「発明塾®」へようこそ!: 11月 2014

2014年11月29日土曜日

就活/転職、技術の実用化/用途探索、新規事業/起業?~結局は「何かを売り込む」ということについて~立命館大学「発明講義」第10回報告

立命館大学での、

「マーケティングリサーチ」(通称 発明講義)

も、全15回のうち10回が過ぎました。


現在、各自に自分のテーマで発明を生み出してもらうべく、

「特許分析」

に取り組んでいもらっています。ツールはご存知「かんたん特許(無料)」です。

無料でここまでできるとなると、学生時代にやっておかない手は無いですね。


次回は中間報告を兼ねて、講義後レポート→口頭発表と進める予定です。


発明のテーマは、どのように決めてもらっても構わないことに、しています。

ただ、

「言われたことをやるので、単位を下さい」

というのは認めない(注1)ことにし、特に分野は指定していません。


といっても、自由放任過ぎても困るでしょうから、いくつかアドバイスはしています。

「自分が就職したい会社、業界」
「自分の研究テーマ、もしくはその先の技術」

について、調べてアイデアを出せば、

「一石何鳥かになるよ」

と。


例えば、「自分の研究テーマ」について、関連する技術をやっている企業まで調べておけば、自分の研究テーマの立ち位置が、よくわかるでしょう。

理工学部ですから、実用化に向けて、どういう課題を設定すればよいか、将来のテーマが見えてきます。


また、「就職先」について調べるなら

就職したい先が、直近で力を入れている技術分野」

を、IPC/KWごとの出願動向から割出し、

「その分野のキーマン」「課題の変遷」

を把握し、

「次の狙いを読み」
そこへの、自分なりのアイデア提案」

まで落とし込んでおけば、就活に向けて準備は万全です。4-5つの業界について、3回生の時点で準備しておけば、就活が始まってから慌てることもありません。

「アイデア付きで売り込め」

と、学生さんにはいつも言っています。実際、面接まで行くと

「今から2時間で、アイデアを出してください」

という感じになることが、あるそうです(注2)


昔は、そこまでのことは無かったですが、やはり「調べて行くこと」は重要です。

僕の場合、川崎重工に入る前から、歴代のオートバイの開発に関する書籍や、川崎以前の会社(メグロとか)のバイクなどについても、いろいろ調べていました。

開発の方の名前も、事前にかなり知っていたので、面接で実際にお話をさせて頂いて

「XX部長か~、あの本に出てた人やん!ホンマに顔赤いで!」

みたいな感じになったことも、あります。別に狙っていたわけではありませんが、そのお蔭かどうか、その年で唯一、大型オートバイの設計部門に配属された新人となりました。


セミナーでもたびたび紹介していますが、前職時代に開発に取り組んでいた、

「ナノインプリント技術の用途探索」

では、特許分析を駆使して、世界中の企業の方にアポを取り、ヒアリングし、サンプルを使ってもらい、新しい用途を次々と見つけました。

一件一件特許を読み、課題の流れを追い、サンプルと提案書を送るという、

「超地味な作業」

でしたが、

「アポを断られたことが無く」
「違う会社の担当者まで、紹介いただいたこともある」
(直接担当ではないのですが、折角の素晴らしいご提案ですので、知り合いを紹介します・・・みたいな感じです。これで5名ぐらい跨いで、繋がったこともあります)

ぐらい、効果的な方法です。


「自分の作り上げた技術を、世の中に広める」
技術屋として、もっとも面白い仕事ですね!
この「ラストワンピース」が、社会的価値を生みます


詳しくは、こちらをご覧ください。2005年当時、特許情報をここまで活用して、

「技術マーケティング」

に取り組んでいた人は、他にはあまりおられないようです。


要望の声が多く、重い腰を上げて久しぶりに、

「特許情報分析を用いた技術マーケティング」

セミナーをやることになりました。私自身が取り組んでいた頃から比べると、特許分析ツールも飛躍的に進化しており、発明塾生のみならず、多くのクライアント企業で、「普通に」実践いただいています。

