「発明塾®」へようこそ!: 塾長の部屋(65)~「欠点は、やがて長所となる」

2014年3月30日日曜日

塾長の部屋(65)~「欠点は、やがて長所となる」

いよいよ4月から新生活、という塾生にむけて、再びいくつかのメッセージを。

まず一つ目は感謝。

発明塾の活動で、一番得るものが有った一人が、僕自身でしょう。

・多くの「意欲的」な学生が参加してくれたこと
・実際に「企業に採用される」発明を、多数創出してくれたこと
・長い学生さんでは「4年間」という長期にわたり、継続的に創造的な議論を「毎週」行えたこと
・徹底的に言語化することを通じて、自分の「発明思考回路」を明らかにできたこと
・そして、それが習得可能なスキルであるという「僕の仮説」を、実績で証明してくれたこと
(3つ上の内容ですね)

改めて、感謝の気持ちでいっぱいです。

「ありがとう!!!」


他にも、いろいろな気付きがありました。挙げるとキリがありませんが、タイトルに従って。
卒業(卒塾?にあたり、塾生さん達から「塾で学んだこと」について、メッセージを頂きました。差支えない範囲で紹介すると、

・「各自、得手不得手があり、違いがある」こと
・その違いが貴重であること
・だから、どんな意見やアイデアも、場に貢献できること
・「違わなければ意味がない」こと
・「研究開発の方向性を考える」という、貴重な機会を得たこと
・大学では決して習わない、基本的な情報検索の技術を身につけたこと

等々、これまたキリがないようです。


僕はいつも、

「各自の違いが重要」「その差分に注目せよ」

と繰り返し言っています。これは、僕の中では確信に近く、小さな違いに注目し、その本質を追及することが、大きな発明/発見につながっています。


もう一つ。

「短所を克服していく中で、本当の強みが生まれる」

たとえば「発想が乏しい」と思っている塾生さんについては、それをどう補うかについて、具体的指導を行います。長所は、もうできることなのだから、次はそれをどう「他の人のために、場で活かすか」について、これまた具体的に指導しています。

僕は、各自の短所(苦手なスキル)は、考え方によっては強みになると思っています。実際、発明の途中でつまづく塾生は必ずその時、

「長所が足を引っ張って」

います。一つ一つの発明を丁寧に討議し、発明提案書を添削する中でわかってきたことで、非常に興味深い事実です。「長所を伸ばす」だけでは、不十分なのです。少なくとも「発明」のような、高度な知的活動においては。


あと一つ。ドロップアウトする学生には、一定のパターンがあります。以前「素直さが重要」という議論を行っています。その続きともいえる、「Optimistic & Critical が重要」という議論もありました。

続ける上で重要なことは、「素直」「 Optimistic & Critical 」「意見に終わらせず、自分の態度と行動に落とし込める」ことだと、わかっています。

Critical の意味を「批判的に考えること」で終わらせている学生は、基本的に脱落しています。「意見」は言うが、「自分の態度、行動」に落とし込めないため、結果が出ないのはもちろん、自分の中で「解決できないこと」が蓄積して、自分で自分をつぶしてしまうようです。

「死に至る病とは、絶望のことである」
大胆に、かつ地道に、一つ一つ解決していくことで、
道は開けるかもしれない、
そういうものでしょう
「祈り、かつ、働け」
と言った人たちがいましたが・・・

分かりにくいので、例をあげましょう。

「消費税が8%に上がります」
⇒「もっと上げるべき」「ちょうどよい」「下げるべき」

3つのパターンがありますが、Critical に考えるとすると真ん中は有りませんので、「現状否定」となります。その先はだいたい「なぜなら?」となるわけですが、僕はこの問いは、あまり重要ではないと思ってます。

それよりも、

「で、あなたはどうするの、具体的に」

という問いに「一つ一つ答えを出していくこと」の方が、重要ではないでしょうか。「理由」は、その途中で、必要があれば出てくることでしょう。どんな思考も、各自の態度や行動の変容(もしくは維持)として、「何らかの決断」にならないと意味がない。

「消費税が上がる」
⇒「下げるべきだと思うが、すぐに下げるための活動をしたとして、成果は出ないから当面買い控える/駆け込みで買う」

「消費税が上がる」
⇒「下げるべきだと思うが、実際には自分にとっては大した差ではないので、気にせず今まで通り生活をする」

などのように、具体的な「決断」に落とし込める人は、その場で「課題意識」を解決できるので、次に進める。これができない人は、関西弁でいうと「文句言い(もんくいい)」で、終わる。肥大した課題意識に押しつぶされる、というところでしょうか。人によっては「酒飲んで、愚痴言って終わらせる」ことに、なるのでしょう。

伝わったかどうか、あまり自信はありませんが、継続している塾生とドロップアウトした塾生の観察結果から、わかったことです。技術に関心があるかどうか、などは、少なくとも僕の観察の範囲では、関係ありませんでした。


細かいことは別にして、僕の結論としては「このように、わからないなりに言語化して、オープンに議論できる貴重な場」が、発明塾なんだろうな、ということです。


在塾生の皆さん、4月以降もよろしく!

卒塾生の皆さん、活躍を期待していますよ!
Farewell.