2016年6月28日火曜日

「仮説思考」から「仮説検索」へ~自らを過信せず「巨人?の肩に乗る」技術に習熟を

メール講義バックナンバー紹介も、ただ紹介するだけでは面白くないなと感じています。

試みとして今回は、「バックナンバー紹介+内容の補足」の形式を取ります。そもそも、メール配信では、「一度書いて、削る」作業により、相当量の内容を削除していますので、それらを拾い上げる意味も、含んでいます。

文章も発明も、

「削る作業が本質」

だと、僕は考えています。付け足すと、往々にして醜いものになってしまいます。(自戒の念を含みます)


今回は、Vol.90(2016年6月27日号)を取りあげます。

配信文では触れていませんでしたが、Vol.90のテーマは、

「仮説検索(*)」

です。

* 「仮説検索」は、TechnoProducer株式会社の登録商標です。

この技法は、もともと、

「仮説思考」
(例えば、発明塾参考図書「イシューからはじめよ」参照)

を、コンサルティングではなく

「発明」「創造」「先読み」

に最適な形へと進化させ、突き詰める中で生まれてきたもので、発明塾独自の考え方や実績にもとづくものです。


こちらでも触れましたが、「仮説検索」が生まれた背景には、発明塾が置かれた特殊な環境があります。

✔ 専門外、あるいは、そもそも専門家がいないような、「これから起こる未来」について発明を求められる

✔ 締め切りがあり、締切を過ぎるとアイデアは無価値になる

✔ (一般論として、知識と経験の蓄積に劣る)大学生が、切磋琢磨しながら取り組む


僕が、塾生さんにいつも言うことは、以下です。

✔ 専門知識は「今」を理解するには有益だから、あるに越したことはない

✔ 一方で、「皆さんは、世界中の形式知を一瞬で手元に取り寄せられる”魔法の箱”(携帯電話+Google)」を、肌身離さず持ち歩く時代に生きている

✔ 「皆さんの固有性」(今の時代背景、今の時代の精神”Zeitgeist”)を生かすことが、「これまで出来なかったことを、これから実現するため」には、不可欠


これまでにできなかったこと(課題)が、今できるようになる(解決)理由について、よく考えましょう、ということです。これ自体、「発明の本質」の一つ「固有性(*)」という考え方を示します。

* 今回は、「固有性」の話は、おいておきます。また、「固有性」に注目した思考法の一つに、僕が過去何度かセミナーを行い、特に、企画部門の方や研究者の方など、限られた時間で「アタリ」を出さないといけない、知的創造に関わる方に非常に好評であった「制約思考があります。
 「制約思考」は、TechnoProducer株式会社の登録商標です。



今回の配信では、

① 生体内留置デバイスは、現状、「なぜか」、RFなど「電波」で無線通信することになっている
② そうでないアイデアも、当然誰か考えている(考えた)はず
③ 具体的に、どんなものがあるのだろうか
④ 考えるより、調べるほうが速いだろう

という、「仮説検索」の考え方を用い、実際に検索して見出した例を、掲載しました。

透光性生体留置デバイス及びその利用 (パテントニュースライン)

の特許を見つけるまでに要した時間は、①の疑問をいだいてから、約3分です。発明塾の経験上、「仮説検索」初期においては、仮説に該当する先行例(特許など)は、3-5分程度で見つかります。
(なお、生体内留置デバイス「以前」のお話は、こちらを参照ください)



より抜粋


これらを、

① 「課題-解決」と「先行技術との違い」の視点
② 「知財戦略」と「ビジネスモデル」の視点
③ 「バリューチェーンへの影響力」「先読み」「知財的再発明」の視点
④ 「技術進化把握」と「突破発明」の視点
⑤ 「コア技術」の視点
⑥ 「取り組みの本気度」の視点
⑦「攻めか守りか」「意図を読む」「権利化したい技術思想」の視点

など、e発明塾で既に体系化済の幾つかの視点を組み合わせ読み解くことで、

「その先の仮説」

を立て、次々と検索を進めます。

* 「知財的再発明」「突破発明」は、TechnoProducer株式会社の登録商標です。


詳細は、以下セミナーで、(上記とは異なる)医療機器分野の事例を用い、実際の作業プロセスを振り返り、解説しながら紹介いたします。



●「 ”エッジ情報” 分析とその活用」セミナー開催のご案内(略称:エッジセミナー)
7月13日 東京開催です。
弊社HP内のご紹介ページは、こちら
発明塾HP内のご紹介ページは、こちら



