「発明塾™」へようこそ!: 10月 2013

2013年10月27日日曜日

塾長の部屋(54)~「大学時代にすべきこと」~立命館大学”発明講義”第5回から

立命館大学での「発明講義」(正式名称は「マーケティング・リサーチ」)も、そろそろ折り返し点になります(注1)。

今回の第5回講義では、Grワークの進め方も含め、皆さんが大学時代に身につけておくべき内容を、「おさらい」しました。


以下に一部を抜粋しておきます。


詳しくは、自分のノートを確認し、まとめ直し、理解を深めて下さい。



>>>以下、楠浦講義メモより引用


1.大学時代にやるべきこと


「大学に入って、久々に頭を使った」


というコメントが散見?されましたが、それは皆さんが、貴重な20代の時間と、学費を毎日如何に無駄にしていたか、ということです。同じ理由で、僕の授業では、講義外の課題を重視します。たかが週に1.5時間の「お話」で、何が身につくというのでしょうか?基本的に勉強は、「毎日自分でやる」ものです。


「時間外の課題が多いので減らして欲しい」という意見がありましたが、「楽がしたい」なら履修しなければよいのです。必修科目ではありませんから。僕の講義は「もっと勉強したい」という学生に対して、常に開かれたものでありたいと思っています。実際「もっと勉強したい」という学生には、毎年多数の参考図書や資料を紹介しています(注2)。


マッキンゼーの「Up or Out」(向上なき者は去れ)に合わせると、「向上心なき者は去れ」でしょうか。


幸いにも、僕の講義は毎年非常に高評価で、「来年度も継続してほしい」と理工学部から連絡が来ました。立命館大学の少なからぬ学生が、「もっと勉強したい」と思っていることは、僕にとっては希望の光です。


大学で学ぶ、専門科目などの個別の知識はもちろん重要ですが、「一生通用する学びの技法を身に付けること」こそが、大学時代にやっておくべき、最も重要なことです。大学時代に得た知識で一生食っていけるほど、世の中甘くありません。次から次へと、新しい状況を切り開き、問題か解決するための知識/スキルが必要とされます。仕事をしながら、いかにそれらの知識/スキルを身につけていくか。


皆さんが社会で活躍するためには、それが最も重要です。


そもそも「勉強したことで食っていける」=シーズ発想、「目的を達成するために、あらゆる必要な手段を身につけ、駆使する」=ニーズ発想/目的思考、です。社会で求められるのは、常に後者です。


「学んだことを使って、テストで良い点を取る」という学習に対する態度は、高校までで捨てることです。社会では、「学んだことを使ってくれ」と言われることはありません。「これをなんとかしてくれ」「この目標を3ヶ月以内に達成してくれ」と、課題/目的から始まるのです。


「目的思考」が出来なければ、皆さんを待っているのは「使い走りの仕事」です。出来る範囲の、言われたことをやる、という状況に甘んじるしかありません。


僕は皆さんに、充実した人生を送ってほしいと思っていますし、そのために、「自分で状況を切り開ける(課題を解決できる)」社会人になってほしいと思っています。僕が見る限り、在籍しているすべての学生に、それは可能です。

「目的を達成するための手段を創造し、評価し、選択する」能力を、この講義を通じて鍛えて下さい。



ちなみに「学びの技法」の次は、「一生付き合える少数の友を得ること」です。多数は不可能です。見極め、「これは」と思う友を大事にすることです。

とはいえ、大学できちんと勉強するのは
意外と難しい。山登りのように
正しい「ガイド」が必要です。

>>>引用終わり

他にも、数多くのトピックを取り上げました。事前準備した講義メモから、タイトルだけ抜粋しておきましょう。


・「読んできて」と言われてやるべきこと~「理解」とは何か

・なぜ「あいまい」な状況と感じるのか~「手段」を指示されることに慣れきっている
・なぜ人は「学べない」のか~無知を認める素直さ
・Grワークの落とし穴~集団バカを避けるために
・「決められない」人の特徴~決めないということも決断である
・まぐれ/決め打ちの無駄~何をするにも理由を持て
・組織は必ずリーダーを必要とする~「霧の中を進む勇気」を持つ

