「発明塾®」へようこそ!: 3月 2018

2018年3月21日水曜日

(セミナー報告)技術者が「特許権侵害」を回避するために身につけておきたい3つのスキル

3月20日に、


技術者が「特許権侵害」を回避するために身につけておきたい3つのスキル
~① 特許の読み方  ② 侵害判断  ③ 突破発明創出~


と題し、経験が浅い技術者の方々に、特許権侵害判断について理解し、回覧されている特許公報の読み方、あるいは、なぜどのような公報が回覧されているかなど、知財活動の基本を理解いただくことを目的としたセミナーを、開催しました。


セミナー告知サイトは、以下になります。
(セミナーは終了しています。)


技術者が「特許権侵害」を回避するために身につけておきたい3つのスキル


● 対象者


本セミナーの対象者は、


「知財活動の経験が少ない」
「制度の知識はあるが、特許権侵害についてよく理解していない」
「回覧されている公報の読み方がよくわからない、読んでどうすればよいのかよくわかっていない」


など、特許権侵害についての知識や、特許権侵害の判断方法/回避方法についての知識が不足していると感じている、技術者の方です。


実際には、若手の技術者の方で、知財についてのセミナーに出たことがない、特許権侵害の判断をしたことがない、といった方々に、多くご参加いただきました。


● セミナー概要


本セミナーは、発明塾での長年にわたる指導で取りあげ、初学者が理解しやすいと感じている事例や、それにもとづいて開発したe発明塾の講座




の内容から、それぞれごく一部を抜粋し


「演習形式」
「演習結果にもとづいた、質疑応答形式」


で進めました。

詳細は、末尾に掲載した セミナー目次 をご参照ください。


● 楠浦所感


参加者の方には、お一人づつ発表いただきながら進めました。
皆様非常に積極的で、かつ、限られた時間の中にもかかわらず、しっかりと練られた回答をご発表いただきました。

当初想定した以上に、多くの、演習結果をさらに深堀りする、高度な内容のご質問をいただきました。例えば、


「均等侵害」
「リサーチツール」
「相対的知財力/交渉力」
「強い特許の作り方」


などについて、ご質問いただいた内容をもとに、補足でご説明を差し上げました。


とはいえ、その日初めて特許権侵害について話を聞くという方もおられましたので、無用な混乱を避けるため、


「均等」


については、時間の関係で必要最小限の内容にとどめました。あまり専門的な内容に深入りするよりは、知財の方に何を相談すればよいか、あるいは、日々回覧されている公報を


「どう読む」
「読んで、何をすべきか」


を、ご自身の中で明確にしていただくことが重要だと考えたからです。


「知識」


は、ネットでも十分得られる世の中です。重要なのは、


「何をすべきか」


理解し、日々の業務で(翌日から)実践いただけるようにすることです。

特許権侵害を回避するためには、特許権侵害の知識だけでは不十分だと、私は考えています。


「そもそも、なぜ、多数の障害特許が、目の前にあるのか」


考える必要があります。

「テーマ選定時の、調査不足」
「交渉力になる特許を持っていない」


など、日頃の知財活動自体にも、問題があるのではないかと考え、日々の業務に落とし込む必要があります。


「侵害する可能性がある特許が見つかった、回避しなくては」


と逃げ回っていても、じり貧になるばかりです。
(回避は、必要なことですが)

皆様のご質問内容や、休憩時間の雑談から、特許権侵害回避の知識とともに、そもそも、


「特許権侵害が起こらないようにするには、日々、何をしなければならないか」


お考えいただく機会になったのではないかと、感じました。

活発な質疑応答の結果、弊社e発明塾講座の




の一部内容にも踏み込んだセミナーになりました。


● 参加者のお声


ありきたりですが、


「実践的な内容で、とても参考になった」
「演習形式であったため、わかりやすかった」
「質疑応答の内容が充実しており、非常に役立つ内容だった」


のようなご感想をいただきました。
(委細は割愛とさせていただきます)


大学時代に英語教材を開発していた経験から、添削指導や演習など、様々な手法を組み合わせることで、皆様が理解できる教材/教育ができることが分かっています。


今回は、一部、試行的な取り組みも取り入れました。


テキスト等をしっかり復習いただき、日々の業務で実践いただきたいと考えております。


楠浦 拝



==セミナー目次を記載

1.はじめに[20分]
 ・特許権侵害について、技術者として、最低限知っておいてほしいこと
 ・「ここまではやっておきたい」「出来ると差がつく」~同じ技術者/発明者として、お伝えしたいこと
 ・特許権侵害を回避するために行わなくてはならない作業を、すべて挙げると?

2.特許権侵害を起こさないために特許公報を読む!「特許の読み方」講座[1時間]
 ・特許公報を読むために知っておきたい「特許戦略」「知財戦略」の基礎知識
 ・「公開公報」と「登録公報」、「特許の読み方」の違いを知っていますか?
 ・「特許の読み方」その1~公開公報の情報を、どう扱うか
 ・「特許の読み方」その2~登録公報だからといって、慌てない
 ・(演習)特許公報を読んでみましょう!