ところで、特許情報(特許公報を含む)を読み解く際、注意すべき点の1つに、「出願人」があります。

特許や知財に対する取り組みは、企業や業界により、大きく異なります。

例えば、「花王」は「異業種参入」に先んじて「既存業界のキープレーヤーを排除」できるような特許を出願しておく傾向があることが、一般的に知られています。

また、「キヤノン」は「市場形成」と「収益源になる技術の保護」という視点を重視しているように、見受けられます。

「特許情報をこう読む」

という一般論は、発明には殆ど役に立たず、

「XX社の出願の定石から考えて、今回の出願はXXXではないか」

のような読みが、最低限、必要になります。最低限、と書いたのは

「過去の延長線で、未来が予測できるとは限らない」

からです。ただ、何も無いよりは、随分楽になります。


発明塾で、「知財戦略」について、代表的な企業を取りあげ演習講義や、突破発明創出を度々行っているのは、上記が理由です。発明塾での多くの指導・討議経験から感じることとして、どうやら、多くの人は、

「その特許情報(特許公報)だけ」

を見ても、発明が生まれるほど、読み解くことはできないようです。

「見る目」

が出来ていない、平たく言うと、

「特許」

のことがあまりよく分かっていない、ことが、その原因のようです。


予定通り?長くなってしまいましたので、今回はここで一旦打ち切ります。

続きはまた、どこかで。



念のため、最後に配信文を掲示しておきます。
(配信申込は、こちら

==以下、配信文(エッジ特許関連を抜粋)


「「「 生体内留置デバイスと「光通信」のエッジ特許 「「「


遠隔医療、低侵襲医療をキーワードに情報分析を行っていくと、避けて通れないデバイスとして、
心不全モニタリングツール「CardioMEMS HF System」が浮かび上がってくることを、発明塾Blogにて
以前簡単にご紹介いたしました。



今回は、さらにその続きです。


生体内に留置するデバイスとの「通信」は、RF無線通信など、いわゆる電波を用いた「無線通信」が一般的です。


もちろん、「生体自体を通信媒体にする」という考え方も、あります。





発明塾的に考えると、上記以外に着目したものはないのか?が気になります。
例えば、「光通信」はどうだろうか、です。


もちろん、ありました。





光を使うことにより、解決されている課題は何でしょうか?
また、その課題に対して「独占」的な解決手段になっているでしょうか?
光通信を用いる「必然性」があるでしょうか?


読み解いてみると、「生体モニタリングデバイス」「遠隔医療」「光通信」の分野に
おいて、「まだ誰も気づいていない」あらたなチャンスを見出せる可能性があります。


このように、発明塾では、


「XXである」


という ”いま、手元にある情報” に対し、


「だったら、その先に、XXXXはないのか?」
「本当は、XXXXであるべきではないのか?」
「そうだとすれば、さらにXXXXと考えられないか?」


と考え、特許情報・財務情報・M&A情報・投資家動向などを分析します。


「できるだけ素早く、先に行きたい」


そのために、「エッジ」という考え方、独自の情報の「読み方」が生まれました。


発明塾独自の「エッジ」という考え方、情報の読み方について、もっと知りたい、
という方は、以下セミナーへのご参加を、ぜひご検討ください。


●「 ”エッジ情報” 分析とその活用」セミナー開催のご案内(略称:エッジセミナー)
7月13日 東京開催です。
弊社HP内のご紹介ページは、こちら
発明塾HP内のご紹介ページは、こちら

==ここまで


楠浦 拝



2016年6月26日日曜日

「提案書」に必要なロジック「3つのStep」/自己添削の重要性~第335回

第335回は、発明提案書の振り返り、ブラッシュアップ討議を行ったようです。

発明塾では、提案書のひな型を準備していますが、そのとおり埋めればよい、というものではありません。

「こういうことは、書いておかないとダメ」

ということであって、

「提案に必要な基本的なロジック」

を理解していないと、

「埋めただけ」

になります。実際、今回の提案書は

「埋めただけ」
「書いていることに漏れがある」
「書いていること同士のつながりがおかしい」

ものであったと、楠浦は認識しています。

「提案書」に関して、以下2つの視点に触れておきます。


● 必要な「ロジック」

例によって、楠浦がよく指摘することをまとめた本が、存在するようです。まだ全て確認できていませんが、ざっと読んだ範囲では、普段指導している内容が、ほぼ網羅されていると思われます。少しチャラい感じのする本ですが、以下読み替えを行えば、十分読むに耐える本です。