機会があれば、本Blogでも取り上げましょう。




※ 注1) 下期15回の通常講義のため。例年、前半7回を「特許情報分析」、後半7回を「発明発想法」とし、最終回は「知財戦略とイネーブラー」の講義に充てています。



※ 注2) 今回の講義で取り上げた参考図書は、以下。

・「失敗の本質」(野中)
・「学びの心理学」(秋田)
・「知識創造企業」他、野中郁次郎の著作
・「選択日記」(アイエンガー)
・「イシューからはじめよ」(安宅)
・「問題解決の全体観」(中川)>他、ロジカルシンキングに関するものは、いくつかまとめて読んでおくと良い。
・「戦争論」クラウゼビッツ
・「加速するテクノロジー」他、レイ・カーツワイルの著作>人工知能の専門家。知っての通り、彼は先日Googleに招聘されています。「知を生み出す」領域に、コンピュターがますます入り込んでいます。人間が「コンピューター以下」になる日はいつ来るのか、それを見通した本を、彼がいくつか出しています。
・「7つの習慣」(SRコビー)
・「入門ビジネスコーチング」(本間)他、コーチング理論、とくにGROW理論(以下)に関する本
http://www2.ocn.ne.jp/~honeybee/communication/coaching/CoachingGrowModel.html





2013年10月26日土曜日

発明塾京都第152回開催報告~「知財は交渉力」と思う日々

第152回も、いつも通り各自のアイデアや特許分析の結果を討議し、その後課題演習を行いました。

発明には、特殊/高価なツールは必要ない。先行技術を素早く見つけ、その技術思想を見抜く手法に、まず習熟すること。その上で、常に技術を流れで捉えること。そして、集団/個人でのアイデア出しについての「若干の」技法を、しっかり身につけることです。


経験上、さほど難しいことではありません。


一定期間の訓練で、必ず身につくものです。


変な理屈をこねずに、地道にトレーニングに励んで下さい。


丁度皆さんが、受験勉強をしていた頃を、思い出すと良いでしょう。


なぜか日本人は、大学に入ると勉強法を忘れてしまうようですが、ほとんどの高校生は、予備校などで、正しい勉強法を学んでいます(注1)。忘れないことです。


あとは、「わからないことを、わからないと認める素直さ」です。


素直さの議論は、以前やりましたので割愛します。


「分かった風」


を装っても、何も得るものはありません。わからないことを見つけ、認め、頭を下げて教えを請うことです(注2)。なぜか、わかっていない人ほどプライドが高く、わかっていないという事実を、なかなか認めたがりません(だから、色んな事が「わかっていないまま」、大きくなってしまうのでしょうが)。


多数の学生や部下を指導してきた結果、一見「天然(ちょっとズレている人)」に見える人のほとんどにおいて、「分からないことを認めるのが恥ずかしい」という点が、学び/成長を阻害していることが、わかっています。「ズレ」は、「わからないことを放置した結果」なのです。


「ひょっとして」と思う人は、早めに修正しましょう。「わからないことを放置する」ことが癖になると、「ズレ」がどんどん広がって、最終的に誰も何も教えてくれなくなります。広がったズレを自ら認めるのも、かなりの苦痛が伴うでしょうから、この悪循環は止まりません。


放置して、良いことはなさそうです。



さて今回は、直近でいくつか興味深いニュースが有りましたので、塾で取り上げきれなかった部分も含め、取り上げておきます。知財戦略/知財権が「どのように」重要になりつつあるか、ということを、これらのニュースから読み取って欲しい(注3)。



1.NTTドコモが「iPhone」を販売するかわりに提供したのは?

