「発明塾®」へようこそ!: 12月 2015

2015年12月27日日曜日

第316回/@東京忘年会報告~「健全な自己否定」が発明を生む

第316回は、医療機器関連をテーマに投資分析を行いました。
また、@東京の忘年会/「美術館訪問」を行いました。忘年会はOBも参加し、OBが練っているビジネスアイデアについて活発な議論が行われました。


1.第316回「医療機器関連の投資分析」

今回は、

「Under Valueされている急成長企業」


の発掘という視点で、各種情報の分析を行いました。


我々が現在取り組んでいるのは、


「トレードではなく投資」


なので、


「中長期的に、どの程度企業価値が上がるか」

「本来の企業価値に対して、市場の評価はどうか」

を、IRや特許情報、ビジネスモデルの分析などを用い、仮説検証を行います。




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「発明」「投資」「芸術」「お笑い」
全てに共通する考え方があります。
「何を材料にしても、全てのことが学べる」
これが発明塾式の本質であり、僕の教育のポリシーです。


2.@東京忘年会/東京国立近代美術館(MOMAT)訪問

前回はモーターショー見学でしたので、少し趣向を変え美術館へ行きました。
MOMATにした理由はいろいろありますが、

✔ 僕が定期的に訪問し、作品をよく知っている

✔ 日本の近代芸術は、西洋の影響、近代科学技術の影響、および、政治や社会問題などの影響を受けており「多彩」である

ことが、大きな理由です。美術初心者でも「何らかの点で」楽しめる場所です。


エポックメイキングな作品については僕が解説しながらも、あくまでも、「考え、楽しんでもらう」ようにしました。


芸術は「発明の連続」によって成り立っていますので、見方は、特許公報と同じです。


✔ この作家の作品の流れ(発明者分析)

✔ この時代(年代)の作風、技法や素材(背景技術)
✔ この作品の何が「芸術」か(新規性、進歩性)

の3点を常に押さえ・理解し・憶えていくと、どんどん面白くなり「芸術が読める」ようになります。


芸術も、


✔ テーマ

✔ 形態(油絵が水彩かアクリルか、掛け軸か襖絵か屏風絵かカンバスか、等)
✔ 技法(素材を含む)

の組み合わせであり、過去の組み合わせの変形です。



例えば、


「金閣寺炎上」


を扱った掛け軸について、


「なぜ金閣寺か、あるいは、金閣寺炎上か」

「なぜ掛け軸なのか」

などを問いかけていくことで、芸術家の「計算(意図)」に対する一定の答えが導き出せることを、体験してもらいました。



今後も、「芸術を見る目」を通じて、「発明方程式」を学んでもらいたいと思っています。



3.ビジネスアイデアの討議
忘年会は、OBの温めているビジネスアイデアの討議になりました。
重要な事は、


「先行技術との対比」

であり、

「自分のアイデアのオリジナリティ(あるいは、進歩性)を探しだすために、先行技術にとづいて、徹底的に、かつ、前向きに、自身のアイデアを否定すること」

です。

「ビビって、なんとなく自己肯定(単なる「甘やかし」)」

も、

「ビビって、全否定(「全く同じアイデアが有りました」というタイプの人)」

も、成果を生みません。

「健全な自己否定」


が出来れば、

「本質」

が見つかり、

「本質を伸ばすことで、アイデアが発明に」

なります。

正確には、

「自己否定の積み重ね(先行技術との対比による研磨)により、本質に絞った上で情報を増やす」

作業で、

「アイデアが発明に」

なっていきます。

OBのアイデアは、引き続き、年明けの「@東京リアル」で討議予定です。
年末年始、しっかり練ってきて下さいね。


では!



※ 「発明方程式」は、弊社TechnoProducer株式会社の登録商標です。


2015年12月20日日曜日

@京都へ~2015年を振り返って

久しぶりに、@京都メンバー/OBOGと会うことができました。

新しいメンバーも加え、2016年は再始動の年 になるでしょう。



以前から話しているように、


「投資で、学費を稼ぐ」


という選択肢も加え、各自の目標を定めて下さい。


✔ 先行例調査と「差分」の分析を徹底する ~ 本質は何か?

✔ 特許情報分析を活用する ~ 他の人に見えていないものを見る

という方針は代わりません。



席上紹介した本、関連書などを掲示しておきます。

丁度、経済書の整理をしようと思っていたので、話題を提供してくれたOB塾生さんには、感謝しています。


●「フランク・ナイト 社会哲学を語る

 シカゴ派の源流を知る本。
 論文選も是非。

●「開かれた社会とその敵」K.R.ポパー

 「科学的発見の論理」で「科学する」ことの新たな定義を世に問うたポパーの、オープン・ソサエティー という考え方。

●「先物市場から未来を読む」レオ・メラメド

 我々の使命は、「より良い社会を、次の世代に渡すこと」だと。

●「ケインズとハイエク」間宮陽介

 実はケインズとハイエクの思想は、根底で共通するものがあります。
 ケインズ=公共事業による需要の創出、程度の理解では浅すぎます。
 ケインズは「株式投資で成功した」経済学者、「アニマルスピリットが経済の原動力」と喝破した経済学者としても有名。次は是非原典を。