「大学生でも、普通にできるレベル」

になってくると、

「大学で生み出される知の価値」

も、変わってくるだろうな、と塾生さんや立命館大学の学生さんに、大いに期待しています。



※ 注1 「単位はあげますから、授業には来ないでください!」(豊田教授の”日本国憲法”講義)のような時代が、懐かしいですね。

※ 注2 2013年の講義後、「楠浦さんの講義で習った手法が、とても役に立ちました!」と言ってくれた学生が、いました。まさか、就活に役立つとは、僕も全く想像していませんでしたが。時代ですね。


「マシンビジョンの次なる用途は?、大学の知の価値を最大化する」~発明塾京都第208回開催報告

今回も、引き続き「マシンビジョン」の発明を行いました。


また、事前討議にて、塾OBの発明について、


「価値を最大化する」


ための知財戦略について、討議しました。



1.「マシンビジョン」は今後どうなるのか?


前回までの討議、調査を踏まえて、今後マシンビジョン技術の適用と著しい進展が見込める分野を、各自調査し、ベンチマークすべき特許/出願人/発明者/研究機関などをピックアップしてきてもらいました。


この分野、自動車の自動運転や、建設機械/土木作業の自動化という観点で、多くの技術開発が既になされています。


例えば、日立建機から、以下のような3次元形状把握に関する、マシンビジョンの特許が出ています。作業機で作業するにあたり、現場/作業対象の立体形状把握は必須です。


特開 2010-66117 「作業機械のステレオ画像処理装置」


今後も、この分野では確実に技術開発がすすめられ、建設土木作業の自動化が進展していくのは確実でしょう。


我々は、


「その先」


を見据えて、異なる分野での本技術の進化を予測し、発明創出を試みました。その経緯は、今後「発明塾講義(無料)」で配信予定です。



初学者の方に関心を持っていただくための
弊社通称 「知財冊子」
朝日新聞様にご協力いただき、毎年発行しております。
弊社サービスを活用いただいているところへ
配布させて頂いております。
古いものも、通しで見ると結構参考になります。
(写真は2011年度版)
お問い合わせはコチラ


2.塾OBの発明


前回の討議を踏まえ、


「何をオープンにして、何をクローズにするか」

(OPEN/CLOSED戦略)

について、事前討議で議論、というか説明しました。



現状では、


「ある特性は良くなっているが、他の特性に課題がある」


という状態です。


研究としてはGoodですが、発明としては、まだまだですね。


今後、そのトレードオフの解決まで含めた発明を、新たに創出することになります。



2014年11月21日金曜日

「技術の価値を最大化する知財戦略、歩行者との事故を防ぐ自動車、3Dプリンター」~発明塾京都第207回開催報告

今回は、直近のテーマである「マシンビジョン」の討議の他、塾生さんの研究成果に関する討議と、過去発明の振り返りを行いました。


マシンビジョン

定義が広いので、いくつかの特許に注目して、議論を進めることにしました。

例えば、

特開 2012-250618 「画像処理装置および配光制御方法」 小糸製作所

は、自動車のドライバーが、夜間に歩行者を見失わないようにする照明制御、に関する特許です。

「【課題】明るさが変化する車両の走行環境において、歩行者等に対するドライバの視認性を向上させる。」

とあります。

早く実用化して欲しいですね。


「ヘッドライトで照らしても、歩行者が見えない・・・」


塾OBの研究成果に関する討議

OB/OGも増え、その中には、大学で継続して研究に携わっているメンバーもいます。あるOBの、個人帰属(注)となった研究成果について、

「出願するとしたら、どのような方法があり得るか」
「そもそも、その技術の価値を最大化するために、どのような知財戦略を取ればよいのか」

について、議論しました。大学の研究成果は、基礎的なものや、ブレークスルーの萌芽のレベルのものも多数あります。

今回は、

「どのレベルまでいけば、特許出願する意味が出てくるのか」
「逆に、オープンにすべき発明は、どのような性格を持つものか」

という、

「オープン・クローズ戦略」(オープン・クローズド戦略)

に関する議論になりました。

今後は、「発明塾式」を世界中で実践しているOB/OG研究者の支援、も発明塾の重要なミッションになります。

「知を武器にする技術」

を、皆で磨き、実践し、実績を出していきましょう!