これは、以前から多くのニュースが流れていましたので、ご存じの方も多いでしょう。あるいは、無線通信の業界では、よく知られたことだったのだろうと思います。

・「アップルがiPhone販売の見返りにドコモに突きつけた条件とは」

http://www.techvisor.jp/blog/archives/3541

最新の記事は、いくつかまとめて以下に引用されています(注4)


・「アップルの密約-ドコモに与えた最恵国待遇」

http://ameblo.jp/enntopia777/entry-11645970271.html

AppleはもともとPCメーカー。携帯音楽プレーヤーの延長線上で、携帯電話に参入している(注5)。では、以下の計算をしてみましょう。


「携帯電話-PC=?」


答えは無線技術である。初代 iPhone が、なぜ GSM(第2世代) だったか。なぜ Qualcomm チップではなく、Infinion チップだったか。「新しくてクールな商品を出すのがウリ」のAppleが、なぜいまさら「時代遅れ」の「第2世代」の携帯電話を?、誰もがそう思ったハズである。


このあたりも、知財面から見れば、理由が分かる。その辺の理由から察するに、Appleは現在、「知財に関しては、かなり用意周到な会社」である。


無線通信業界において、技術と知財を巡る争いは、販売権にまで飛び火している。まさに「知財は交渉力」の面目躍如だ。


元キヤノン知財部/大阪工業大学 田浪教授は、弊社主催の「知的財産セミナー」で、以下のように述べておられる。


「知財を交渉力として、優れた技術を持つ企業と、有利な立場で提携していく」


それこそが、「知財戦略」だと。



ここで思い出すべきなのは、IBM(注6)。


・「発明塾京都第150回開催報告/京都大学「ものつくりセミナ」講義報告」

http://edison-univ.blogspot.jp/2013/10/150.html

IBMと通産省の「コンピュータ」交渉/戦争で、最終的に飛び出したのも「電電公社(現NTT)の特許」。日本にコンピュータ産業が残ったのは、この交渉の結果。つまり、電電公社の特許のお陰。以下に取り上げる NEC(日本電気) も、いわゆる「電電ファミリー」として、日本のコンピュータ産業とともに成長した会社です。



2.NEC と Lenovo の「携帯電話端末事業」譲渡交渉

Nokiaの携帯端末事業譲渡(注7)の時もそうでしたが、少なくとも無線通信の世界では、もはや事業価値の大半は「特許」になってしまっている。技術者出身の経営者である僕としては、若干の寂しさと「否定したい気持ち」があるのは否めないが、数字や交渉の経緯が示していることなので、仕方がない。

・「パソコン世界一 中国レノボ襲う盛者必衰のジンクス」(日経新聞有料記事:注8)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1104E_R11C13A0000000/

特に基地局を含むインフラ系の特許に、興味を示していると言われている。Nokiaが端末事業を売却して、インフラ系に特化しようとしていることを合わせて考えると、興味深い。交渉力争いが、既に始まっているのであろう。


もはや、技術系企業の交渉事において、特許や知財の話は避けて通れない。将来、経営を志す理系学生は、知財を武器として駆使する方法を熟知することが、必須である。それは、経営の自由度を著しく高め、経営目標達成に向かって、柔軟に取り組めるようになることを意味する。


いや、あるいはもはや「知財を熟知」していなければ、「経営に柔軟に取り組めない」ことを、意味しているのかもしれない(注9)。少なくとも、LenovoやApple、NokiaやSamsungを相手にするなら。




※ 注1) 実際、僕が実践している勉強法、読書法、ノートの取り方は、全て「駿台予備校京都本校」で学んだ方法です。塾生に聞く範囲では、今でも全く同じことを教えているようです。本質的な方法は、時代/環境を越えて通用する、ということでしょう。


※ 注2) 社会人でも、これが出来ない人が結構多いのも事実です。セミナーでたまにこういう人に出会うのですが、学びたいのか学びたくないのか、よくわからないのでとりあえず徹底的に無視することにしています。


※ 注3) 知財(権)は、良くも悪くも「経営のツール」でしか無い。技術系企業においては、研究開発成果をマネタイズするためのツール。交渉力としてどう使うのか、技術/頭脳のエグジットとしてどう位置づけるのか、ROIを高めるためのツールとしてどう活用できるか。僕はよく、クライアントの経営者/知財部門の方々と、そのような話をします。

