2016年8月28日日曜日

「遠隔医療」普及を実現する「ビジネスモデル」~QualcommLife はどう考えているか?

発明塾 塾長代行 の、小塚遼(おづかりょう)です。


以前の記事でお話しした通り、発明塾の立ち上げに関わったきっかけの一つに
「Qualcomm」があります。


私が Qualcomm の History に「感動」した理由は、


✔ デジタル無線通信技術において、世界を変える発明を創出した点
   (Qualcomm Japan の HP には、「発明」のページがあります)


✔ 技術の「独占」×「普及」という、一見両立しえないことが実現できるビジネスモデルを作ったと考えられる点


✔ そこで得た利益を再投資し、人類に必要な技術を「実現可能に」しようとしている点
  (Qualcomm は、自らを「Enabler」と称しています)


です。


Qualcommのビジネスモデルについて、例えば、以下のスライドが参考になります。


図1 Qualcommの「イネーブラーBiz」
Qualcomm 社 資料より)


Qualcomm の「イネーブラーBiz」に関しては、塾長の楠浦が執筆した
が参考になります。



●遠隔医療の普及に向け、「ビジネスモデル」のアイデアが求められている


さて、前回の記事では、低侵襲医療に関する企業である、


・朝日インテック株式会社
・日本ライフライン株式会社


を取り上げました。


発明塾では、「最も重要な課題」が山積する分野として、
医療分野に注目し、継続的に未来予測を行っています。


その中でも注目している分野が、
「遠隔医療」
です。


現在、発明塾では


「BluePrint For Innnovator」
(未来創造設計書)


を作成し、遠隔医療、特に
について、アイデア創出を行っています。



●遠隔医療における QualcommLife の狙い


さて、BluePrint For Innovation を作成する過程で、
Qualcomm の子会社である、QualcommLife の取り組みに注目しました。


まず、以下 Qualcommlife HP にある図を見てください。


図2 QualcommLifeが想定しているビジネスエコシステム
Qualcommlife HPより引用)


「なんか似た図を見たことあるぞ?」
と思いました。私だけでしょうか。


図1内の右下にある図と似ているな、と一目見た時に思いました。


図2 は、遠隔医療に使用する様々なデータを、安全にやりとりするためのプラットフォーム
を示しています。(詳細はこちら


さらに、以下2つに着目しましょう。


① 図2に記載してある、「2Net Hub」に関する特許
の記載を以下に引用します。

「The associated remote server based service platform services may provide drivers for various electronic medical or fitness devices, store and forward data, and provide remote access to the various electronic medical or fitness devices.」

② QualcommLife が買収した「capsuletech」

動画1 医療情報をフル活用する
capsuletechのHPより)



詳細に見ていくと、QualcommLife は、
遠隔医療、病院で得られるデータ活用の「ハブ」を目指しているように見えます。


どうやら QualcommLife は、遠隔医療や医療データ活用の分野において
Qualcomm お得意の、「独占」×「普及」= Enabler
を目指しているように見えるのですが、どうでしょうか?



●「発明研究所」で、遠隔医療の先読みを行う


さて、上記で QualcommLife の「遠隔医療」分野における取組みを、簡単に紹介しました。


発明塾では、上記以外にも様々な企業や技術について分析を行い、
遠隔医療分野の「先読み」を行っています。


BluePrint For Innovation(未来創造設計書)

✔ 発明に興味がある
✔ 脳機能疾患における問題を解決したい
✔ 上記の分野で投資先を探したい


という学生さんは、こちらを御覧ください。
また、発明塾の考え方を理解するために、「発明研究所」に関する記事もご覧ください。


※入塾資格は、「この分野で、発明/アイデア創出に取り組みたい」「この分野の新規事業に、近い将来、経営者として関わりたい」「この分野に投資したい」「この分野に取り組む、よい議論ができるよい仲間がほしい」という大学生です。


小塚 拝


2016年8月26日金曜日

数字から「仮説」を立てる~IR資料「読み方」の基礎/第343回

第343回は、持ち込みの発明討議を1件と、投資先選定の討議を1件行いました。



● 「先行技術検索」が、すべて

ベテラン塾生やOBOGは、

「耳タコ」

だと思いますが、

「先行技術との差分を、発明と捉え、強化し、再度、先行技術を調べる」
突破 と 発明の本質把握

を、愚直に繰り返しせば、

「かなり効率的に」

アイデアが、提案できるレベルの発明になります。

ここで

仮説検索

を駆使することになります。

テクニックや基本的な考え方の習得は、それぞれのリンク先でしっかり訓練を。



● 「数字」から「仮説」が立つか

今回読んだ Resmed は、「睡眠」「呼吸」をキーワードに、急成長中の企業です。

まず、基本的な数字を確認しながら、IR資料を読むための「仮説」を立てます。


正確には、

「数字の分析」

から、

「IRを読む際の、KSQ」
(こうなってるんじゃないかと思うけど、それってどこに書いてあるかな?)