3Dプリンター

こちらは、過去発明について、改めてレビューし、現状の技術進歩を踏まえて、新たな発明/改良発明創出の余地がないかを探りました。

今回取り上げた2件は、いずれも「提案のタイミングを逸した」発明でしたので、その後の状況を踏まえて「再発明の余地がある」と、僕が判断したものです。

一件については、「課題を深堀り」し、再発明することが出来ました。

もう一件については、「公開して実用化/普及を促す」のが発明塾らしい、と判断しました。近々、内容を公表する予定です。

お楽しみに!


※ 注) 大学が「承継しない」と宣言した発明です。



2014年11月19日水曜日

京大の技術シーズ「マシュマロゲル」を再発明する!~月例「発想法セミナー」11月分の報告

塾生さんの、

”京大発”技術シーズを実用化しよう!

の掛け声の下、11月の「発想法セミナー」が無事開催されました。


今回の技術シーズは「超撥水・超撥油性を持つ、マシュマロゲル」でした!
発明塾で継続的に寄付活動をしている、京都大学理学部の「とてもユニークな」研究成果です!


当日の様子です!


【塾生さんからの報告】
今回の発想法セミナーで出た、切り口とその理由です。

もうちょっとで、ブレークスルーを起こせそうなところまで、切り口は出てきていると思います。

効果的な言い換えからブレークスルーが起きることが多いので、効果的な言い換え、切り口あれば、コメントしてもらえるとうれしいです。

・UI(ユーザーインターフェース)
「汚れない」という特徴は、「洗濯できる」と言い換えるべき
⇒洗えるユーザーインターフェース
⇒子供向けにいいかも

・ウェアラブル
撥水×撥油を生かせる。
多孔質なので、通気性がある。
柔軟なので、追従性ある。

・圧電式センサをマシュマロゲルの中に埋め込み、その塊を物の一部などに、はめ込むようにする(IOTのイメージ)。
圧電なので、変位があれば、発電する(電源いらない)
⇒ハーベスティングと相性がいい
⇒センサを、常時接続する必要がない

・ベンチ、バイクの座席、お風呂に使う
汚れる + 水に濡れるsituationで、柔軟という特徴を生かせる場所。

・エレクトロニクスと組み合わせる
水に濡れたくない + 柔軟性(フレキシブル・エレクトロニクスと相性がいい)を生かせる。


議論の流れとしては、いい技術の競合を見つけて、マシュマロゲルの強みを明確にし、狙いどころを見つける途中で時間切れになってしまいました。


次回は、12月20日です!


2014年11月18日火曜日

小松製作所時代の発明(その1)

こちらから移動しました。


今振り返ると、「もっとちゃんと出しておけば」と思う特許でもあり、また、「きちんと発明の本質把握と深堀りを行っていれば」と思う発明です。

もっとも、今と違ってほとんどの会社では「技術者に知財のことを教えよう」という風潮は皆無でしたし、「仕事で行ったちょっとした改善を、特許にする」のが特許活動だと、教えられていたので、仕方ない気もします。



詳しくは、塾で討議し、また「紙上講義(無料)」で紹介したいと思いますが、


「今ならどういう風に料理するか」


を、反省を込めてメモしておきたいと思います。



発明の内容

発明の内容は、以下参照ください。

特開2004-232500 「風力発電設備のナセル旋回駆動装置、及びその運転方法」


業界の方は、見ればピンと来ると思います。いわゆる


「ダウンウインド制御型風車」の「ナセル旋回駆動装置」

に関する発明です。内容は、まさしく開発中に提案した設計案の一つを、そのまま出願したものです。


請求項を読む

請求項1は、「単に漠然とさせた」だけの、今から見れば最悪の請求項です。課題の定義を間違えているので、上手い絞り込み方が、担当弁理士の先生に全く伝わっておらず、「単に漠然とさせた」請求項を追加していただいただけ、になっています。