少し前に、元ゼロックス/現ライセンス協会の原嶋会長とお話をしたのですが、ほぼ同じことをおっしゃられていました。


※ 注4) 原記事は以下(有料)。


・「アップルの密約-ドコモに与えた最恵国待遇」

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1803K_Y3A011C1000000/?df=4


※ 注5) このへんの詳しい経緯は、また機会があれば知財面での分析を交えて、取り上げたいと思います。



※ 注6) IBMに関する過去ブログは、他に以下。


・塾長の部屋(51)~「IBMの知財戦略/戦える頭脳集団へ」

http://edison-univ.blogspot.jp/2013/09/ibm.html

・発明塾京都第148回開催報告~「事業/企業のライフサイクルに合った知財戦略」

http://edison-univ.blogspot.jp/2013/09/148.html


※ 注7) 栗原弁理士のブログによれば、10年間の特許利用料が「40%以上」を、占めています。


・「マイクロソフトはノキアを特許ごと買ったのか?」

http://www.techvisor.jp/blog/archives/3929


※ 注8) 今後、無償の様々な引用記事が出れば、それに差し替えます。



※ 注9) 実際に、携帯通信の分野を中心に、大手製造業の知財交渉担当者から相談の連絡を頂くことも多く、少なくとも知財の世界では、「事前に武器を準備していなければ、戦えない」ことを、痛感する。攻められてからアタフタしても、打てる手は限られている。むしろ、「攻められそうなところへ、どう先手を打つか」という話で来て欲しい、と思ってしまう。


これも、例えば以下、元ホンダ知財部長の久慈氏が、再三指摘している。


・世界一知財訴訟を仕掛けたホンダの元知財部長が語る「攻めのハンター型知財戦略」

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2246?page=2

一方で、「攻めに出るようになってから、警告状がピタリと来なくなった」というお話を伺うこともある。つまり、これまでグレーゾーンだったところが、「シロ」になったわけである。経営/研究開発の自由度が広がった、ということである。



2013年10月20日日曜日

発明塾京都第151回開催報告~「作り込み」と「確信犯」再び

第151回は、発明の基礎となる演習課題と、アイデアの討議を行いました。いきなり面白い視点のアイデアもあった一方で、せっかく先行技術を見つけていても、それが読みこなせていないため、先に進まない、という例もありました。

そのためにも、塾で出題している「演習課題」を、しっかりとこなし、かつ、自分の発明作業で、学んだ事を、すぐに実践することです。


「単なるお勉強屋」には、僕は興味はないので。



さて、今日は僕が「川崎重工業」のオートバイ開発部門で学んだ2つのことを、お話しましょう。皆さんが仕事を選ぶ時の、一つの規準になればと思います。それは、以下の2つの言葉で表されます。


・「作り込み」

・「確信犯」

いずれも、当時の開発部門の部長が、口癖として繰り返していた言葉で、特に後者の「確信犯」は、僕の座右の銘の一つでもあります。



1)「作り込み」

不思議と今でも、その時のことをはっきりと覚えているのですが、当時部長がこの言葉をしつこく繰り返していたのは、「ある機種」(注1)の開発についてでした。

「ネチネチと作り込んで、市場で高く評価されるものにしていくのが、カワサキ流なんですよ」


と、開発担当の係長さんに向かって、それこそ「ネチネチ」(注2)言っておられました。カワサキはオートバイメーカーとしては規模は大きくないため、開発したエンジンをどう発展させていくかということに、強いこだわりと独自の方法論を持っていたようです。


「新しい型を起こすな」


と、僕自身もかなり強く言われました。設備投資を抑えるという点が一番でしょうが、「完成度を高める」「突き詰める」という土壌も、有ったように思います。


例えば、僕が大学時代から10年以上乗っていたオートバイ「ZZ-R1100」。


・「ZZ-R1000」 http://bit.ly/1guk5Jt


このオートバイは、1990年に「世界最速(注3)」を謳い文句にしてデビューし、メーターも 320Km/m まで目盛りがあることが、当時非常に話題となりました。


しかしこのオートバイのエンジンの基本設計は、1984年のGPZ900Rに遡ります。その後、GPZ1000RX、ZX-10、と排気量変更を含め少しずつ改良を重ね、ZZ-R1100になります。当たり前なのですが、当時開発に携わった先輩方と机を並べて仕事をさせていただいたので、当時のことも色々伺うことが出来ました。


