2014年6月29日日曜日

「数百件の”特許の壁”を越えるアイデアを、見事に創出!」~発明塾京都第186回開催報告

今回は、先日提案を行った「2014年春のアイデアコンテスト」の結果報告から、始めました。ちなみに、7月から新たなコンテストが始まりますので、ちょうど良いタイミングでしたね。


これまでのログでも書いていますが、前回のアイデアコンテストは、

・すでに存在(権利存続)する「数百件」の先行特許を回避しなければならない
・市場シェア90%以上を取っている、先行商品の性能を越えなければならない
・既に存在する技術で、実現可能でなければならない
・現実的なコストで、製造できる見込みがなければならない

という点で、これまでのアイデアコンテストとは「根本的に異なる」ものだったと思います。

「どちらかというと、企業の開発テーマ創出」

に近い作業でした。それだけに、「キヤノン特許部隊(丸島)」を読んでいた塾生さんにとっては、

「実にワクワクする」

コンテストだったようですね。僕もそうですが、塾生さんも皆「仕事は難しい方が面白い」と考えているようで、頼もしい限りです。


(画像をクリックすると Amazon.co.jp のサイトへ移動します)
Amazonのプログラムを利用して画像を引用することにしました。

2回目の登場です。
「完全なる経営(マズロー)」と並ぶ、預言の書。
それはつまり
「あたりまえだけど、誰も実行していないこと」
が書かれた本、ということです。


さて、実際に

「成立し、権利存続している数百件の先行特許を、一つ一つ査読し、請求項を分析して、権利範囲を読み解き」

「その技術思想を見抜き」

「完全にそれら権利群を回避して、かつ、先行技術よりも優れた性能が出る、発明を創出し」

「かつ、特許性を保証した形で、論理的に提案書をまとめていく」

作業をやってもらった感想は、どうでしたか?

「意外にできるよね」

という感じだったのではないか、と思います。毎週3時間で2か月。まぁ、時間的にもそんなもんでしょう。数百件の特許を、請求項一つ一つまで解析するのは、それなりに骨は折れます。

企業の人たちは、毎日、もっと緻密に特許を分析し、研究開発に臨んでいるのです!先行技術のない技術は有りませんし、特許が取れない研究開発テーマは、企業として投資に値しません。いつも言っていることです。


提案内容が、実際に企業に認められ、アイデアとして購入され、権利化・研究テーマ化されるという体験は、社会人には当たり前ですが、大学生にとっては非常に貴重なものだと思います。


次回のアイデアコンテストは、上記ほどハードルは高くないと思いますが、気を抜かず、しっかり取り組んでほしいですね。

ではでは。



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2014年6月22日日曜日

塾長の部屋(68)~「発明塾OB会@東京」ご報告

ちょうど昨日、珍しくOB会を行いましたので、その報告もかねて。

全8名と、ちょうどいいサイズ感の会となりました。幹事の塾生さんありがとう!


今回は、卒業して社会人になったメンバー、京都→東京へ移動してきたメンバーの交流の場にもなったようです。

発明塾の参加経歴も様々で、「社会人になってから、手伝ってもらった」人もいれば、「数回参加してその後ご無沙汰でしたが、せっかくの機会なので」と参加してくれた人もいました。

せっかくの縁ですから、理由や経緯はさておき、遠慮なく交流してほしいですね。

「モローの指導方針は、弟子たちの個性を尊重し、
その才能を自由に伸ばすことであった。
”私は君たちが渡っていくための橋だ”と
モローは語っていた」(Wikipedia
その橋を渡った「マティス」と「ルオー」が
見事にその才能を開花させたのは、
皆さんご存知の通り


現在@東京は実施していませんが、京都→東京組は、遠隔で参加してくれているメンバーもあり、頼もしい限りです。場所は問わず実施できるインフラとノウハウは構築できていますので、次の仕掛けも、そろそろ進めたいところです。


また、卒業生の進路も様々で、研究機関で研究者、製造業・IT系の企業でエンジニアはもちろん、知財の仕事に就く人も、出てきました。塾生の何名かには、弊社の知財教育を受講してもらっていますが、テストで普通に皆「満点」取ってきますので、新卒で知財部に入っても、それなりに仕事ができる素地は整っていると思います。

いずれにせよ、皆さんの今後の活躍が楽しみですね。


今後も、定期的に集まりたいと思いますので、なにか節目を迎えた人は、積極的に声をかけてください。


最後に、ある塾生さんから「今後の目標は何ですか」と聞かれたので、改めて考えていることを、ここに残しておきます。


実は、東京は60名、京都は100名程度の過去参加者がいます。MLに全員入っているわけではありませんが、せっかくの縁は、ぜひ活用してほしいと思います。

企業で実施しているものも含めると、実は「いわゆる塾生」にあたる人は、すでに400名は越えています。

「発明塾行ってた?」

いつかそんな挨拶が、普通に交わされる。

発明塾に関する、僕の次の目標は、そんなところでしょうか。


では、今後もよろしく。



2014年6月21日土曜日

発明塾京都第185回開催報告~「携帯電話」はどこへ行く?