今見ると、恥ずかしい感じがします。出願費用がもったいなかったなぁと、反省しています。


請求項2も、同軸ということだけを縛った、「漠然」系の上位概念です。


請求項3が、致命的に間違っていることに、今の仕事でこの特許を教材に使い始めて、明確に気づきました。「電磁」で縛るのは、ズバリ間違っています。

これも、「課題」をとらえきれていないことによるものであり、また、実施例(設計上の解決策)に引っ張られすぎたためです。


特開2004-232500 より


課題設定をどうすべきだったか

業界の方はご存知ですが、産業用モーターには、もともと「軸ブレーキ」がついており、それは、

「完全な固定」


用です。ブレーキをフリーにすれば、モーターは自由回転するので、


「固定か、駆動か」


は、ブレーキのみで切り替えることが出来ます。ここに、「クラッチ」の必要はありません。


では、なぜ旋回駆動装置に「クラッチを追加した」のでしょうか。



【0017】に、こうあります。


「発電停止をするような強風時で突風のあるときには少なくともクラッチをオフする(旋回ブレーキを備えている場合には、旋回ブレーキもオフする。)ことによって、突風または風向の急変による翼、タワー、減速機への過大負荷を無くすことができ、これにより、風車の翼の損傷やタワーの倒壊等の畏れが無い」


つまり、突風などで旋回駆動装置が「逆駆動」される際に、


「固定でも駆動でもない、自由回転」


状態を作り出すためです。このために必要なのは、


「(電磁)クラッチ」


に限りません。機械工学の知識は、今も昔もほとんど変わりませんが、今なら、


「飛び込み式ギヤ」


を含めた、様々な機械的な機構を、提案することが出来ます。オートバイのトランスミッションや、スタータの仕組みに、多くのヒントを得ることが出来ます。つまり、当時すでに身に付けていた技術で、


「クラッチ以外の、解決策」


を、多く提案することが出来たはずです。しかも、設計上も Better な・・・(注)。



重要なのは、課題として何を設定するか、ということと、それに従って「再発明」することだったのです。


それは、開発においても、特許活動においても、変わりません。



今から考えると、とても惜しいことをしました。



塾生さんには、こういう事例を基に、現状楠浦が考えうる「ほぼ完ぺきな発明と知財のスキル」が身につく教材で、学んでもらっています。

僕自身、技術者として発明を出す側でもあり、また、発明を引き出し/権利化する立場でもあるため、その教材も、常に最新の知見でアップデートしています。


※ 注) 何名かの方から「具体的にどういうBetterな解がありえるのか」というご質問を頂きました。たとえば、クラッチに相当する機構は、電磁ではなく「遠心」「ワンウェイのカップリング」の方がBetterでしょう。詳細は割愛しますが、「順駆動時は噛み合わせ」「逆駆動時は噛み合わない」という状態が必要になるからです。オートバイや自動車で、似たような機構は、すでに古くから使われています。
また、その際に組み合わせるブレーキは、耐久性を考えると「流体式」がBetterだと思います。

こういう議論も、発明塾で継続的に行っていきたいと思います。「過去発明を乗り越える」のが、発明塾式の本質だからです。


2014年11月15日土曜日

「自動運転Car、セキュリティ、ロボット、3Dプリンター~”機械の眼”マシンビジョンでイネーブラーになるのは誰か?」~発明塾京都第206回開催報告

今回は、新しいテーマとして「マシンビジョン」を取り上げて、討議を開始しました。
今後、「発明塾講義(配信無料)」でも、継続的に議論します。是非お申し込みください。