3.特許権侵害になる?ならない?どう判断する?「特許権侵害判断」講座[1時間]
 ・自社製品が特許権侵害になるかどうか、どのように判断すればよい?
 ・何をすると「特許権侵害」になる?
 ・構成要素を対比する
 ・侵害判断フローチャート
 ・(演習)特許権侵害判断を行ってみよう!

4.特許権侵害を回避し、突破するアイデアを生み出す!「突破発明創出」講座[1時間]
 ・特許権侵害にならないアイデアとは?
 ・特許権を回避し、さらに優れたアイデアを生み出す
 ・「技術思想」を見抜く
 ・「特許の書き方」を意識し、アイデアを広げる
 ・(演習)「回避発明」「突破発明」を創出してみよう!

5.おわりに[40分]
・特許権侵害を回避するために技術者が知っておきたいこと
・特許権侵害を回避するために、技術者に知ってほしいと「知財部門」の方が思っていること
・特許権侵害を回避するために技術者が行うべきこと 
・特許権侵害を回避するために、技術者に行ってほしいと「知財部門」の方が思っていること
・技術者と知財部門(知的財産部門)の役割分担の例
・質疑応答(15分程度)

2018年3月13日火曜日

(発明)発明テーマの選び方/(投資部)独自のドラッグデリバリー技術に注目「メドレックス (4586)」を分析する~発明塾第422回/第423回(投資部第37回)



特許侵害回避セミナーなどで立て込んでおり、報告が遅れました。

ちなみに、セミナーの報告は別で書きます。気づきの多いセミナーでした。開催に向け調整頂いた関係者の方々、および、安富さん、お疲れさまでした。



僕個人的には、今回のような、少人数で演習&質疑応答が中心のセミナーが、大好きです。即興性が求められる方が、僕の性(しょう)には合っているようで、企業内発明塾も、


「その場で、皆さんが討議したいアイデアについて、”ガチ”で討議や調査を繰り返し、企画へと練り上げていく」


のが通常です。



もちろん、もっと研修っぽくやってほしい、というお声がある場合には、敢えてそのようにしていますが、僕自身がそういうセミナーや研修が嫌いで、サボるか寝るか、無理やり出張入れてしまって欠席するか・・・という感じだったので、あまり気乗りしません。
前で誰かがしゃべっているのを聞くとか、それを聞いて覚えるとか、小学校の時から苦手なんですよね。

なので、小学校の時は授業は上の空で放課後に塾通いして勉強していました。そのせいで、周りとペースが合わず、よくいじめられてました。
僕が、eラーニングの可能性を研究しているのは、そういう体験も影響しているような気がしています。


さて、今回の発明塾(発明)では、新たに発明に取り組むメンバーと一緒に、


「どうやって、発明テーマを選ぶか」


について、一緒にテーマ公募資料を読みながら、話をしたり、文献を調査したりしました。



投資部では、投資手法自体の討議を小塚さんが持ち込まれたので、その話をしていたのですが、


「やっぱ、具体例がないとわからんな」


と思ったので、直近の株式取引動向(テクニカル指標)に特徴がある企業をいくつか見た上で、


「メドレックス (4586)


を取りあげ、分析と議論を行いました。



以下、順に取り上げます。




● 発明は「課題」探しから始まる~「課題をクリエイトする」話


発明塾の新メンバーが、必ず戸惑う点、質問が出る点が、


「発明って、どうやって始めるんですか」


だと思っています。今回も結局、この話だったと理解しています。



発明は


「課題と解決手段」


で、できていますよ、といつもお話ししています。



今回は、食品の製造プロセス、特に、廃棄物などの


「リサイクルやリユース」


に関する発明を求められていますので、まずはその分野の


「最先端情報(エッジ情報)」


探しから始まります。



実際に、少し特許を見てみましたね。


しかし、特許に書いてあることは、すでに誰かが考えていることですから、発明を生み出すためには、


「その先に、生まれる/取り組まなければならない であろう課題」


を、考えだす(考えつく)必要があります。



「胡散臭い」本が嫌いな人は、読まないでください。
僕はこういう、胡散臭くて、一見何書いてあるかよくわからない
「総合格闘技」的な本が、大好きです。
MLで流した通り、塾生さん/OBOGは必ず読んで、
感想を教えてくださいね。



これが、


「課題の創出/発見」

「課題のクリエイト/課題をクリエイトする」(発明塾独自の造語です)

です。課題をクリエイトすることについては、以下で取りあげています。

(古い記事ですが)

塾長の部屋(45)~「課題をクリエイトする」~結局は皆同じ事を言う



自分で


「考え出した」


と思っても、すでに誰かが取り組んでいる、そんなことを繰り返さないために


「いきなり最先端を見に行く」


必要があります。つまり


「エッジ情報」


の話です。



「”課題をクリエイト”するには、”エッジ情報探索”が欠かせない」


ということです。


今日はこれぐらいにしておきます。




● 「メドレックス (4586)」を分析する~独自のドラッグデリバリー技術に注目


具体例がないとわからないので・・・、と取り上げただけだったのですが、意外に面白かったので、メモとして情報を載せておきます。


続きを調べたい人はどんどん調べていただいて結構ですし、質問がある人は、随時連絡ください。


以下は、その場で参加者の方に作成いただいたチャートです。


イベントと株価の関連を見たいねということで、試しに作成いただいたものです。



青矢印の財務報告は、業務報告(業績などに関連しない報告事項を指すもの)と読み替えて下さい



製薬系ですので、やはり許認可、特に、米国の許認可関連ニュースに反応してますねというようなことを、議論していました。

(当たり前、だと思いますが)