自分が乗っていたオートバイということもあり、ZZ-R1100に至るまでの歴史は、書物で分かる範囲ではすべて勉強してから入社したのですが、開発者に直接話を聞き、自分で実際に開発を担当して(注4)、「作り込み」の意味を、肌で感じることが出来ました。


非常に貴重な経験だったと、当時の先輩方/上司に、とても感謝をしています。


「作り込み」「完成度を上げた」ZZ-R1100のエンジン(型式名:ZXT10CE)は、僕にとっても思い入れのある、「究極のエンジン」です。


カワサキは、他社に比べても「作り込み」が、非常に上手いメーカーだと思います。僕が担当したW650も、当初から900cc化の計画もあり、僕もその検討を担当しています(注5)。



2)「確信犯」

新機種開発は、基本的に「不具合対策(注6)」の連続です。設計としてギリギリを攻める場合には、ある程度予測して、材質や形状の異なる部品を複数手配しておくのですが、当然「想定外」の事が起きます。

不具合対策のために、次々に行われる「開発会議」で部長が「確信犯でやってくださいよ」、と言うわけです。


☓「たぶん、これで行けるだろう」

◯「絶対、これで行けるはず」

つまりそういうことだと、僕は理解していました。「根拠と自信」が「確信」にまで高まるほど、「検証」した結果なのか、ということです。


「検証」は、「自問自答」と言い換えることも、出来る。



よく「大学時代の勉強なんか、企業では役に立たない」という人がいますが、それは「使ってないだけ」でしょう。あるいは、そこに至るまで「考えていない」だけでしょう。


実際僕が、エンジン設計を担当した当初、大学時代の教科書を開かなかった日はありません。特に材料力学や、材料そのものについて、大学時代に学んだ知識をフル活用しました。不具合対策会議に、分析結果をレポートするときにも材料に関する様々な文献、理論を踏まえる必要がありました。


「確信犯」(注7)


には、「知識」と「理論的理解」が欠かせません。


塾生さんには、ぜひ、上記のような職場でみっちりと自分を「鍛えあげて欲しい」と思いますし、それに耐えられるだけの勉強を、大学時代に積んでおいて欲しいと思います。


発明塾が、そのきっかけになれば、これ程嬉しいことはありません。




※ 注1) 「機種」とは、バイクの種類のことです。ここは記憶が曖昧なのですが、たぶんVN800(通称「バルカン800」)だったと思います。


※ 注2) 余談ですが、ひょっとしたらカワサキだけかもしれませんが、開発から上に行く人は、全員この「ネチネチ」を持っておられました。当時のその開発の部長も、その後、事業部長になられました。


※ 注3) 当時は、国内4社すべてが「世界最速」を競って、新たなオートバイを次々に開発していた時期でした。320km/hのメーターが「伊達ではなかった(実際に300km/hを超える速度が、素人でも安全かつ簡単に出せる)」こともすぐに証明され、「世界最速と言えばカワサキ」という時代が、しばらく続きました。


※ 注4) その後、ZZ-R1200になる際(前)に大幅な変更が加えられ、同じエンジンとは言い難くなりました。その際、幸運なことに、そのトランスミッションの設計を、すべて担当することが出来ました。自分が乗っているオートバイの「次の機種開発」ができる、ということで、今まで以上に力が入ったことを覚えています。


※ 注5) 当時は「900cc 化は、熱的に厳しいかな」という結論になり、実機製作せずお蔵入りでしたが、その後2011年に、ボア(ピストン径)アップをした 800cc 版が発売されています。この排気量のチョイス、当時の検討内容を思い出しても、絶妙だと思います。

当時に比べると、多少材料が良くなっているでしょうが、やはり900cc は厳しかったのでしょう。息の長い機種になってほしいですね。
ちなみに空冷のエンジンは、ありとあらゆる部品の材料が「熱的(耐熱温度/高温強度)」に厳しいので、「材料」の勉強になりました。「材料」の知識は、製造業ならどこへ行っても役に立つ知識の、一つです。

