「発明塾®」へようこそ!: 2月 2012

2012年2月24日金曜日

思考法に関する参考図書

塾生さんに送ったメールから、抜粋整備しました。

「考える技術書く技術」
バーバラ・ミント
ロジカルシンキング系であればこれには限りませんが、発明塾で最も定評がある本です。
発明提案書が論理的に書けない人に、オススメです。
書けないということは、考えられていないということですから、書きながら、じっくり考える癖をつけましょう。

「クリティカル・シンキング(入門)」
ゼッタミスタ

一般的なクリティカル・シンキング(批判的思考/検証的思考)の入門本。
多分一番とっつきやすい。
入門終了後「実践」へ。

「武器としての決断思考」瀧本
クリティカル(批判的・多面的・検証)シンキングの本に該当します。

「特許出願のクレーム作成マニュアル」
葛西
特許明細書のクレームを考えるという観点で、クリティカルシンキングを鍛える。
やや難解。
しかし、難解な本を解きほぐす作業、というのは非常に重要なので、あえて挙げておきます。
思考の深さ、というのはそういう作業からしか身につかないと、僕は感じています。

「イシューからはじめよ」
安宅

仮説思考、ロジカルシンキングの本。
ブログ内で度々推奨ずみ。

「問題解決の全体観(上)」
問題解決の全体観(下)」中川
網羅的、とっつきやすい。
他のロジカルシンキング系の本を読んだ方でも、「下」は必読です。

「思考のボトルネックを解除しよう!」石川
自身が、どういう思考が弱いかを確認するために、この本が参考になります。





発想法的な本は、すでに多数紹介済みなので割愛。





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2012年2月23日木曜日

発明塾京都第73回開催報告

京都は第73回を迎えました。なんとなく、100という数字が見えてきたところですが、回数をやることを目的にしているわけではありませんので、第100回に何かを行うということはありませんので念のため。


さて、冒頭に個別討議の内容をシェアした後(わかりやすい発明提案書とはどういうものなのか)、今回は各自に作ってきてもらったマインドマップを順にレビューし、討議しました。


・同じ情報に基づいているはずなのに、各自違う(MECEであったとしても、そのパターンは無限にある)
・そもそも、上位概念の捉え方が各自違う(何を本質と考えるかが、人によって違う)


ということがわかったと思います。実はここに、発明の本質が潜んでいます。


人の気付かない本質(上位概念)を通じて、別の世界にトンネルした人(まさに量子力学的な確率なので、トンネル、と言う表現がぴったり)が、面白い発明にたどり着くのだと思います。


つまり「上位概念化能力」を磨くことがKeyなのです。そしてその上位概念は「1つ」では無いので、複数の上位概念を常に考える、という、僕がいつも言う「答えは一つではない、解き方は一つではない」という世界なわけです。


これは、訓練しかありませんので、他の人のマインドマップを参考にしながら「なんでそういう上位概念になるのか」考えながら、自分なりのマップを作りなおす、その作業の繰り返しです。同じ情報に基づいて、いろんなパターンのマップを作ってみる。その中から、ユニークな軸を持つ物が出てくるはずです。


あと一つ。


各自、物の見方は違うので「その上位概念はおかしい」的な議論に意味はありません(あきらかに意味を成さないものや、上位の概念になっていないものは別ですが)。むしろ「なんでそういう上位概念になるのか」ということを考えることで、あらたな本質が見えてくることがしばしばです。


何を共同作業にして、なにを統一しなければならなくて、何を個人の作業にするのか。


このバランスが非常に重要です。ここでは説明しませんが。


各自が個人としてしっかりと作業をしてきて、初めて全体の討議が成り立つことは、改めて釘を差しておきます。そうでなければ、逆に議論の足を引っ張る事になります。


材料強度学で言う「最弱リンク理論」です。意味がわからないという人は調べておいてください。


では、次回も宜しく。

2012年2月19日日曜日

イノベーションの正体見たり・・・

今日は珍しく、発明よりは少し大きめの枠の話。

先日、京都ローカルのとあるTV番組に参加(出演というほどのものではなく、あくまで参加)させていただきまして、その討議を見て、改めて感じたことを。


門川京都市長と、同志社大学山口教授、村田教授他数名のパネラーで

「京都とイノベーション」

というような話でした(それが全てではありませんでしたが、僕が参加した部分はこの話です)。

山口教授が、京都ではなぜ1980年以降大きなベンチャーが生まれないのか、ということについて「共鳴を起こすためのネットワークがないからだ」というお話をされていました。それに関しては、著書「イノベーション 破壊と共鳴」にも書かれています。
山口先生の教養が満載でやや難解ですが、そのとおり、と思う所が多い本です。イノベーション論の中では、最も読みづらかった部類ですが、同時に最も腑に落ちた本の一つです。