を立て、

「KSQに従って、IR資料を読み解き、また、確認する」

になります。

価格下落の原因は・・・?


モーニングスターで10年の数字をどう読むか、PER、PBR、PSR etcをどう使い分けるか、投資家がどう見ているかを「どう読むか」、過去推移や同業との比較など、基礎的な

「数字の見方」

について、

「実際に、楠浦がどう読んでいるか」

解説しながら、読んでいきました。


例えば、

「財務レバレッジ」

の変化が何を意味するか。


ROEは、財務レバレッジに左右される指標ですので、経営指標として読む際には、

「その裏」

を見ながら、読む必要があります。


今回は、

「ほぼ全額借り入れ」

で、

「ソフトウェア企業」

を買収したであろうことが、数字だけからわかる、ことを示しました。
(事実そうでした)

まず、

「こういう数字であるということは、こういう経営の実態なのではないか」

という仮説を立てないと、短時間で多くの企業について、投資対象として適切かどうかスクリーニングすることは不可能です。


つまり、

「数字(通知簿)」

から、

「経営のシナリオ」

を読むわけです。
(過去はもちろん、「未来」も*)


PL、BS、CFの相関や、各指標の相関はもちろんですが、

「どういう経営上の施策を打つと、どの数字がどう変わるか」

を、

「実際に経営しているつもりで」

シミュレーションしながら、見ていきましょう。


そのうち

「経営したくなる」

でしょう(笑


数字の見方について、僕は20代に学んだつもりでしたが、

「こういう数字の企業って、たぶんこうなってるんだよな」

のような実感としてわかるようになったのは、30代に入ってからでした。


まぁしかし、それでは遅い気がしました。


20代でチャンスを掴みたい、という塾生・OBOGは、今回の

「結果を出しながら腕を磨く」

機会を、うまく活用してください。



楠浦 拝


* 「未来」は意外に重要で、「数字がこうなったらダメ」「今はダメだけど、数字がこうなったら、投資適格」のように、「事前に基準を決めておく」ことで、「素早い投資意思決定」が可能になります。数字(決算報告書)が出てから、読んであれこれ考えていては、間に合わないことが多いので。

2016年8月25日木曜日

「経営者にならないとできない」ことか?~事業の「目利き」/第342回

第342回は、発明討議および、今後の方針やスケジュールについての討議を行いました。


繰り返しで恐縮ですが、当初予定の5年で、予定通り

「発明」

については、ほぼやり尽くした感があり、現役塾生はともかく、OBOGは

「次のステージ」

に進んでもらう必要があります。



● 「未来創造設計書」で、「頭脳を、さらに”レバレッジ”する」組織へ進化したい

今回、小塚さん

BluePrint For Innovator ~未来創造設計書~

第一弾を作成し、公開してくれました。


これまでの発明創出討議で、ある種「副産物」的に出てきた「エッジ情報」をまとめ上げることで、

「ある領域に、発明を、狙って出す」
課題解決思考(2)で取りあげ済み)

に加え、

「束で出す」

を、強力に支援するものが出来ましたね。既にこの分野、いくつかアイデアは出ていますので、抜かりなく仕上げていくとともに、それらを

「超えるアイデア」

を、塾生や参加希望者の頭脳から引き出し、

「さらなる機会創出」

を狙いましょう。



● 「自ら」アイデアに資金を投じる、「自立/自律した」組織へ

また、この作業を通じて

「投資機会の発掘」

も、かなり進みました。


僕は、

「無駄」

が嫌いなので、

「いくつかの目標を兼ねた活動」

になるよう、発明塾の活動を、日々、隅々まで設計してきました。


「アイデアを出す」

だけで終わらず、

「それを、社会に出す」

ための準備も、この1年半、少しづつ進めてきました。


それが、「投資機会の発掘」です。

そしてさらに、これ自体、いくつかの目的を兼ねています。



● 「事業の目利き」が出来て、「経営者」へ

先日、OBが選定した 投資先 について、主に各種の

「数字」

の面から

「目利き」

をして、その

「ログ」

を残しておいたところ、

「こういうところ見るんですね」
「これ、一回会社経営しないと、マジわからない視点だと感じました」

といったコメントがありました。


しかし、普通に考えると「これ、逆だな」と。

「わかってから、経営してほしい」

というのが、

「投資する側」

の意見です。


Amazon.co.jp のサイトへ)
20年ほど前に学んだ、とても懐かしい内容が、
一通り書いてあります・・・
(本書は、指導用に中古で購入。買って思いましたが、
新しいとか古いとかない世界なので、探して「できるだけ安く」買ってね。)