例えば、こんな技術です。

キヤノンHP「スーパーマシンビジョン」

なぜこの「マシンビジョン」技術に、世界中が目を付けるか。


それはこの技術が、次世代の

「自動車、産業用ロボット、セキュリティ、工作機械、医療機器、計測/測量/建築土木・・・」

など、広汎に渡る「産業」の、キーテクノロジーだからです。ここにも、

「イネーブラー」

の余地があります。

既に各社の取り組みは、知財上も「陣取り合戦」の様相を呈しており、熱い分野です。


先日Googleに入ったことが話題になった「レイ・カーツワイル」の理論によれば、ムーアの法則にしたがって、「コンピューターの”処理能力”が、人間の頭脳を超える」日は、近いとされています。

コンピューターの進化は、
不均衡を生み出し、
次の技術の発展を後押しする
「発明塾」の「イノベーション理論」です


注意すべきは、

「処理能力が」

であって、

「コンピューターが人間を超える」

わけではないのです。


ここに、

「マシンビジョン」

の技術進化が、必要とされる理由があります。

機械工学科出身の私としても、

「”頭脳”の次は”眼”だ」

ということで、ワクワクしています。

光学技術に強い日本の製造業に、再びチャンスがめぐってきています。


このように、技術は常に「不均衡」を解消するべく発展することは、アルトシューラーも論じていますし、発明塾の基礎理論にもなっています。

この、不均衡を見つけるのが、特許分析官の役割でもあります。


「コンピューターが、人間の頭脳並みの情報処理をする時代」

を前提に、

「眼=マシンビジョン」

の技術進化を予測し、さらに、

「イネーブラーモデル」

になるように、技術構造/産業構造/知財戦略を考え、提案すべく、討議を進めましょう。


ではでは、次回もよろしく!



2014年11月9日日曜日

「ウエアラブル、ロボット、3Dプリンターを再発明する!」~発明塾京都第205回開催報告

先週の@京都、立命館大学での議論と、次週の「京都大学工学部機械系 ものつくりセミナ」での予定を織り交ぜて。


今回の@京都では、ウエアラブル デバイス・ビジネス について、総括を行いました。

僕個人的に納得した点は、翌日、立命館大学でロボットビジネスに関する発明討議との対比です。

立命館大学での講義終了間際に、学生さんとの討議から非常にユニークな発明が創出されたのですが、それはまさに、


「ロボットであって、ウエアラブルではない」


所から出ました。



発明塾用語で、


「差分」


ですね。

(詳しい方法論を知りたい方は「発明塾講義(無料配信中)」へ)


それぞれのデバイスの違いに注目して、発明を進めるのは、発明塾式の常套手段なのですが、立命館大学の学生さんも、講義7回目にして、身についてきたようです。



「偶然」を「必然」にする方法を学び
実践する。
それが「発明塾」で、やっていることです。
皆さんもぜひ。


次回からは、次のテーマに取り組みたいと思います。



テーマ選び、も重要なテーマですから、その辺の議論や、発明方程式を進化についてもレビューしてきたいと思っています。



また、来週は「京都大学 工学部 機械系 ”ものつくりセミナ”」での講義があります。この講義の中では、


「3Dプリンターを発明」


していただこうと、思っています。



==以下告知です


●「ものつくりセミナ」2014@京大


今年は、11月12日の回で、いつも通り「発明と知財」に関するお話をします。


・11月12日(水) 16:30‐18:00 吉田キャンパス 工学部物理系校舎 313号室


本講義は、僕の出身でもある 工学部機械系 の学生さんのキャリア教育の側面も兼ねていますので、


「知財の仕事って、どんな仕事」

「発明って何?」
「世界の発明取引、知財取引市場の最新動向」

など、いつもなかなか話せないトピックを中心に、話題提供したいと思います。


よろしく!


==告知終わり


次回もお楽しみに!