・「プレゼン」を、「発明提案書」に
・「機能・効用・未来」の前に、「構成」を付け加え、「構成・機能・効用・未来」にする
・「構成・機能・効用・未来」の各ステップにおいて、「根拠になる文献」「因果関係」を明確にする、を追加

OBOGも、入手して読めば、仕事で使える本だと思われます。
(繰り返しですが、未だ全て確認できていません)

「発明提案書」講座も、しっかり復習を。


普段あまり読まないジャンルの本ですし、
テクニック論は、あまり好きではありませんが、
「普段、楠浦さんが言っていることが、ほぼそのまま書いてある」
とのことだそうです。
本質を突き詰めると、ジャンル問わず、同じような
原理原則に至る、ということでしょうか。


● 「自己添削」の重要性

以下の手順で、自己添削を繰り返しましょう。

・自身の提案書を印刷して、ノートに貼る
・指摘された点について、ノートに書き込み、必要な修正を行う
・白紙の提案書に、ゼロから書き直す

大学入試レベルの勉強と、方法は全く同じです。

・指摘された点は、別のノート「ベカラズ集」にまとめておく
(これは、イマドキ GoogleDoc などでもOKかもしれません)

も、付け加えておきます。

自己添削できるようにならないかぎり、上達はしません。他人律速の環境で、物事が上達することは望めません。他人からの指導は、止むを得ず受けるものであって、普段は「自己添削」で習熟していくしかありません。しかし、

「自己を客観視する」
「一度得た、素晴らしい視点を持ちづづける」

ことは、いずれも難しいため、

「書留め」
「読み返す」

ことが、不可欠です。


6月度は、次回で最終かな?
提案書の仕上げを、抜かり無く。



楠浦 拝

2016年6月24日金曜日

「IBM」「ハネウェル」「アルトリア」のIRを読む~ビジネスモデルを知り、事業・競争環境の変化を知る

今週は明日開催とのこと。

6月末に提案書が出せるよう、詰めを抜かりなくやってください。


さて、7月以降の布石として、いくつか話題を振っておきます。どこをどう読むか、一つの企業ですべて取り上げるのは、いろいろな意味で難しいため、今回は3社の資料を、それぞれの実態に合わせた視点で読み解きます。

トップバッターは、「IBM」です。


● 「IBM」のビジネスモデルと「Watson」

MorningStarのサイトが使いやすいでしょう。「よく使うリンク」にも入れています。
10年分の推移が整理されています。順に行きましょう。

Financials
こちらのセミナーでも取り上げますが、IBMは一時の勢いを完全に失っており、経営再建中と理解したほうがよいでしょう。
ただ、利益率は向上しており、やるべきことをやっていることは伝わってきます。
EPS、配当、配当性向、自社株買いの傾向も、一貫しており、この辺りはさすがですね。
フリーキャッシュフローも、過去水準から見て問題ない範囲でしょう。

KeyRatio
R&D費用も、売り上げの6%前後で、一定範囲の金額を振り向けているようです。
ずーっと行って、「ROE」の数字がおかしいことに気づけば正解です。
これは、IBMの事業の一つに「ファイナンス」があるからです。
IRに書かれていますが、財務レバレッジを7前後で調整しているようです。
「製造」業の感覚から見ると、これは極めて高い数字ですが、

・IBMの信用(これも資産です)を生かし、低金利で資金を調達
・「リース」を活用し、大きな金額の商品を販売するハードルを下げる
・金利を稼ぎ、利益率を改善する

という視点で見れば、一つの「戦略」です。別途取りあげるGEも、IBMほどではありませんが、ファイナンス部門を活用しています。


2015決算資料
「クラウド」「ワトソン」に目いっぱい舵を切って、一気に勝負に出ているようです。
SEC Form 10-K には、「セキュリティ」「医療」「気象」の分野で、特に「ワトソン」の取り組みを加速させるとあります。M&A履歴を見ると、「医療」が特に目立ちますし、金額も徐々に大きくなっています。

KeyRatioのところで言及した、「ファイナンス」の事業含め、事業構成は以下のようになっています。
(以下は、FY2015決算報告資料から抜粋)




ワトソンは「Cognitive」に入ります。25%ぐらいでしょうか。細かい事業構成は、専門的すぎるので割愛します。mobile、middleware、cloud、あたりをKWに、10-Kを読んでみると「今のIBM」が見えると思います。 