この話を受けて村田先生から、リチャード・フロリダの「クリエイティブ・クラス」に関する話があり、そういう人材を集めてイノベーションを起こすには「トレランス(寛容性)」が必要だと。他パネラーから、京都の閉鎖性、大学の閉鎖性などの話がでて、割りと「もっとOPENに、ネットワークを作らねば」的な論調に。

そこで隣の参加者から「ネットワーク、異分野融合言うても、単に異分野の人間を同じ部屋に掘り込めばいいわけではない。人を集めて、会わせればいいんだ的な、箱物的発想ではどうしようもない」という指摘。全くそのとおり。

その後いろいろな議論があり、山口教授からは、共鳴を起こすためには「社長ができる人間を育てることが必要」とのところで、ほぼ終了。「その事業に命かけられる人間」が必要である、とのお話で、このあたりも、いつも言っておられることで私も同感です。おそらく、山口先生の意見としては、共鳴を起こせるようなネットワークのハブになる人材を育てなければならないということで、これはほぼすべてのパネラー・参加者の一致した意見だったと思います。

村田教授が最後に「意外とおもろかった」とおっしゃっていたように、「意外と」面白かったですね。


僕の個人的なまとめは、以下のようになります(あくまでも備忘録的なものですので、細かいところは簡便を)。

・フロリダの論はその通り(もっとも、最近あまり聞かないですが、、、)。京都に適用できる可能性は高い(今回は京都の話なのでご勘弁、もちろん京都以外にも適用できると思います)。問題は京都の閉鎖性とされている。フロリダはクリエイティブな人が集まってイノベーションを起こすには「トレランス(寛容性)」が必要と言っている。
・しかし、閉鎖性は「共鳴」という意味では悪くない。共鳴を起こすには、「エネルギーの高い人間」を「一定時間、位相があうまで閉じ込める」必要がある(レーザーのアナロジー)。
・つまり「単なる寛容」では十分ではない。「エネルギーの高い人間を一定期間閉じ込め(極端な閉鎖状態の維持)つつ、入り口は寛容」という矛盾を、更に高い次元で解決する必要がある。

ここで、僕自身の課題定義は完了です。

・僕の答えは「分子をそのエネルギーでより分けて閉じ込める、Maxwellの悪魔が必要」。入り口は開かれているが、エネルギーの高い人達をある一部屋に閉じ込める、まさに悪魔の役割なわけです。実際には、高いビジョン/理想を掲げそれに応じた貢献を求める、というモデルが、そのOne Way Valveの役割になるはずですが。
出入り口が完全にほったらかし(寛容)だと、エネルギーの高いものほど先に出て行ってしまって、やがて均一化して「熱死」にいたる(ボルツマンやエントロピーの論議)のですが、それでは、時間が経つと外部との境界のない、何の競争力もない「場」(会社なり都市)しかできない。不可逆なValveが必要という切り口は確定。
・成長するベンチャーは、まさにそれになっているわけで、それは中心となる創業者がその役割を担っている。

山口先生の議論に戻ると、

・「高い理想を掲げ」「極限まで(そして成功するまで)貢献とコミットメントを求める(自ら率先するのは当然=命をかける)」人間が必要。

ということですが、僕なりの解釈は、

・それこそMaxwellの悪魔。清らかな理想論と過酷な現実感覚を併せ持つ人なので、周りからは文字通り悪魔にしか見えないでしょう。

ということになります。

・エネルギーが高くても、閉じ込めなければ共鳴は起きず、散逸していく。
・エネルギーを散逸させず、閉じ込めて共鳴(自己共鳴含む)を起こせるか。もしくは、そのための友人がいるか

自分で自分が閉じ込められる人は、自己共鳴、自己共振を起こして更に高みに登ることもできるのでしょう。山口先生が番組中に引用しておられたハイゼンベルグを含む一部の天才達は、そういう人達だったのだろうと想像しています(ハイゼンベルグは、北海の孤島で修行中に真理に達したそうです)。

発明塾も「共鳴を起こす」場であり、その体験を持って「新たな共鳴の核になる」人材を育てることを目的にしています。体験がないと、命をかけられるほどの確信を持って共鳴の核になることは、難しいでしょう。

「イノベーションの正体は悪魔」ということで。


@京都「集中講義」

今年も行います。ベースは立命館大学3回生向け「発明講義」です。
「立命館大学発明講義」シラバス
http://online-kaikou.ritsumei.ac.jp/2011/syp/show.php?course_code=53184