2014年11月2日日曜日

「孫さん!”Pepper”は売れるのか?”食品流通”に学び、ロボットとロボットビジネスを再発明する!」~立命館大学「発明講義」第六回

ここまでの講義では、主に

「インクジェットプリンターのビジネスモデル」
「食品、流通系のビジネスモデル」

について、実際の商品と関連特許から学びました。


特に、ある食品系企業が出願し、権利化されている

「販売管理システム」

の特許に注目し、

「なぜこの仕組みで儲かるのか」
「どこを押さえれば勝てるのか」

を、議論しました。議論の詳細は、後日こちらで紹介いたします。


今回は、各自のテーマで「実際に、その場で発明を創出しながら、特許まで練り上げていく」作業の、初回となります。

せっかく「ロボティクス学科」の学生さんがおられますので、

「ロボットビジネスの再発明」

に取り組むことにしました。


議論を進めるうちに、何名かの口から、

「Pepper」(ソフトバンクが最近販売を始めたロボット)

の名前が上がりましたので、お題を、

「Pepperくんを、一家に一台普及させるためには、どのような”発明”を行えばよいか」

にしました。


TRIZは、発明塾でも「必須科目」の一つです。
「使い時を、間違えなければ」非常に切れる、
とても良い発明ツールです。
「使い時」が重要ですが・・・
実は、ARIZの方が、使い勝手はいいですが・・・


議論のポイントはいくつかありますが、学生さんが指摘してくれたように、

「1台10万円を切らないと、普及しないだろう」

のような、

「可処分所得問題」

も考慮し、

「安く普及させる仕組み=無力化問題」

を設定し、解くことが必要になります。


はい、知財戦略の出番ですね。楠浦がその場で、

「一つ発明をして見せ」

ました。皆さんの目が急に「キラキラ☆」し始めたのが、僕にとってはとても印象的でした。

「目の前で発明が”紡ぎだされる”のを、目の当たりにした学生さん」

は、必ず発明できるようになります。


次回以降、自分で発明を創出してもらいます!

よろしく!!


2014年11月1日土曜日

「エンジンのトレンドから、技術進化のサイクルを学ぶ」~発明塾京都第204回開催報告

今回も、討議テーマは「ウエアラブル・デバイス」でした。ちょうど今週、各社が「スマートウォッチ」を、立て続けに発表しましたね。

今後の動向がどうなるか、詳しくは「紙上講義(無料)」で議論しましょう!


さて、再来週の11月12日に、京都大学機械系の「ものつくりセミナ」で講義を行うこともあり、また、古巣の川崎重工から、Hotなオートバイが発表されたこともあり、「エンジンの技術」について、簡単に講義を行いました。

「工学の全貌を学ぶのに、エンジンはちょうどいい教材」

です。金属/高分子材料、燃焼、潤滑、振動、熱、力学、統計、品質管理、システム工学、電子制御、成型加工、MEMS、半導体、音響、化学測定(排気ガス)、環境評価など、一通りの科学と技術を学べます。


以前もお話した通り、楠浦が開発を担当した「W650」のエンジンは、現在も、京都大学工学部機械系に展示されています。楠浦の在職中に、川崎重工(株)から寄贈したものです。

「内燃機関」に関する教育を目的とした寄贈なので、


「だれでも、いつでも分解、組み立てできます。ご自由に!」

ということになっています。発明塾でも、一度分解してみましたね!



川崎重工に入社後、すぐに購入した
エンジン関係の書籍の中で、
元も役に立ったモノの一つです。
整備士さん向けの、教科書でした。


・スーパーチャージャーと、ターボのメリット/デメリット
・なぜ今更「過給」?~ダウンサイジングとN.A.で動くエンジンのトレンド
・なぜピストンに、オフセットがあるの?
・ピストンリングって何?
・マツダの画期的な「ミラーサイクル」エンジンは、何がすごい?
・スーパーチャージャー:ルーツ式とリショルム式の根本的な違いは?

等を取り上げ、「新しい」といわれるエンジンも、その原理は数十年以上前に発明されたものであったり、「ダメだ」と言われた技術が、10年20年を経て復活したり、ということが常に起こっているのですよ、という話をしました。


設計や開発の現場では、常に

「その時代に使えるベストな技術を組み合わせ」

を議論/追及して、製品仕様を決めていくので、「他の技術のバランス」により「ある技術の採否」は左右されます。


発明と似ていますね。

この辺の話の続きは、また、「W650エンジンの実物を見ながら」「思い出話も交え」やりたいですね!