今回は、さらっと見ていきます。



● 「Honeywell」とIoT

本当は、GEを取り上げようかと思いましたが、GE Capital 切り離しで数字が見づらいのでやめました。ちなみに「数字はこんな感じ」です。10-K をかなり入念に読まないと何も見えてこないので、今回はハネウェルにします。皆さんが詳しくなってから、再度取り上げます。

ハネウェルは、「一足先に」事業再編がおわり、数字がわかりやすく、かつ、継続的に上がっています。「こんな感じ」です。ほぼすべての指標で、「成長している」ことが確認できます。練習のため、IBMと対比し確認してみてください。

ハネウェルについては、Annual Report(2015) から、以下グラフだけ取り上げます。




曰く「我々は、ソフトウェアの会社だ」と。GEを意識している?と思ってしまいました。

不調のGE尻目に好業績を維持するハネウェル(WSJ)
米GE:デジタル事業の成長は2020年以降加速(ブルームバーグ)

航空宇宙、精密サーモスタットなどの自動化機器、ケミカル部門など、GEとはやや事業構成が異なりますが、「ソフトウェア化」に先手を打ち、経営を成長軌道に乗せているとも読めます。IBM、GEは「ファイナンス事業」からの脱却に、やや時間をとられている印象を持ちました。

ハネウェルの数字を見ると、こんなに順調な「機械」メーカーがありえるんだなと、少し驚いてしまいます。個人的には、「サーモスタット」「各種インフラ用のメーター」に注目しています。

「IoT」そのものですから。

GEが「産業用ソフトウェアのトップ企業になる」と宣言していますが、それに対するハネウェルの答えがどうか。このようにして読んでいけば、IR資料は非常に面白いものになります。

きちんと読めば、新製品、新事業のネタが、いくらでも出てきます。

次へ行きましょう。



●「アルトリア」は、「精密時計のような正確さ」で事業を運営する

最後は、アルトリアです。経営の歴史、という意味ではレイノルズアメリカンを取り上げたいところですが、先日の大型買収により財務諸表は少し見づらいので、わかりやすさ優先でアルトリアを取り上げます。

ちなみに、大きな数字の変化があった場合、必ず「何があったのか」の確認をするようにしてください。M&A、事業分離、大型の訴訟など、原因は多岐に渡ります。根源的なものもあれば、一時的なものもあります。企業を「読む」上で、これらの見極めが重要です。

アルトリアの数字は「こんな感じ」です。アルトリアも、食品部門(クラフト)・フィリップモリスインターナショナルの切り離しなどがありますので、2008以前の数字は、一旦無視しましょう。2009以降の各種利益率、EPSやそれらの伸びを見ると、ある投資家が評したように、まさに「時を刻むように利益を刻む」企業であることがわかります。

IR資料を読むと、EPSの伸びは8%を目標にしており、実際、昨年は8%でした。
(そして、ものすごい財務レバレッジです)

どうして、このような安定的?な事業運営が可能なのでしょうか?

一つだけ、表を掲載しておきます。レイノルズアメリカンの資料から、です。




レイノルズアメリカンの変遷について、成城大学の山口氏がわかりやすくまとめておられます。参考にしてください。この「業界」を俯瞰するための資料として、非常に有益です。

R・J・レイノルズ社の経営史(1875-1963年)
R・J・レイノルズ社の衰退(1970-1980年代)

アメックス、RJRナビスコを経て、IBMの立て直しを率いたガースナーの話など、今回取り上げた企業はいずれも、経営者という面でも、知っておいてほしい企業です。ハネウェルは、GE出身のアダムチク氏がTopを務めています。ハネウェルと合併したアライドシグナルでTopを務め、名経営者として知られるボシディ氏も、知っておいてほしい経営者の一人です。

「単に数字を追う」だけでなく、その歴史や経営者についても、しっかり学んでください。

「数字から仮説を立てる」
「仮説を、IR資料で検証する」
「背景にある競争力を探る」
「経営者を知る」

経営者については、「Proxy」に、経歴や、付与されているストックオプションとその行使条件などのインセンティブが、細かく記載されています。ここから、「誰が、どういう方針で」経営を行っているかについて、有益な情報が得られます。