※ 注6) 誤解のないように言うと、開発中の「破損」「故障」などを、開発工程では「不具合」と呼びます。



※ 注7) 塾生の理解については、以下参照。


・塾長の部屋(38)~「毎週教会へ行く」ことの意味

http://edison-univ.blogspot.jp/2013/03/blog-post.html


2013年10月14日月曜日

塾長の部屋(53)~「知的財産マネジメント研究会(Smips)」150回の繋ぐ「縁」

今回は、「縁」について。

先週土曜日10月12日、「知的財産マネジメント研究会(Smips)」第150回が行われました。

・「知的財産マネジメント研究会(Smips)」
 http://www.smips.jp/

私の知る限り、毎月開催という高頻度で、かつ、これだけの規模(毎回100名程度の参加者)で無料開催されている、「知財」「産学連携」「技術移転」等に関する勉強会は、他に無いと思います。150回に際して、改めて、総合オーガナイザーの隅蔵さん/西村さん/事務局スタッフの皆さんのご尽力と「継続」の素晴らしさを、感じました。

・「知的財産マネジメント研究会(Smips)」とは?(及び連絡先)
 http://www.smips.jp/abo.htm


さて、私がはじめてSmipsに参加したのは、第100回記念の会です。今回の150回までに、様々な出会いがありました。全て取り上げることは不可能ですが、今回は3つを取り上げさせていただき、Smips150回の記念にしたいと思います。


①「発明塾@東京」初期メンバー
「発明塾」は2010年4月に、東京で第一回を行いました。4年目の現在、東京での活動は行っておりませんが、初期メンバーとの出会いがなければ、@京都も無い。そんなことを考えながら、第150回に参加しておりました。
@東京メンバーの何名かは、その後「知財の仕事」に就いています。またどこかで接点があるのだろうな、と思って楽しみにしています。


②「知財業界の起業家」
2009年に、「知財キャリア分科会」で僕自身が知財に関わるきっかけや、当時の業務について紹介した際に、様々な方からご連絡をいただきました。その中で、同じく「起業家/経営者」の方で、今でも交流がある方がお二人。

お一人は、発明塾/立命館大学にもお越しいただいている、アスタミューゼ株式会社の永井さん。彼も起業して10年とのこと。年齢はひとまわり違うはずですが、不思議と話が合う方です。現時点では、会社規模が全く違いますので、経営者としては、僕のほうが追いかける側になっています。

・「Astamuse」
 http://astamuse.com/

「人類の知を、もっと活用できるプラットフォームを作ろう」という彼のビジョンについて、立命館大学MOTの講義でも、度々紹介いただいております。


もう一人の方は、僕と同じ年代、同じような経歴の方です。まさに今、新しいシーズで勝負をかけておられるので、氏名や取組み内容は伏せさせていただきますが、僕が今最も注目している方です。


③「クアルコム」の知財戦略
実は私が、「クアルコム」の知財戦略について知ったのは、記憶に間違いがなければ、2009年の9月に開催された、Smips恒例の「ワークショップ」です。ここで、ある企業の方が、知財戦略/ライセンスの威力について、非常にわかりやすい「ケーススタディ」を紹介しておられました。当時、知財が何たるかイマイチ理解出来ていなかった僕が、その威力を知ることになったのは、Smipsだったわけです。

他にも多数の方との、ご縁がありました。例えば、東京工科大学の尾崎教授。Smipsでお話を伺ったことがきっかけで、日本知財学会の第8回年次学術研究発表会(2010年)にて、企画セッション「グローバルな『知』を巡る攻防~投資とその利回り」(注1)を、企画運営させていただきました。

挙げるとキリがありませんね。


もちろん、総合オーガナイザーのお二人、事務局のスタッフの方々、「知財キャリア分科会」共同オーガナイザーの上條さんを始めとした、各分科会のオーガナイザーの皆さんとの出会いの重要性は、言うまでもないことです。改めて感謝の意を表させていただきます。

これまで「知財キャリア分科会」にて話題提供いただきました、多数の知財関係者/起業家の方々にも、改めて深く感謝申し上げます。ありがとうございました。

また今回、大学の後輩かつ、「甲斐塾」の後輩にも、出会うことが出来ました。最近、後輩や同期が、「知財」の仕事に就いたと連絡があるケースが、とても増えています。時代でしょうか。


