「発明塾®」へようこそ!: 2月 2016

2016年2月27日土曜日

「Critical になるには、Creative でなければならない」~第320/321/322回報告

e発明塾」に関する各種変更の関係で、すこし手抜きになりますが、
まとめて報告を。

この間、先日のe発明塾通信で配信したエッジ特許


「キンバリークラーク」


から、



「紙」・・・「おむつ」・・・「トイレタリー業界」・・・「P&G」

(途中、「キーエンス」を挟みました)

へと、分析を進めてきました。


特に、P&GのIR情報には、非常に興味深い点が、いくつもありました。



P&G IR資料 2015 より)


P&G IR資料 2015 より)

すこし調子悪そうですね・・・・まだまだ、


「鉄壁」


の企業であることは、間違いなさそうですが・・・・原因は何でしょうか?



今回注目したのは、

「セグメント利益の推移」
「セグメント利益率の対比」

および、それらについてどのように、

「言い訳」

されているか、です。競合他社の記載と比較し、さらに、各種情報検索で

「裏取り」

を行った結果、P&G の”ある主力製品”が属する業界に

「大きな地殻変動が起きているようだ」

そして、

「鉄壁に見える P&G も、切り崩されそうになっている」

ということがわかりました。

守りが崩れそうな業界に参入する、というのは、

「新規事業の定石」

の一つです。

「新たなS字カーブ」
「付加価値の再配分」
イネーブラー

をキーワードに、さらに読み解きましょう。


第322回では、特許も分析し、


「どこまで先読みしているか」


を、確認しました。



さらに、


「その先読みを、突破できないか」


も。



ある事業、企業について


「Critical」


に見るためには、


「Creative」


に見る必要があります。



そのためのスキルが、


突破発明」力


です。



ただ漫然と、かつ


「ロジカル」


に情報を見ても、


「何も見えてきません。」



「これまでにない商品、事業、企業、価値」


を生み出し、


「100年続くもの」


にするには、


突破発明」力


が不可欠です。



発明塾で追求したいのは、


「起業家を育てる」


みたいな漠然とした話ではなく、


「技術を市場で価値に変えるために必要な知識とスキルの源泉はどこか」


を、実践を通じて常に見極め、必要な教育と教材を開発していくことです。



これが発明塾の「ぶれない」存在意義です。



しかし一方で、必要な知識は、すでに市場にあふれていると思います。


重要なことは、それを、どのような「過程」で身に付けることができるか、についての知見です。


資格も学位も関係ありません。



今日、塾生さんのMLに送ったように、


「毎日15分」

「週に一度は3時間」
(別に1時間でもいいけど)

は、そのための、


「必要最低限」




「習慣」


です。


発明塾京都 第44回開催報告~「毎日15分」の習慣があなたを創る




「1万時間の法則」


から考えると、全く足りません。


一般的に、


「1000時間」「3000時間」「5000時間」「10000時間」


あたりに、


「習熟(Mastery)」


の、節目があるそうです。



「習慣として」

「繰り返し」
「日々」

行わなければ、到達できない数字です。



塾で討議するかどうかは別にして、

日々、しっかり活動してください。


では。



2016年2月13日土曜日

【副作用の少ない治療を実現するナノDDS(ドラッグデリバリー)技術の”エッジ特許”】「e発明塾通信」バックナンバーより(7)

✔ メール講義「e発明塾通信」のバックナンバーを見たい
✔ 特に注目の「エッジ特許」について、過去のものを知りたい

というご要望にお応えするものです


公開分は「バックナンバー」で、ご覧いただけます。


なお、メール講義「e発明塾通信」は毎週発行で、そこで取り上げたエッジ特許をすべて掲載すると膨大な数になりますので、「バックナンバー」では、そのごく一部の紹介にとどめさせて頂きます。
(過去配信分についてのお問い合わせは、ご容赦ください。定期的に「振り返り」にて、過去分も掲載します。)

「エッジ特許」について、もっと知りたい、という方は メール講義「e発明塾通信」(毎週発行、無料)にお申し込みください。

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今回は、
副作用の少ない治療を実現する
「ナノDDS(ドラッグデリバリー)技術」

のエッジ特許を取り上げました。


「熱い分野」

ということもあり、

「非常に多くの反響」

を頂きました。


記事転送の問い合わせも多かったです。
(転送フリーですが)

よく「味わって」ください。

では。





=以下、メール講義より抜粋

■■■ 副作用の少ない治療を実現する「ナノDDS(ドラッグデリバリー)技術」をエッジ特許で ■■■


今回も、「nano tech 2016(ナノテク展)」にちなみ、ナノテク分野のHot Topic を取りあげます。
実用化が近いといわれる、「ナノDDS(ドラッグデリバリー)技術」を、見てみましょう。


(ナノDDS技術:東京大学 資料 より)


取り上げる特許は、以下です。


「脂質膜による微粒子の被覆方法」(登録公報です)

さて、一体どのような発明なのでしょうか?