以上、アメリカを代表する企業から3社を取りあげ、

・数字
・戦略
・競争環境
・歴史的背景
・経営者

などの見方を、簡単に紹介しました。今後、これらを教材化し、各自が自由に学べるようにしていきます。「e発明塾」のラインナップに加える予定です。


長くなりましたので、続きは各自で読んでもらうことにしましょう。


楠浦 拝

2016年6月19日日曜日

「極端」なことを考え、「考えられないこと」を考える~第334回

第334回は、部分的に楠浦も参加して、行いました。

「完全遠隔討議」


のメリットは、この辺にあります。いつもどおり18:00から討議してくれていたようですが、気になる話題のところで、仕事の傍ら「少しだけヘルプ」してあげることができました。


「”頭脳”が集まる時間を、どう、効率よく使うか」


今後も、掟破りの手法を、どんどん開発していきましょう。


組織運営について何を目指すべきか、マズローの一文を引いておきます。


「このように、仕事生活、すなわち生活のために収入を得る仕事を正しく管理すれば、そこで働く人間は成長し、世界はよいものになる。その意味で、この仕事生活の正しい管理はユートピア的、あるいは革命的なものといえるだろう。」

(「完全なる経営」A.H.Maslow より、他マズロー関連は コチラ にあり)

発明塾において、発明/創造活動は「組織を発展的に継続し、各自が糧を得て成長する」ためのものです。したがって、企業と同じ原理原則に基づき、
発明塾は運営されます。


さて、今回の討議で楠浦がアドバイスした部分は、


「極端を考える」


思考の典型的なアウトプットです。


「極端に大きな磁場の中で、精密に信号を送り続ける」


必要がある環境での議論でした。こういう


「極端」


な市場について、


「ニッチ」


だからといって無視せず、調べ、情報を蓄積していくことが重要です。いつも言う、


「エッジ情報」


の蓄積です。



この考え方は、発明塾で皆さんに話をする遥か前、部下を20名ほど指導する立場に立った時に行き着いた、


「コーチング」


の考え方に、ヒントを得たものです。


コーチング理論では、多くの場合


「選択肢の創造」


という段階を踏むのがよいとされます。その際、役に立つのが


「極端」「起こる/できるとは考えられない」


ことや手法を、まず最初に選択肢として挙げることです。


「ありそうなこと」ではなく「ありえないこと」


できれば


「両極端」


を、最初に、選択肢としてあげるのがBestです。


この「両極端」の考え方は、ある経営者の方(*)がインタビューで語っておられたことにヒントを得ました。経営上の重要な決断を行う際、かならず、「両極端」を考えるのだ、とおっしゃっていました。


また、「起こるとは考えられないことを考える」という考え方は、シナリオ・プランニングの生みの親「ハーマン・カーン」の著書から学んだことです。


もちろん、


前提を疑う


ためにも、極端を考えることは効果的です。一石何鳥かになります。



僕のノートの一つ、通称「ハンバーガー」には
多くの方の「言葉」が書き留められています。
ほぼ毎晩、開くようにしています。ざっと見返すと、例えば
アサヒビール 池田社長、TOTO 貴瀬社長、東京電力 木川田社長、
JR東海 松本社長、日本たばこ産業 本田社長、東芝 西田社長
(所属と役職は全て当時のもの、順不同、㈱省略)
のお名前と、当時の発言が書き留められていました。


このように、発明塾で用いている様々な考え方、手法は、その多くが、僕が


「技術者/経営者として仕事を成功させる」


ために必要になった知識を、発明/創造活動へ応用したものです。企業内「発明塾」の参画者の方から、


「発明塾で学んだことは、発明より、むしろ、普段の業務で役立つ」


と仰っていただくことが度々ありますが、それは、上記のようなところに理由があるのだろうと思います。



極端や、「普通」起こりえないことについて具体的に調べ、考えて、それを書留め、蓄積しておくことで、


「その時が来た」


時に、素早く動くことができます。投資は、タイミングが重要ですから、


「その時」


になってから調べていては遅いわけで、


「今は”極端”だと思われるが・・・」


の時点で、


「どういう条件が揃えば、投資するべきなのか」


まで考えておくことです。発明自体、頭脳の投資ですが、


「発明をものにする」


には、さらに「多額の資金 や 莫大な労力」を投じる必要があります。


「極端な発明」「常識破りの発明」


が、いつ


「投資に値する発明」


になるのか、その条件を定められるまで調べ、書留め、蓄積しておいて下さい。僕が、


「発明塾」


を始められたのも、


「15年以上の蓄積と構想」

コチラ、特に、甲斐塾 と DeepSprings Colledge を参照)