第185回も、無事終了しました。

今回も、「発明」「進歩性の議論」「知財戦略」の3部構成で、進めました。新入塾生もいますので、しばらくこの状態で続けます。

新入塾生にとって、「知財戦略」の議論は、面白いけれどもレベルが高いでしょうから、その基礎となる「発明」「進歩性の議論」に、しっかりついて来れるように、討議を振り返り、また、予習(課題)をしてきてください。

「進歩性」の議論は、発明において非常に重要になります。「何が発明なのか」の定義が、この「進歩性」そのものだからです。自分の発明を改良し、更にレベルの高いものにするためにも、「進歩性」という観点で自分の発明を見つめ直すことを、習慣にしてください。

「知財戦略」のケーススタディーで取り上げている、インテルとQualcomm。携帯電話、タブレット、という戦場でぶつかっていることは、周知のとおりです。


タイミングよく、携帯電話関連で、BigNewsが飛び込んできましたよね。

AmazonのFire Phoneでほかのスマホにない機能はなんだろう?

はい、出ました「固有性(発明塾用語)」。


「なぜアマゾンが携帯電話を出すのか」ってことに、なりますね。



「撮ったらそれを(AMAZONで)買え」


どうも、そういうことらしいです。いつも言っている、

「ValueChainの位置取り合戦、スマイルカーブの上書き競争」

ですね。デバイスの進化⇒無力化領域の模索⇒新しいサービス/UIの出現、これの繰り返しです。


この反対の極で、これを「操作している」のが、Qualcommです。

「コアモジュールメーカー Vs セット/サービスプロバイダー」

実際には、勝負ではなく「協調ゲーム(ゲーム理論)」なのですが、まぁその辺は「囚人のジレンマ」「ナッシュ均衡」の復習兼ねて、次回やりましょう。

ではでは。


昔、ある方から
「楠浦さんがつくりたいのは、こういう会社ですよね」
と、言っていただいたことがあります。
そうみたいですね。今でもよく読み返します。


2014年6月14日土曜日

発明塾京都第184回開催報告~「発明」は特許情報調査から始まる

第184回も、無事終了しました。

新入塾の学生さん2名と、見学1名ということで、すこしペースを落として行いました。

大学で教えないので当たり前?(注1)ですが、ほとんどの学生さんは、「特許公報」を読んだこともありませんし、特許制度がどういう制度かも、全く理解していません。


その状態でいきなり、

「発明するために、まず、参考になる特許を、特許分類も使って検索してみようか」

とか言われて、ついて来れる方が不思議なわけです。


そこで、まぁ、

「えーっと、特許分類っていうのは、図書分類記号みたいなもんで、ほらみんな、”ドストエフスキー”読むとき、”ロシア文学”って何番やっけ・・・とかなるよね。あんなやつ。」

みたいな「雑な」(注2)説明から、始まるわけです。


意外とこの分野、初学者向けのいい書籍も無く、難儀していたのですが、国立国会図書館が、なかなかいい解説サイトを作ってました。

日本の特許を特許分類から調べる」 By 国立国会図書館

八木アンテナの特許を特許電子図書館で探してみる、などと、なかなか「渋い」事例もついています。


次回までにみなさん、八木アンテナの事例を参考に、今回のテーマの参考特許を探してきてね。


よろしく!



※ 注1) 困りますね。仕方がないので、発明塾生には原則、弊社の知財eラーニングを受講してもらっています。特許のこと知らずに、「意味のある」発明が、できるわけがありませんので・・・やむを得ません。

※ 注2) 相手の既存知識から、類推してもらうしかありません。もっとも、今の学生さんが、図書館をどれぐらい利用しているか、そこでどうやって本を探しているか、実はよくわかっていないのですが、説明としては機能しているようなので、良しとしています。




2014年6月7日土曜日

塾長の部屋(67)~「イシュー・・・」に学ぶ「悩まない」ための論理

久しぶりのこのコーナーで取り上げたいのは、発明塾テキスト筆頭の

「イシューから始めよ」(安宅)

