて理解しつつ、新しいアイデアを模索しました。発明では常に、すでにあるもの、既に誰かが考えていること、やっていること、を調べることが重要です。それを踏まえた上でもう一弾突っ込んだアイデア、角度の違うアイデアを考えるのです。


今回は、

すでにある技術・トレンド→別の分野でも起きるのでは?→新しいコンセプト→それを実現する技術

というパターンで議論を進めました。


先週月曜の東京の回では、「なんとなく実現したいこと」と「なんとなくこの分野の技術を使いたい」という二つを繋げるタイプの発明を考えました。

違うようで、根幹は同じです。

「まず自分がどういう事をしたいか、漠然とでもいいから考えること。出来れば掘り下げること。」
そして
「そこに必要な技術をさがすこと」

この二つです。


後半は、ネット環境の不調もあり、すでに発明提案書を書き始めている学生さんの骨子をベースに、「発明提案書の書き方」を話しました。

東京では何度か参加いただいている @Innovation_Cafe さんのブログにも書かれています。

ちなみにPAJは以下参照。特許番号を打ち込むと、英語訳(要約のみ)が見れます。海外の人はこれを見ているわけですね。
http://www.inpit.go.jp/ipdl/service/ichiran.html の10.がPAJサービスです。


ネット不調の件はご迷惑をおかけしました。京大の近くで無線LAN環境完備のところが借りられるといいのですが・・・継続して探してみます。皆さんも、もしそういう場所の話を聞いたらぜひ教えてください。

では次回も是非。

2010年10月5日火曜日

発明塾@東京 第25回開催報告

第25回も無事終了しました。

今回は、ある学生さんのテーマについて、私も含め実際に先行技術を検索し、討議しました。

関心のあるテーマと、なんとなくの切り口が決まっているが、具体的なアイデアがなかなか出ない場合、どうするか。今回はそんな感じでした。

オススメは、とにかくその切り口(たとえば、磁性粒子を使う)について、どんな具体的技術があるのか、調べまくるということです。たとえば、磁性粒子を使った発明がしたいなら、それについて知り尽くす必要があります。調べながら、自分の興味のあるテーマとの結びつきを探る、そんなやり方もあります。

普段の正式なセミナーでは、そういう「ややこしい」話はしませんが、発明塾ですから個々人にあったやり方で発明発想手法を指導できます。

次回までに、彼はその切り口の「専門家」になっているかもしれません。

私がコマツ時代に部長に言われたのは、「3ヶ月、専門書3冊読んだら誰でも専門家に成れる」ということです。名言だと思いました。

さて今回から場所が、「博士のシェアハウス」に変更になっています。終わりの時間をずらせるため、これまでより、すこし遅い時間まで討議できるので便利です。

次回から、18:25に本郷三丁目のハンバーガー屋さん「ファイヤーハウス」の前集合とします。
もちろん、中で早めの夕食を食べてもらってても構いません。

場所が既に分かっている学生さんは、シェアハウスへ直接集合下さい。


詳細地図

2010年10月4日月曜日

発想法:10月4日のツイッターから

発明の仕事の関係者と話すととても得るものが多い。

10月4日のツイッターから抜粋。

「発明は数学に似ている。「こうすればよいのでは?」という仮説を、じっくりと論証していく。QEDと書けた時の快感と、提案書が仕上がった時の感触はほぼ同じ。」

「発 明の中には3段階がある。「発想」ぶっ飛んだ発想、切り口の違う攻め方。「論証」事実や理論を積み重ねて、論理構築を行う。「説得」それを、いかに分かり やすく表現するか、はじめての人(皆はじめてのはず、だって「発明」だから^^)、専門外の人にも理解できるようにするか。」