ここに、僕の狙いがあります。事業を、1つ2つつぶして、疲れ果ててから

「ようやく、わかりました」

ではない、目利きの鍛え方の肝が、

「投資機会の探索/評価」

です。


(経験の有無にかかわらず)事業提案するときに、根拠もなく

「やります」「できます」

と言われても困るので、そういう危なっかしい輩ではなく、ちゃんとやってくれそうな人材を、発明塾で、

「自前で」

育てます。

僕も過去、いろいろ痛い目を見ましたので・・・

事業を行うにあたり、仲間選びは大事だ、ということだけ述べておきます。
(根拠のない自信を持っている人が、正直、一番面倒です)



● 「投資」も、結局は実践だが・・・

「やらないと分からない」

という点では、

「事業」



「投資」

も同じですが・・・。追わせるリスクやら、なんやらが、

「全く違う」

ため、

「お勉強でなく、結果を出しながら、ウデを上げる」

という、

「発明塾」

の哲学に、きちんと沿っています。


すでに、目利きをしてくれた先が、

「筋がいい投資先」

であることは、徐々に見えてきているので、今後も

「実績を積み重ねながら」

ウデを上げて欲しいと思います。


僕の投資経験の、

「ツール化」

もすでに始まっており、頼もしい限りです。


発明塾に、優れた

「発明家」
「経営者」
「投資家」

がそろい、

「よき仲間として、よき議論」

が出来るようになる日が、着々と近づいていると感じます。


では、本日もよろしく。




楠浦 拝


2016年8月18日木曜日

ダナハーに学ぶ「カミソリBiz」モデル~繰り返し、繰り返し、繰り返し・・・

今週の発明塾は、本日開催予定ですね。

いくつかトピックがありますが、6年間

「発明」
「技術情報分析(特に特許情報分析)」

を積み重ねてきました。以前、何名かの”サポーター”の方からご指摘いただきましたが、おかげさまで、

「やりつくした」

感もありますので、今後は、

「投資」
「経営分析(財務分析を含む)」

の割合を増やしたいと考えています。

「本当にやりたかったこと」(そして、これまでの経験が生かせること)

は、むしろこちらの方ですので、

「長かったが、いよいよ準備が整ったな」

という気がしています。


「起業するメンバー」
「自力で研究テーマを立案したいメンバー(公的機関の研究職を含む)」



「大きな成果に結びつくテーマ/アイデアかどうか」
「ヒト・モノ・カネ が集まるテーマか」

を検討するにあたり、

「投資家目線(投資家の、投資するロジック)」
「経営者目線(経営者が、リスクをとるロジック)」

を理解することが、

「遠回りのようで、結局、最短距離」

だからです。


また、特に「起業するメンバー」にとって、発明/アイデア創出の初期から、

「理解ある投資家候補」
「理解ある経営者候補」

と、

「創造的な議論」

を、じっくりと積み重ねることが、これまた

「最短距離」

だと、経験上”痛感”しているからです。


といっても、僕にとって、何か特別なことをするわけでもなければ、塾としても、まったく土地勘がない話をするわけでもありません。

「誰もが、何かを成し遂げたい場合、いずれ通過すること」

を、

「少し前倒しで」

やるだけです。



上記に関連して、以前のBlogで告知した「ダナハー」の資料を、簡単に紹介しておきます。

キーワードは、これまた発明塾定番の

「カミソリBiz」

です。


「Critical になるには、Creative でなければならない」~第320/321/322回報告

で取り上げたのも、「カミソリ」でした。




● 「カミソリか、否か」で事業を分けた?~ダナハー

ダナハーは、「知る人ぞ知る」企業かもしれません。直近では、

Pall

のM&Aがありましたので、フィルター関係の業界の方には、おなじみの会社でしょうか。

上記、Pall の M&A と時期を同じくして、2つの企業に分かれることを、発表しました。

直近のIR資料からの抜粋を、以下に示しておきます。


(Danaher June 2, 2016 Presentation 資料より)


Spin-Off した「産業計測」事業群は、「フォーティブ」として上場しています。「デジタル化」が進む領域であり、よりスピード感のある経営と投資が求められるから、ということでしょう。

以前紹介した、GE や Honeywell の話と、オーバーラップします。



(Danaher June 2, 2016 Presentation 資料より)