「良きご縁、タイミング」


が重なりあったからです。多くの経営者や事業家にお話を伺うと、やはり、足掛け15年、20年の構想で、というお話がよく出ます。


「今日の明日」「昨日聞いたネタを、今すぐ」


ではなく、


「5年10年、じっくり時を待つ」


つもりで、ネタを拾って下さい。今は、時代の流れ(クロックスピード)が早くなっていますから、それでも、意外と「数年後」に時が来たりするものです。時代の速度に負けないよう、できるだけ「先取り」しておきましょう。


「時代は加速する」

(特異点や、シンギュラリティーの話は別途)

ことを忘れずに。


時が来たかどうかを確認するために、


「日々の情報」


を活用しましょう。決して、


「日々の情報を見てから、それについて考える」


のではありません。


予測した未来が来ていないかどうか、その予兆をつかむ


ぐらいに考えておきましょう。日々の情報に振り回されると、ジリ貧になります。


「一度、ぶっ飛んだところまで考えておく」

「ありえないぐらいのことまで考えておく」

ことで、


「現在の情報を、未来から見る」


余裕ができます。発明塾でいつも、誰かが見つけてくれた


「ありえないような、ぶっ飛んだネタ」


を喜んで取り上げるのは、


「その後が楽になるから」


です。それ自体はなんてことないネタであっても


「未来の視点」(エッジ)


を、見つけ出すことができるのです。

(そして、多分、僕はそれが得意です)

「未来から見る」「投資家の視点」


を忘れないように。



ではでは、次回もよろしく。



楠浦 拝



* りそなHD の 細谷社長 の言葉(所属と役職は当時のもの


2016年6月12日日曜日

「食肉の安定供給」を実現するために必要な技術は?~日本ではなく世界を見よう/第333回

第333回、お疲れさんでした。

討議結果については、別途コメントし、また、先ほどいくつか、

「これまでの、発明テーマの変遷」

を踏まえた、参考資料を送っておきました。

各自しっかり見ておいてください。

世界の食料供給の安定化、とくに、「食肉(水産を含む)」の安定供給についての発明テーマには、既に、2010年からたびたび取り組んでいます。

「世界的な」課題ですので、参考資料も「世界」のモノを見てください。


最近は、各種のアイデア公募でも

「水産資源」

に注目したものが増えています。

「農業IoTが熱い」

というマクロトレンドは「一旦」スルーして、

「林業」(既に参考資料は送付済)
「畜産・水産」

で、10年後何が求められるか、増大する人口に「良質なたんぱく質の供給」は追いつくのか、しっかり議論し、発明テーマを選び、活動を進めてください。


既に度々紹介済みですが・・・
「Everything Store」
まさにそこを突き進んでいますね。
多様な生態系を抱えた「AMAZON」川、
一体どこまで流れていくのでしょうか。


皆さんが、

「一人前の社会人として、なんとか使いものになる」

ようになるのは、早くて10年後です。そこを見据え、いまからじっくり取り組むことです。


この業界、直近では、

JBS社によるカーギル社の米国豚肉部門の買収が合意(米国)」(農畜産業振興機構HP)

のようなニュースが出ています。

JBSもカーギルも、食料大手です。カーギルは穀物(Crops)の世界大手として、度々議論していますね。穀物については、カーギル、ADM、モンサント、ダウ、デュポンなど、おなじみのプレーヤーの動向、しっかり振り返り押さえておきましょう。


「安全な食糧」

の供給も、課題です。以前、無駄なく安全な食肉加工に必要な技術や冷凍・低温輸送/トレーサビリティについての技術も、発明テーマとして取り組みました。以下は、「育種」についての情報です。

ゆっくり育てた鶏の肉、米企業が注目」(WSJオンライン)

余談ですが、

培養肉

も、発明テーマとして取り組みましたね。まさに、

「食肉 ”プラント”」

をコンセプトに、今、考え直すとどうなるでしょうか?
生化学、化学工学、機械工学、医学、微生物学・・・などの複合領域です。

成果を出しながら、

「上記の領域に、一気に詳しくなれる」

わけですから、取り組まない手はありませんよね。そもそも、

「成果を出そう」

と思わないと、何一つ身に付きません。単位のため「だけ」のテストでいい点をとっても、その後の人生には、ほぼ無意味です。


今後も、

「世界の課題解決」

に対するインパクトの大きい分野については、独自のテーマも立て、進めていきましょう。


では、引き続きよろしく。



楠浦 拝