スケジュールは、以下。


・3月31日(土曜日)「特許情報を用いた技術マーケティング」
・4月1日(日曜日)「論理的思考に基づいた発想法」


いずれも9:00-17:00、場所はいつものところです。


テキストなどは別途メールにて配布中。紙は配りませんので各自PCに入れて(そもそもPCに入れて持参)持ってきてください。あと、いつもどおりお菓子持参で。


なお、東京からの参加も歓迎します。京都メンバーとの討議を通じて成長したい人は是非。

2012年2月16日木曜日

発明塾京都第72回開催報告

第72回を開催しました。前回の人数から、Gr分けを考えていましたが、ぎりぎり分けるほどの人数でもなかったですね、今回は。10名ぐらいだと、分けるかどうか迷うところです。


次回、人数が多ければ分けましょう。


さて、今回は発明塾の法則に則り、「人数が少ない時に重要なことが話され」ました。数式⇔具体的な現象のイメージ(図形など)という「直観」に至るまで、現象と数式を理解することが重要です。これも「具体化」と「抽象化」の典型的な例です。抽象化を通じて新たな発想に至る、という基本がここにあるわけです。分野間のアナロジーの話など、すべてこれです。(振り子と電気回路など)


今回読んだ論文に書かれている Youngの式他 をどこまで「直観」として理解しているか、理解できるまで繰り返し考えたか。暗記や表面的な理解でとどまっていては、その概念を使うことも出来ませんし、それを「経由」して新たな発想に至ることも出来ません。


大学では論文読み放題ですから、先行技術や要素技術の論文を見つけたら、その主題としている「数理物理」の部分を「直観」できるまで、反芻してください。それには、数式を書き写したり、変形したり、図を書いたり、と手を動かすことが重要です。


また、RFIは熟読し、討議内容も毎回MMにまとめ、それをベースに新しい切り口やアイデアを考え、持ち込むようにしてください。


P.S.
塾生さんの一名がナノテク展に参加し、非常に貴重なコメントを寄せてくれていますので、ML見ておいてください。

2012年2月10日金曜日

発明塾京都第71回開催報告

第71回は、新たなメンバー3名を迎え、試験修了後ということもあって大人数で開催しました。ここから4月まで、時間が取れる間にしっかりと発明を考えましょう。


今回は久々に「因数分解」と「課題化」を実演?しました。各自それぞれ掘り下げて、次回アイデアを持ち込んでください。


次回からは2班に分けて運営します。Gr分けの基準は少し考えます。


では、次回も宜しく。

2012年2月5日日曜日

発明塾東京第69回開催報告

今回は、個別討議の形となりました。


何名かの学生さんにも言っているのですが、完成度を高める、という作業をしないと成長しない。たとえば、バッハ、M.Davis、J.Hendrix、Beatlesの音楽がなぜ偉大なのか。全体の構成と細部の緻密さ。それが偉大さを構成しているのです。


素晴らしいアイデアもまた同じ。マクロ~ミクロへの論理を隙間なく緻密に構成し、細部を詰める。すべての論理的ステップに飛躍がなく、必要十分性が満たされている(必然性)。


そのようなアイデアになるように、自分のアイデアをあらゆる角度から見直し、細部を詰めていく。この作業を粘り強く繰り返すことによってのみ、素晴らしいアイデアに至る。その結果、ある種の「確信」に至ります。そうなるまで、粘り強く考えることです。


ふわふわ、うろうろ、では進歩しません。

2012年2月2日木曜日

発明塾京都第70回開催報告

今回は、いつものメンバーに加えて、立命館大学で僕の講義を受けてくれていた学生さん2名、社会人1名が参加、となりました。試験期間もそろそろ終わりなので、次回は回線が足りなくなるかもしれません。。。

討議は、2名の発明と現在取り組んでいるトピックに関する討議としました。自分で作業すること、他の人と討議すること、を明確に分けて、計画的に進めてください。

今回気づいたのは「先行技術を見つけていても見逃している」ということです。それは「発明を概念として捉えていない」「概念の階層性が整理できていない」ことになります。ロジカルシンキングの基礎が、まだまだ身についていないということかもしれません。

あとは、クリエイティブとクリティカル、をどう使い分けているか。この2重人格性を身につけられるかどうかが、発明塾で飛躍できるかどうかの分かれ目でしょう。ふわふわした「単に面白い人」になるか、「粗探しばかりでつまらない人」になるか。あるいは、それを乗り越えられるかどうか。三叉路になります。

他、1回生のメンバーから、技術系の参考図書に関する質問があったので、別途回答します。基本的には大学の教科書レベルでOKなので、理解できるまで繰り返し勉強し、それを実際に発明で使うことです。

単なるお勉強で終わらせず、実際の「系」「現象」に当てはめてみる。
それはまさに「科学」の第一歩です。発想法も、自分で繰り返し発明をしないと身につかない。それは他の技術的知識も同じです。脳は身体なのです。繰り返しトレーニング、以外に道はありません。

では次回もよろしく。

なお、春休みに京都で行う集中講義の日程希望申し込みが本日までですので、よろしく。場所は京都ですが、東京からも参加できます。