にある、「悩むな」という、安宅さんのメッセージです。P4-5を中心に、要約すると

「10分以上考えて進まないなら、それは悩んでいる。そのままでは、答えが出ないので、すぐに誰かに相談すべき」

「”考える”と”悩む”は違う、悩んでいることを、考えていることと勘違いしてはいけない」

「考える=答えが出る前提、悩む=答えが出ない前提」

と、書かれています。基本的に、同感です。仕事が進まない、遅い人の大半は、「悩んでしまって」います。


度々紹介済みですが、再掲しておきます
大学時代の友人などと比べて、記憶力が良くないので、
ほぼ毎日、この本を読み直しています。
記憶力の悪さで、資格試験や受験で
ずいぶん苦労しましたが、
おかげで「グダグダ言わず、要するに、
できるようになるまで、やればいい」
という割り切りが、身につきました。
「”制約”は、邪魔者ではなく、上手く利用すべきものである」
ということでしょうか。


しかし、確かにそうなんだけど、自分ではできるんだけど、塾生に明確に指示できない=明確に言語化されていない「気」がして、何年か経ちました。


僕は、殆どの部下から「週に一度」相談を受けることにしているのですが(注1)、その中にヒントがありました(注2)。彼曰く、

「ちょっとここで、迷っているんですけど・・・」


あーなるほど、と。

「悩む≒迷う」

いや、正確には、

「悩む・・・・(ちょっと進む)→迷う(また止まる)」

みたいな感じでしょうか。「途方に暮れる」わけではないけど、「なんとなく結論が出ない」、みたいな。


では、「迷ってる」ってどんな状態ですか、ってことですね。

「迷う=選択肢が不明確 and/or 判断基準が不明確」

と、因数分解(場合分け)できるようです。一つづつ、行きましょう。



●「選択肢が不明確」な場合
振り返ると、選択肢が全く思いつかない状態が、安宅さんが言う「途方に暮れる」ということでしょうか。これについては、「イシュー」に書いてあるので、乗り越えていることにします。また、後述するように、「選択肢があれば、判断基準は出せる」と思っています。

ここで考えるべきことは、

「KSQ:選択肢を明確にするために、次にどんな作業をすればよいか」

です。これに答えを出せば、進められます。では、どんな作業があり得るか。

「とにかく書き出す」「調べる」「誰かに聞きまくる」・・・


整理すると、

「(A)自分の頭の中からひねり出す」「(B)他者の頭を使う(調べる、聞く)」

ですかね。A+Bで「討議する」というのも、ありそうです。

こんな風に、「言語化」し「構造化」することで、「選択肢は明確になり」「補える」ことが、わかります。また、「比較」することで、それぞれの選択肢の本質がわかります。

「比較」からは、「判断基準」も精緻化できる、というメリットがあります。見落としていた判断基準が、選択肢の比較から出てくることが、往々にしてあります。


ある程度選択肢が出たら、判断基準を確認しに行きます。判断基準を考える中で、選択肢がさらに精緻になっていくからです。そのポイントは、

「比較」

です。



●「判断基準が不明確」な場合
そもそも論としては、「何かを決めたいのであれば、判断基準が先にあるはず」ということになりますが、実際問題として、「明確な判断基準をもって仕事に取り掛かる」人は、とても少ないようです。
「判断基準が全くない=単なるパシリ」になりますので、ここでは、普通に仕事をしている人がよく遭遇する、「判断基準が不明確」という状況から始めます。

まず

「KSQ:次にどんな作業をすれば、判断基準が明確になるか」

を考えましょう。

「過去の仕事の経験から洗い出す」「調べる」「同じような仕事をした人に聞く」「上司に聞く」

先ほどと同じように整理すると、

「(A)自分の頭の中からひねり出す」「(B)他者の頭を使う(調べる、聞く)」

になるようですが、ここで「過去の」に注目します。

別の切り方として、

「(A)過去の事例を参考にする」「(B)現在の状況に注目する」

が、出せます。

僕がよく使うのは、後者です。(A)で済むなら、ほぼ瞬時に答えが出ているはずなので、「迷う」「不明確」な点は、「過去の事例とは違う、現状の何か」なのではないか、と仮説を立てます。次の質問は、

「KSQ:過去の事例と何が違うのか」

になります。そこに注目することで、新たに注目すべき/重視すべき判断基準が、明確になります。これにより、選択肢を見直すことになります。過去の違う部分に注目して、精査することになるからです。