他方、「ダナハー」としては、医療・ライフサイエンス・水質計測・フィルターなどの事業群を抱えています。資料では、

「環境・ヘルスケア・食品安全」

と、まとめられています。

「分けた基準は何かな?」(投資家目線では、ここが一番気になりますね)

と見てみると・・・



(Danaher June 2, 2016 Presentation 資料より)


「繰り返し、繰り返し」



「消耗品Biz」

かどうか、というところのようです。

「カミソリBiz」(Razor/Razorable)

ということですね。


「経営者と投資家」

の対話から、それぞれの目線を盗み、よい発明と事業の創出に役立てる、そんな活動を、今後、より積極的に進めていきます。



楠浦 拝

2016年8月16日火曜日

新規事業/起業と「契約」~契約は「決断」

近く、OBOGと会うこともあって、過去ブログを見直していたところ、

「契約」

について、何も触れていないことに気付きました。


以前、「小塚(おづか)」さんには

「楠浦が、前職時代に経験した、契約にまつわる様々なトラブル」

について、話したことがあります。

「NDA」「業務委託契約」「共同研究開発契約」など、典型的な契約の考え方と、実際に生じるトラブルの例は、

e発明塾「アライアンスと知的財産~共同研究の心構えと知財の取扱い

として、まとめていますが、とても講座には収まりきらない、様々な経験をしました。
(楠浦が直接関与した案件だけで、3年半程度で100件近い契約を結んだ記憶があります)

本講座開始当初の事例は、すべて楠浦が経験し、収拾にあたった事例でした。

その後の改訂に伴い、詳細を変更したり、事例を差し替えたものもありますが、現在も、過半の事例は、楠浦が直接経験したものです。



最も壮絶な「トラブル」は、「製造委託」についてのものでした。いくつか手がけた「製造委託」は、どれも「トラブルの宝庫」だったといっても過言ではないでしょう。
(起業にあたり、楠浦から、「製造委託するぐらいなら、知財のライセンスだけにしておけば」というアドバイスを受けた人もいると思いますが、理由は、上記経験によるものです)

「ファブレス」のベンチャーの宿命とはいえ、

「モノがないと、話にならない」
「売るものがないと、どうしようもない」

だけに、

「納期通り」
「仕様通り」

のものが仕上がってくるかどうか、

「仕上がらなかったら、だれが責任を取るのか」
(要するに、誰がその損失を補填するのか)

など、モメる材料には事欠きません。



製造を委託する場合、往々にして

「開発要素が多い、いわば、”試作品”の製造」

の委託になることがあり、これまた要注意です。たいていの場合、

「仕様通り」「納期通り」

仕上がりませんし、

「予算は必ず超過」

します。となると、

「だれの責任で生じた、追加費用なのか」

を巡り、トラブルの種は尽きません。

「出来上がっても、出来上がらなかっても」

なんらかの(追加の)費用負担が発生しますから、問題から逃れることはできません。
(出来上がらなかった場合、別のどこかに「再発注」することになりますから・・・)


出来れば避けたいものですが・・・
経験したら、生かすしかない、でしょうか・・・


「助言が裏目?に出て(つまり、助言通りやって失敗した)、かえって経費がかさんだが、それは誰の責任か」

など、

「よかれと思って・・・」

が、

「自分(会社)の首を絞めた」(*)

こともあり、当たり前なのですが

「委託するなら、丸ごと任せないとダメ」
(任せて、できるかできないか、が重要であって、できないからといってやたらと手伝っても、何も解決せず、かえって問題を増やす)

ということも学びました。当時、

「風通しが良ければ、アライアンスは上手く行く」
「細かいことはさておき、最大限、協力することが大事」

などという

「幻想」

を語る方も、社内にはおられましたが・・・。
(問題を収拾するために、「命を削れば」、いろいろな「現実」が見えてきます)


モメにモメまくる事態を想定し、

「何を決めておくか」
「何をすべきで、何をすべきでないか」

慎重かつ高度な判断が要求されます。



共同研究は、「成果が出たら・・・」というレベルの話で、出たら出たでモメることもありましたが、

「出ないことの方が多かった・・・」

ことと、

「共同研究で生じた知財の取り扱い」
「互いが、契約前に保有している(と主張する)技術の確認と整理」

に神経を尖らせていたこともあり、製造委託ほどのモメごとは生じませんでした。



いずれにせよ、こういう経験は、しないに越したことはありませんし、そのためにも、私の経験はしっかりと伝えていきたいので、今後は、「契約」についても、関係者の方々にご迷惑をおかけしない範囲で、情報を発信していきたいと思っています。



楠浦 拝



* この一件では、相手先の「責任者」の方にも、多大なご迷惑をおかけしました。