●スティグリッツの教科書

 僕は、「クラウディング・アウト」を、彼の教科書で知りました。
 最近の著作がどうか、については、コメントを控えます。

ギデンズ/佐和隆光

 「第3の道」という考え方は、丁度僕が大学院時代ぐらいに流行した考え方だったと思います。
 佐和先生は、僕が進むことになった、京都大学大学院工学研究科エネルギー応用工学専攻が出来るきっかけを作られた方の一人で、計量経済学の大御所です。

●「経済政策を売り歩く人々」P.クルーグマン

 レーガン政権時代に大赤字を生み出した「ラッファー」の話をしましたが、似たようなことは常に起こっています。
 「自分の理論を証明するために、政策を売り歩く経済学者」
 「自分の政策を正当化するために、論文を書かせる政治家」
 のようなところに、皆さんが巻き込まれないことを祈ります。 
 「できるだけ多くの人を幸せにする」ことについて、確信を持って物事を進めて欲しい。
 安易なデマに流され、いい加減な仕事/後世に迷惑をかける仕事/使い捨てられる仕事に、貴重な人生を費やして欲しくない。

●「ムハマド・ユヌス自伝
 2004年に購入した当時、周囲で誰も「グラミン銀行」について知る人はいませんでしたが、「こういう仕事をやりましょう」と、当時の社長をはじめとした方々に、この本を紹介したことを覚えています。
 「ビジネスこそが、世界を貧困から救う」という、明確なメッセージが繰り返し書かれた本。
 マザー・テレサのビデオとこの本が、いつも本棚にあります。



2015年12月12日土曜日

「基本に忠実」を貫く~第314回/第315回開催報告

第314回/第315回も、無事終了しました。
近況報告も兼ねて、以下トピックを簡単に。


1.自動車部品についての「技術動向分析」「投資分析」
持ち込みのトピックの幾つかが、「自動車部品」についてのものでした。
自動運転をはじめとして、非常に熱い分野です。
今回の幾つかの議論は、楠浦の中では、

✔ 自動車の「消耗品Biz」化について
✔ 自動運転に繋がる Brain-Machine Interface

の議論だと思っています。これまで何度も、Intellectual Ventures との「発明創出討議」でも
取り上げてきたものです。

特許情報をもとにした議論の本質は、

「少なくとも、5-10年先を見た議論にならざるをえない」

ことです。

「特許情報なんて、アテにならない」

という声も根強くありますが、僕は、

「その人の、識別眼次第」

と考えます。

特許情報を、いかに分析するか

今後のスクールでも、取りあげます。
(春休みにも、スクールを行う予定です)

過去の特許情報分析についての記事も参照。

特許情報分析を就活に活かしたい!人はこちらを参照。
(就活をきっかけに学ぶ、というのが多くの大学生にとって、現実的だと思います)



2.特に「投資分析」の基礎
世界Topクラスの企業が日本にひしめく業界ですので、日本語での情報分析から始めるには、適切な業界です。
もっとも、結果的には競合の海外企業(ドイツ/フランス/アメリカ)のIR資料を読み込む必要がありましたので、英語で大量のドキュメントを査読出来る能力(英語力とも違う)も、身につけていきましょう。

投資について今回学んだことのうち、もっとも重要なのは、

「割引現在価値(DCF)」(WiKiPedia

という考え方です。

「右肩上がりなのでOKです」

という話ではなく、

「リスク・プレミアム乗っけた利率で割り引いてOKなの?」

に答えられないとダメです。

もっとも、前職の取締役で「DCF」の計算法を知っていたのは僕だけだった、という笑えない話(※)もありますので、皆さんが今知らなくても、恥ずかしいことではありません。

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「ラーニングアニマルを採用する」とのこと。
ラーニングアニマルとは、学習を続ける人、
大きな変化に立ち向かい楽しむ力を持っている人、
のことだそうです。
発明塾/TechnoProducer の方針と同じですね。



投資分析の方では、一部

「原則/基本を外した議論」

に、なりかけていました。まずは、

「基本/原理原則に忠実に」

を忘れないように。

応用は、基本がマスター(Mastery/熟達)できてから、で。



3.最近のトピック
個人的に、「スピントロニクス」に注目しています。
磁性体についての物性物理は、日本お得意の学問領域です。
現時点で、まだ日本がTopを走っていると思いますが、いくつか重要な発見が世界中で次々になされており、目が離せません。

「”スピン”という物理量が、他の物理量とどのような関係にあるか」

つまり、

「新たな物理量の”保存則”」

の解明が日々行われていると思うと、ワクワクしませんか?
個人的には、「量子力学」という不思議な学問を初めて知った、高校2年生のときの「ワクワク」に近いものを感じています。

Nature "Spintronics"


※ 注) 知っていればいいというわけではありませんが、言葉すら知らない取締役もいて、ほんとにびっくりしました。