ヒントは【0024】にあります。


「本発明の方法で用いられる極性有機溶媒含有水溶液中の極性有機溶媒の割合は、
微粒子が溶解せずに存在し、微粒子を被覆する脂質膜を構成する成分が溶解するという
条件さえ満たしていれば特に限定するものではなく、・・・」


極性溶媒を用い、微粒子を脂質二重膜で被覆する方法、についての発明です。

【請求項2】から判断すると、


「該極性有機溶媒含有水溶液中の極性有機溶媒の割合を減少させる」


ことが、特徴の1つのようです。具体的な手法がいくつか挙げられています。


「溶媒の性質を徐々に変化させ、粒子の周りに膜を形成する」

実にシンプルで、スマートな方法だなと感じました。





今後も、発明塾独自の視点で”エッジ特許” 選定を継続し、配信させていただきます。

皆様の「発明」「知財活動」のご参考になれば幸いです。

2016年2月7日日曜日

過去に取り組んだ「解決が求められている”重要な課題”とは?」~医療分野の例と「エッジ特許」

現在、塾生さん/OBさん自身の発案で、

「過去に創出し、完成/提案に至っていない発明を公開しよう」

という取り組みの準備が進められています。


目的はいくつかありますが、一つは、

「過去の発明を整理することで、発明を学んでもらう」

ためです。


今後、準備が整った発明から掲載予定です。(


当面、そのイントロダクションとして、最近話題の発明と、それに関連ある、過去に取り組んだ発明を紹介していきます。


今回は、

「脊椎(Spine)損傷」

に関するものです。

✔ 例えば、椎間板ヘルニアの患者数は、日本に100万人といわれています。

椎間板ヘルニアに限らず、脊椎の湾曲や損傷はQOLに重大な影響を与えます。


 リコー、脊髄機能を見える化するセンサー、MRIと併用へ(EETimesより)
 姿勢をよくする「Backgenie」


発明塾で「脊椎損傷」関連について調査し、発明に取り組んだのは、2013年でした。
その後、いろいろな取り組みが始まっているようです。


最後に、当時の発明討議で用いた、この分野の「エッジ特許」を一つ挙げておきます。
残念ながら、日本企業からの出願は極めて少なく、また、欧米の企業からはかなり深く課題を掘り下げた発明について出願が見られました。


特表2012-521803


代表図も、挙げてきましょう。


特表2012-521803 より 抜粋

上記特許に記載されている発明は、大きくは、

「脊椎湾曲」

の矯正に取り組んだものです。関連特許等にもたびたび記載されていますが、特に子供の場合、成長とともに矯正器具を手術で度々取り換える必要が生じるため、低侵襲/成長に対応できる矯正器具が求められているようです。

我々は、この特許を含む関連特許群を緻密に分析するまで、そのような課題が存在することを、恥ずかしながら知りませんでした。


この発明は、

「どのような課題の解決に取り組んでいるのか」
「解決手段としての独創性は、どの部分にあるか」

特許公報を読み、じっくりと味わってみてください。


それでは!



2016年2月6日土曜日

「”究極のブランドビジネス”をLVMHに学ぶ」~第319回報告

今回は、塾生さんの持ち込み?希望?により、

「ブランドビジネス」

を取り上げました。


これまで、

「特許」「特許情報」

に特に注目してきましたが、もちろん、すべてが「特許」で語れるわけではありません。

✔ 他の1次情報、たとえば「IR情報」
✔ 他の知的財産、知的資産、あるいは、無形資産

にも注目し、

「新しい価値を創造し、世の中を良くする」
(発明塾用語で”巻き取る”)

発明、あるいは、事業を創出できる議論を今後も行います。


「ブランド」で著名な企業は、世界中に多くあるのですが、

LVMH、リシュモン、ケリング、ロレアル・・・・

など、欧州の企業に注目して進めます。

「何でもかんでも、シリコンバレー」



「逆張り」

するのも、発明塾らしいと思います。


もちろん、米国にも

エスティローダー・・・

など、素晴らしいブランドを保有する企業もあります。


今回は、

✔ LVMH、ケリング、リシュモン

の比較を通じて、

「ブランドビジネスを、安定的に発展させるために必要なことは何か」

を導き出すべく、情報分析と議論を行いました。

(誤解を避けるために、あえて蛇足ながら説明しておくと、上記の企業はいずれも「技術」や「職人技」の上に、成立している企業です)


注目したのは、「無形資産」です。

以下、LVMHのIRの抜粋を示します。




これを見て「ピン!」と来ました。

なるほど、原理原則にかなっていて、よく考えられているなと。単に

「事業ポートフォリオで、リスクヘッジしている」

というような、薄っぺらい話ではないようです。


「収益を再投資し、さらに大きな収益を安定的に生み出す」

ための

「仕組み(Machine)」

が、IRから透けて見えます。


IR情報、じっくり味わってください。


では、次回は「世界の食品大手」について、同様に

「ブランド」

の視点で見ていきましょう。

P&G、ユニリーバ、アンハイザーブッシュ、アルトリア、モンデリーズ・・・・

など、見てみたい企業がたくさんありますね。


日本では、

「サントリー食品インターナショナル」

に、注目しましょう!


準備よろしく!