「発明塾®」へようこそ!: 塾長の部屋(54)~「大学時代にすべきこと」~立命館大学”発明講義”第5回から

2013年10月27日日曜日

塾長の部屋(54)~「大学時代にすべきこと」~立命館大学”発明講義”第5回から

立命館大学での「発明講義」(正式名称は「マーケティング・リサーチ」)も、そろそろ折り返し点になります(注1)。

今回の第5回講義では、Grワークの進め方も含め、皆さんが大学時代に身につけておくべき内容を、「おさらい」しました。


以下に一部を抜粋しておきます。


詳しくは、自分のノートを確認し、まとめ直し、理解を深めて下さい。



>>>以下、楠浦講義メモより引用


1.大学時代にやるべきこと


「大学に入って、久々に頭を使った」


というコメントが散見?されましたが、それは皆さんが、貴重な20代の時間と、学費を毎日如何に無駄にしていたか、ということです。同じ理由で、僕の授業では、講義外の課題を重視します。たかが週に1.5時間の「お話」で、何が身につくというのでしょうか?基本的に勉強は、「毎日自分でやる」ものです。


「時間外の課題が多いので減らして欲しい」という意見がありましたが、「楽がしたい」なら履修しなければよいのです。必修科目ではありませんから。僕の講義は「もっと勉強したい」という学生に対して、常に開かれたものでありたいと思っています。実際「もっと勉強したい」という学生には、毎年多数の参考図書や資料を紹介しています(注2)。


マッキンゼーの「Up or Out」(向上なき者は去れ)に合わせると、「向上心なき者は去れ」でしょうか。


幸いにも、僕の講義は毎年非常に高評価で、「来年度も継続してほしい」と理工学部から連絡が来ました。立命館大学の少なからぬ学生が、「もっと勉強したい」と思っていることは、僕にとっては希望の光です。


大学で学ぶ、専門科目などの個別の知識はもちろん重要ですが、「一生通用する学びの技法を身に付けること」こそが、大学時代にやっておくべき、最も重要なことです。大学時代に得た知識で一生食っていけるほど、世の中甘くありません。次から次へと、新しい状況を切り開き、問題か解決するための知識/スキルが必要とされます。仕事をしながら、いかにそれらの知識/スキルを身につけていくか。


皆さんが社会で活躍するためには、それが最も重要です。


そもそも「勉強したことで食っていける」=シーズ発想、「目的を達成するために、あらゆる必要な手段を身につけ、駆使する」=ニーズ発想/目的思考、です。社会で求められるのは、常に後者です。


「学んだことを使って、テストで良い点を取る」という学習に対する態度は、高校までで捨てることです。社会では、「学んだことを使ってくれ」と言われることはありません。「これをなんとかしてくれ」「この目標を3ヶ月以内に達成してくれ」と、課題/目的から始まるのです。


「目的思考」が出来なければ、皆さんを待っているのは「使い走りの仕事」です。出来る範囲の、言われたことをやる、という状況に甘んじるしかありません。


僕は皆さんに、充実した人生を送ってほしいと思っていますし、そのために、「自分で状況を切り開ける(課題を解決できる)」社会人になってほしいと思っています。僕が見る限り、在籍しているすべての学生に、それは可能です。

「目的を達成するための手段を創造し、評価し、選択する」能力を、この講義を通じて鍛えて下さい。



ちなみに「学びの技法」の次は、「一生付き合える少数の友を得ること」です。多数は不可能です。見極め、「これは」と思う友を大事にすることです。

とはいえ、大学できちんと勉強するのは
意外と難しい。山登りのように
正しい「ガイド」が必要です。

>>>引用終わり

他にも、数多くのトピックを取り上げました。事前準備した講義メモから、タイトルだけ抜粋しておきましょう。


・「読んできて」と言われてやるべきこと~「理解」とは何か

・なぜ「あいまい」な状況と感じるのか~「手段」を指示されることに慣れきっている
・なぜ人は「学べない」のか~無知を認める素直さ
・Grワークの落とし穴~集団バカを避けるために
・「決められない」人の特徴~決めないということも決断である
・まぐれ/決め打ちの無駄~何をするにも理由を持て
・組織は必ずリーダーを必要とする~「霧の中を進む勇気」を持つ

機会があれば、本Blogでも取り上げましょう。




※ 注1) 下期15回の通常講義のため。例年、前半7回を「特許情報分析」、後半7回を「発明発想法」とし、最終回は「知財戦略とイネーブラー」の講義に充てています。



※ 注2) 今回の講義で取り上げた参考図書は、以下。

・「失敗の本質」(野中)
・「学びの心理学」(秋田)
・「知識創造企業」他、野中郁次郎の著作
・「選択日記」(アイエンガー)
・「イシューからはじめよ」(安宅)
・「問題解決の全体観」(中川)>他、ロジカルシンキングに関するものは、いくつかまとめて読んでおくと良い。
・「戦争論」クラウゼビッツ
・「加速するテクノロジー」他、レイ・カーツワイルの著作>人工知能の専門家。知っての通り、彼は先日Googleに招聘されています。「知を生み出す」領域に、コンピュターがますます入り込んでいます。人間が「コンピューター以下」になる日はいつ来るのか、それを見通した本を、彼がいくつか出しています。
・「7つの習慣」(SRコビー)
・「入門ビジネスコーチング」(本間)他、コーチング理論、とくにGROW理論(以下)に関する本
http://www2.ocn.ne.jp/~honeybee/communication/coaching/CoachingGrowModel.html