次回151回では、久々に私が関わっている「研究」の成果について、話題提供させていただきます。新たな出会いに、期待しております。詳しくは以下、「告知」ページにて。

・「告知」
 http://edison-univ.blogspot.jp/p/blog-page_5012.html

皆さま、お気軽に参加下さい(参加無料、入退出自由のアットホームな勉強会です)。



※ 注1) 詳細は、以下参照。
・「日本知財学会 第8回年次学術研究発表会」HP
 http://www.ipaj.org/workshop/archive/workshop_2010.html


※ 注2) 縁といえば、「知財の利回り」(岸宣仁 著)を読んだり、当時のテレビ東京WBSの映像を見て、知財業界に興味を持った、という世代が、(弊社に限らず)知財業界の第一線で活躍する時代になっており、一緒に仕事をしています。

これもまた、素晴らしい縁だな、と思います。


2013年10月11日金曜日

発明塾京都第150回開催報告/京都大学「ものつくりセミナ」講義報告

若干手抜きで、今週の報告を。

1)京都大学工学部機械系「ものつくりセミナ」講義
川崎重工時代(注1)から、なんだかんだで15年ほど、毎年何らかの形で行っているわけですが、今年は「知財」を中心に、話題提供してきました。

この15年で、「エンジン設計」⇒「歯車設計」⇒「ナノテク/バイオ」⇒「知財/発明」と、めまぐるしくトピックが変わっていますが、伝えることは、いつも同じです。

・昨年の講義内容はこちら↓
「京都大学「ものつくり演習」講義報告」
http://edison-univ.blogspot.jp/2012/10/blog-post.html
「京都大学「ものつくり演習」講義レポートを読んで~在るために働く(B価値)」
http://edison-univ.blogspot.jp/2012/12/b.html

失敗を恐れず、成長できる環境を求めて、常に挑戦して欲しいですね。今年のレポートが楽しみです。

さて、今年は「知財」ネタを増やしました。一つは、IBM/NTTの特許交渉。もう一つは、IBM/富士通のコンピュータ戦争。

・「iPhoneとドコモと特許戦争」 週アスPlus 2013年09月09日
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/167/167921/

以下に、関連箇所を引用しておきます。
「日本最初のコンピューターが動いた1956年には、米国はもちろん、欧州の西側諸国を中心に、イスラエル、チェコスロバキア、オーストリア、ソ連でもコンピューターが完成していた。ところが、このコンピューター産業、1980年頃までに、米国以外では日本だけが生き残ることになる。その理由のひとつが、通産省によるIBMとの特許交渉(日本企業に利用を認めさせる)だとされる。 私は、担当者の平松守彦さんにインタビューしたことがあるのだが、1960年の交渉では外資法が日本側のカードだったが、1970年の交渉では、旧電電公社の特許による技術が交換条件となった。」

日本のコンピュータ産業が、かろうじて生き残れたのは、旧電電公社の特許のおかげ、ということでしょうか。IBMの攻撃をかわした、というその特許(群?)、どんな特許だったのでしょうね。

IBM/富士通については、既に紹介済みですので割愛します(注2)。


2)今週の発明塾
さて今回は、発明討議の後、原点に立ち返り「ドリル」的な問題を出しました。呆れるほど簡単な問題ですが、基本を疎かにしては、良い発明は出せませんので、日々トレーニングに励んで下さい。僕の指示する訓練を続ければ、必ず良い発明が出せるようになります。僕自身と、皆さんの先輩の出した実績が、その証明です。

では、次回も宜しく。



※ 注1)川崎重工時代は、僕自身が企画して、半年の「設計製図演習」を行っていました。以前もどこかに書きましたが、オートバイ/ジェットスキー(川崎重工の商標です)/バギーなど、ひと通りの部署から人を出してもらって、講義と設計/製図を行ってもらうという、贅沢な授業でした。僕自身は、オートバイのエンジンの部分を担当し、例によって「教科書づくり」をやりました。大学時代からやり続けているので、様々な分野の教科書づくりは、僕の「ライフワーク」の一つかもしれませんね。