このように、「次のステージに、強引に進むことで」、元のステージの様々なことも、明確になっていきます。

「比較」を活用するもう一つの方法は、「選択肢同志を比べる」です。手法としては、これで「MECE」になっています。「イシュー」では、「分析とは比較」と書かれていますので、結局は安宅さんの手法、ということになります。



●まとめ
その他、割愛したこのも含め「迷わない」「即断即決し、仕事をどんどん進める」ために、僕が気を付けていることは、以下のようなことだったようです。


「選択肢は言語化する」
「選択肢を比較する」
⇒これらの作業で、正確な選択肢になる
⇒また、比較すると、判断基準も精緻化する

言語化に関して気を付けているのは、安宅さん曰く

「SV(主語述語)を明確に」

とのことですが、僕が気を付けているのは、

「SVじゃなく、SVC、SVO、SVOC、SVOOにできないのか?」

と、自問自答することです。SV=SがVする、で終わるイシューは少なく、さらに精緻化するためにも、必要な質問(KSQ)と感じています。


「一つ先のステージに強引に進めることで、元のステージが正確なものになってくる」
⇒同じところでうろうろしてはダメ


また、選択肢創造についての基本的な、「質問の順番」ですが、仕事を進めるためには、

「What、How、When、Who、Where(選択肢を作る)
 → Which(基準をつくる)
  → How Much(結論=結局どうなるのか=仕事の結果はすべて定量化する)

のように進めていきます。Whyは、安宅さんも指摘している通り、「後戻りする質問」なので、要注意です。簡単にいうと、「5W1H」を意識して使い分ける、順番を間違えない、ということになります。


紹介した通り、選択肢作りも、結局MECEのような基本的な論理的思考がベースになります。よく「逆転の発想」などと言われるような、「意外な発想」も、きちんと論理的に導き出せることが、発明塾では、度々証明されていますよね(「NotA」思考)。


選択肢にも、判断基準にもかかわる「比較」の技術は、実は発明そのもの。先行技術と比較することで、そのアイデアの本質が見える。

同様に、過去の事例/隣の選択肢と差分を取り、比較すれば、事例の本質/選択肢の本質と、評価基準も見えてくる。


結局のところ、僕が発明塾で教えていることは、「僕が設計者、発明家として仕事を”せざるを得ない(注3)”中で身に付けた、効率的で創造的な仕事のやり方」、ただそれだけのことなのかもしれないですね。



※ 注1) まぁ、今だからできること、ですね。これ以上会社が成長すると、難しくなりますね。

※ 注2) いつも思うのですが、「部下に相談を受けて初めて、自分がそれをどう乗り越えてきたか、正確に理解できる」ようです。

※ 注3) 「せざるを得ない」は、すごく重要で、だから「効率よく」やりたいと思うわけです。周りの見回しても、自分を振り返っても、それ自体が楽しくて、趣味感覚だと、「だらだらやる癖がついて」しまうようです。

ドラッカーが「”やりたいこと”を、”やるべきこと”に変えるのが、プロフェッショナルの本質」と、どこかで言っていましたが、そういう意味なんだろうなと、30ぐらいの頃から感じるようになりました。


2014年6月6日金曜日

発明塾京都第183回開催報告~「2025年のXX」を考える

先週の「新歓」イベントは、結構盛り上がったようですね。参加してもらった学生さん、卒業生含む塾生組、いずれもお疲れ様でした。

次回は7月12日に予定しているとのことでしたので、都合がつかなかった人は、ぜひ改めて。



さて今回は、6月から新たに着手する発明テーマの説明、その進め方について討議しました。おそらく、「研究テーマ」「新規事業」を考えるときに、ここでこれから討議する手法が、役立つと思います。ターゲット的には、「2025年」あたりを、目指しましょう。特許の世界ですから。


我々のベンチマーク「クアルコム」が、CDMAの技術を開発し、規格になるまで十数年。

(詳しい経緯は、「発明家よもやま話」へ)

いいところですね。



見学者2名ということで、ややゆっくりと進めましたが、次回までの宿題、よろしく。



大学院のゼミで、「2035年を考える」という
テーマに取り組んだことがあります。
当時40年後、今からだと20年後ですね。
当時は、ずいぶん先のように思っていましたが。。。
思い描いたような世界になっているか、
とても楽しみです。


他、いつも通り「進歩性」「知財戦略」に関する討議も、行いました。知財戦略については、次回でひと段落する予定です。


知財戦略に関する討議の一部は、7月10日の「起業と事業創造」でも紹介します。

受講する学生さんは、楽しみにしていてください!


では!