ちなみに、メドレックスが取り組んでいる


「マイクロニードルを用いた経皮吸収剤」


の用途の一つが


「痛み」


分野です。非常にあつい分野ですので、やっぱりそうか、という感じでしたね。



メドレックスのHPにある、痛み分野についての資料を、以下に貼っておきます。


米国においてオピオイド鎮痛剤が抱える問題


四季報ONLINEに、インタビュー記事が出てます。


痛み止めから認知症まで! 経皮吸収の新薬開発するメドレックス(下)


同社の特許を見てみると、その歴史が一目でわかるので、とても面白いです。

貼り薬から、イオン液体、そして、マイクロニードルへと、出願内容が変化しています。

最近は、検査などについても出願していますから、研究開発がどこまで進んでいるか、なんとなくわかりますね。


実は、僕は前職で、このマイクロニードル関連の企業とも多数付き合いがありました。当時は、


「こんなの、モノになるんかな」


という感じでしたが、それから10年、実用化に向けて着々と進んでいるんですね。



海外では、例えば


Corium


が、


「アルツハイマー」

「骨粗しょう症」

用の薬を投与するために、同じようなデバイスを開発しています。

(課題は何か、特許をじっくり調べてみると面白いかも?)


マイクロ・ナノ加工は、僕の(元)専門分野ですので、調べたい人、議論したい人は、ぜひ次回持ち込んでください。



ではでは、次回もよろしく。




楠浦 拝






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2018年3月9日金曜日

特許情報分析を用いたコア技術の用途探索/休日の過ごし方/よい情報を見つけるために~発明塾第419回/第420回(投資部第36回)/第421回

少し執筆をさぼって居りますが、この間、 発明塾(発明)の討議2回と投資部の討議1回を行いました。

発明の方については、以下、差し支えない範囲で、簡単に触れておきます。
(投資部の方は、情報管理の関係があるため、割愛します)


● 特許情報分析を用いたコア技術の用途探索

発明の方では、

「アパレル・eコマース」
「ブロックチェーン・eコマース」

の持ち込み討議と、

「ある新しい材料の用途探索」

についての持ち込み討議を行いました。


材料の用途探索は、いつも通り、以下の手法を用いて進めました。

特許情報を用いた技術マーケティング


手法の詳細は、以下講座で取りあげています。

開発テーマ企画・立案における特許情報分析の活用


今回は、無料ツールでどこまで出来るか、ということを実際に楠浦が実演しつつ、皆さんに挑戦してもらいました。

分類記号やキーワードの選び方、分析結果の読み方など、

「特許情報」

の特徴を知り尽くしていないと、(いろいろな制限がある)無料のツールで分析を行うのは、少し難しいかもしれません。

理解を深めつつ、作業を進めてください。

 
左の「俳句脳」は、発明塾の考え方に通じるものがあります。
また、右の「ユリシーズ」は、古い訳の版を大学時代に読みました。
大学を卒業したまさにその97年に、新訳がでており
好評なのは知っているのですが、まだ手が出せていません。
いずれも「言葉」の可能性と限界について、考えさせてくれる
本です。


● 休日の過ごし方/よい情報を見つけるために

こちらにも書いたのですが、僕は原則として土曜日も何らかの仕事をすることにしています。

以前は、木曜日は発明塾@京都で、土曜日は発明塾@東京というスケジュールでしたが、今は、木曜日統一でかつ遠隔ですので、ずいぶん運営負担は減りました。

おかげで、一週間をゆっくり振り返り、得られたものをまとめ直したりするのに、土曜日を活用できるようになりました。

通常業務とはまた違う、自分の未来に向けた

「アウトプット」

の時間、といえばわかりやすいかもしれません。


僕のメモは、社内全員にすべて公開されているので、

「自分と会社の未来に向けたメモ」

というべきかもしれません。


これも以前どこかに書きましたが、僕の今の仕事の原点は、高校・大学時代にお世話になった学習塾(甲斐塾)です。その、化学の講師の方から

「一人の時間を大切に」

というメッセージを、進路指導の際にいただいたことがあります。

「一人の時間と、そうでない時間」

バランスは、年齢や環境によって異なると思いますが、このバランスを意識するように、というメッセージだと今は理解しています。

SNSがあるので、どこまでが一人の時間か、という境目も合間になりつつあります。そんなことを考えていたところ、偶然ですが、ともてセンスのいい友人から、以下のサイトを紹介いただきました。

BUILD A BETTER FILTER How to read less news but be more informed, according to a futurist

発明塾の Facebook Gr では共有しましたが、全員が参加しているわけではありませんので、こちらでも共有しておきます。



楠浦 拝



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