※ 注2) 以下(特に注2)参照。

・塾長の部屋(51)~「IBMの知財戦略/戦える頭脳集団へ」
http://edison-univ.blogspot.jp/2013/09/ibm.html




2013年10月6日日曜日

発明塾京都第149回開催報告~「読書法/読書論」

今回は、新しい発明テーマに取り組むための、準備の討議となりました。これから12月まで、このテーマで「業界のキャスティングボードを握る」ような発明を、「ポートフォリオとして創出する」ことを目指します(注1)。

「頭脳を武器にし、知を武器にする」


ことを、これからも実践し、皆さんの能力を「実績で証明」していきましょう(注2)。



さて、今週取り上げたいのは「読書法」です。最近、社内の勉強会も含め、読書法について触れる機会が複数ありました。何度も言うのも面倒ですし、本にも書いてあることですから、立命館大学生の参考のためにも、まとめておきます。


ちなみに、僕は読んでいませんが、以下の本に、僕が実践しているのと「ほぼ」同じ読書法が、解説されているようです(注3)。


・「読書の技法-誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門」佐藤 優






僕の読書法は、時代の変遷を経て、以下のようになっています。


①さらっと読む本は、一気に読む/まとめて読む。1冊/30分程度で、関連書籍を複数、一気に読む(3冊が目安)。

②重要な本(古典など)は、繰り返し読む。また、意図的にゆっくり読む。できれば、「暗記」する。
③メモを残す。
④本は買う。


それぞれ、詳細に解説していきましょう。まず①ですが、これまでも、「ある分野について勉強するときは、まず3冊読む」などのお話はしてきましたので、それ以上でもそれ以下でもありません。


1冊/30分は無理でしょ、と思われる方も多いと思います。ポイントは2つ。


・慣れ

・時間を決める(価値を推定する)

で、いずれも訓練です。



次に②ですが、例えば発明塾では「丸島本と小川本は100回読め」、と紹介しています。もう一つのコツは、「意図的にゆっくり読む」ことです。例えば僕の場合、いくつかの本は、数年かけて読んでいるものもありますし、毎日読んでいるものもあります。あえて「英語版(というかオリジナル)」で読んでいるものもありますし、さらに、英語オーディオブックにしているものもあります。


細切れに読むことで、前の内容を思い出す必要があり、場合によっては読み返すことで、自然と理解が深まり、かつ、読み返すのが面倒なので、憶えてしまうようになります。


また、読み慣れた本は、日本語で読むと読み飛ばしてしまうので、「英語」で読むことで、スピードを遅くします。更に英語オーディオブックにすると、繰り返し聞かないと、「聞き取れ」すらしないので、その効果は高まります(憶えないと解釈出来ない)。



③については、①/②いずれの本でもやるのですが、方法が違います。①の本については、「他にない重要な内容(差分かつ本質)」を、5つ程抜き出して、箇条書きにします(注4)。


②の本については、専用のノー
(注5)を準備し、重要なところを書き写し、自分なりの解釈を入れたり、他の本の内容と結びつけたりします。


④は、ゆっくり読むために、意図的に下線を引いたりするので、買わざるを得ません。また「綺麗に読もう」とか思うと、それが気になって頭に入らないものです。

僕もかつて、図書館で本を大量に借りて読んでいましたが、後で買い直してコメントし直して・・・と二度手間なので、結局止めました。20代なら良いかもしれませんが、それ以上になると、時間制約が極端に大きくなりますから(でも、誰にとっても1時間は1時間なんですけどね)。


僕自身が、完全に独学で創り出した方法(注6)なので、これが皆さんにとって良い方法かどうかは不明ですが、いずれにせよ「自分なりの必勝法」としての読書法を、ぜひ大学時代に掴んで欲しいと思います。


それは、一生の財産になると思います。




※ 注1) 夏休みに、その下準備と簡単な演習が、出来たと思います。


※ 注2) Not 口先、Not プレゼン、という意味です。


※ 注3) 塾生/社員複数の証言。繰り返しですが、僕は読んでいませんので、内容に責任は持てません。


※ 注4) これが、TechnoProducer株式会社のメルマガにある、「本紹介」のネタになっています。


※ 注5) ノートの取り方については、別途「駿台式勉強法」と合わせて、取り上げたいと思います。


※ 注6) 他、細かいノウハウは、紹介するとキリがありませんので、又の機会に是非。



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