2017年1月20日金曜日

アイデア/情報の「エッジ」に注目し、「チーム」で発明に育て上げる~自分では気づけない「エッジ」(発明塾第360回)

今回は、冒頭に前回Blogで出題した「宿題」の討議をまず行い、その後、発明討議を行いました。


● 何を「エッジ」と捉え、育てるか

アイデアの「育成」という考え方の元になってるのは、実は、以前から言っている

「詰める」

という活動であることを説明しました。以前の塾では、「詰め」の練習になりそうな題材を僕、あるいは、各自が持ち込み、討議することがよくありました。

今回の、題材において、

「何をエッジと捉えたか」

で、その次の打ち手は変わってきます。唯一の正解はありません。また、最初の一歩次第で大きく変わる可能性があることを、よく憶えておきましょう。

僕は

「折り畳み」



「電動」

の共通項に何があるか、を考えました。これは、

「制約思考」

で取りあげている考え方です。

「因数分解して、集合論に持ち込む」

という、発明塾で多用する、最も基本的な考え方の一つです。

小塚さんともアプローチが分かれたところですので、

「唯一の正解はない」

という、僕の考え方は、理解してもらえたと思います。


(画像をクリックすると Amazon.co.jp のサイトへ移動します)
Amazonのプログラムから画像を引くことにしました。画像が粗いのですが・・・。
英文版もありますので、大学生は、英語の勉強にもよいでしょう。



● 自身のアイデア、自身が見つけた情報の「エッジ」を見抜くことの難しさ

持ち込んでもらった、課題解決思考(1)

「ダントツワークシート」
(正確には、ダントツワークシートの形式に従った、未完成の文書)

を起点に、議論を始めました。課題解決思考(1)は、小塚さんが中心となり開発された発明ツールであり、

「ある材料の、新たな用途を探索する」
「ある技術、発明について、強みを生かした新たな発明を創出する」

ためのツールです。大学時代に使いこなせるようになっておいて、損はないようです。
(OB/OG曰く、ですが)


よくあることですが、

「持ち込んだ当人は(不慣れなので)、エッジ情報の”エッジ”に気付かない」

ものです。今回もそうでした。なのでいつも、

「ダントツワークシート、書いてきてね」

というのです。

「周りが拾い上げ、育てる」

という、発明塾の本質である

「組織で創造性を発揮する」

ために必要なツールだからです。


今回は、まず僕と小塚さんがほぼ同時にいくつかの視点でエッジを拾い上げ、小塚さんが育て、再度僕が詰める、という

「パス回し」(工程管理)

で、一気に発明に仕上げました。


とはいえ、発明提案として仕上げるには、まだまだ検討すべき内容がありますので、次回は

「発明提案書」(SR)

に記入してくるようにしてください。



【宿題】
前回Blogで出題した「宿題」の討議をふまえ、

「なぜ、”折り畳み”に注目したか」

僕の思考回路を

「リバる」

作業を行ってください。

2017年1月15日日曜日

発明塾の「原点」を振り返る(1)~英語科講師時代の仕事/発明塾第359回

今回は、発明討議でした。

依頼いただいた企業様に、よいアイデアが提案できるよう、進めて下さい。

今のペースで、大丈夫ですか?

今回話した点は、2点です。


✔ まず一度、詰めてみる(入り口を舐めて終わらない)

✔ 詰めたところで、「強み」を確認する

結局、具体化しなければ強みは見えてきません。


e発明塾「課題解決思考(1)」のワークシートに、しっかり記入してきて下さい。



さて、今日は少し、過去を振り返ってみましょう。


以前、京都で集まって開催していたときは、休憩時間、終了後、あるいは、帰路や開始前の個別面談で、いろいろな話をすることが出来ましたが、現状は、討議「しか」行うことができない環境のため、Blogでいろいろなことを伝えていきたいと思います。もちろん、たまには忘年会などで、いろいろな話ができればと考えますが・・・。


第316回/@東京忘年会報告~「健全な自己否定」が発明を生む

@京都へ~2015年を振り返って

初期のメンバーは度々話を聞いていると思いますが、発明塾の運営にあたり、僕が一つのモデルとしているのは、僕が高校時代に学び、また、大学時代に英語を教えていた、とある学習塾です。


✔ 教材、テストなど、必要なものは、すべて自身で開発

✔ 卒業生が教える
✔ OBOGが、毎週遊びに来る

・・・という、ちょっと変わった塾です。上記にないことも含め、發明塾の


「原点」


になることを、いくつか取り上げておきましょう。



Amazon.co.jp のサイトへ移動します)
「まともなことを言い続けると、最終的に仲間は残る」
たしかに、経験上そんな気がします。
一般化は、できませんが。


● 先行例を徹底研究した上で、教材/ツールを「ゼロベース」で開発


当時僕は、自身で教材を開発するにあたり


「出版されている、良いと言われる教材を片っ端から入手」


し、徹底的に研究しました。*

(予備校時代のテキストも、随分役に立ちました)

今の


「徹底的に先行例を調査しましょう」


という発明塾のスタンスは、僕の


「仕事に対する姿勢」


そのものであることを、理解してもらえればと思います。


つまり、発明塾で教えているのは、発明でも投資でもなく


「仕事とは?」


ということなのです。


これは、先日の京都の忘年会でも、OBの一人が


「楠浦さんが仰っていたことが、なんとなくわかってきました」


と言っていたことからも、わかると思います。


また、講義後に「講義の振り返り」を行い、それを踏まえ教材をすぐに改良し、翌年再度見直した上で、利用していました。発明塾で重視する


「振り返り」(Reflection)


の習慣も、ここで養われたものです。



● 「添削」指導


科目にもよりますが、多くの講師が、添削指導を重視していました。


英語のような、


「答えが一つではない」


ことを教える上で、


「添削」


は、非常に有効なツールだと、僕は感じていました。


「回答例」


は、一つの例にしか過ぎないからです。


ジェフ・ベゾスからの手紙(Amazon の IR 資料)


で取り上げたように、極論すると、解釈次第でどのようにでも訳せてしまう部分があります。


「添削」


という形で、各自の思考に沿って、妥当な答えにたどり着いてもらえるように、修正していく。


添削と言うよりは


「対話」


に近いイメージを、僕は持っていました。


そして、


「問い」


で、ある程度の道筋をつけてあげる。これは、


「設問」(出題段階)

「添削」(回答への対応)

両方の段階で、用いていました。



よく考えると、この2つは、今の発明塾のスタイルそのものであり、中核をなす考え方/手法ですね。



「発明を”育成”する、育てる」


のは、数多くの英文和訳/和文英訳の添削指導で身に染み付いた考え方が、自然に表れているだけ、だったようです。



このように


「なぜ発明塾は、今、このように運営されているのか」


原点や歴史を知ってもらう機会は、今後も設けたいと思います。



【宿題】

以下の商品を、リバってきてください(「リバる」演習)。討議冒頭で、取り上げたいと思います。

「折りたたみ電動スクーター」
売れない時代に、UPQのバイクが好調な理由 を参照



* 弊社のe発明塾も、「横のものを縦にする」ような作り方ではなく、ゼロから僕自身が考え、作り込んでいるのは、同じポリシーによるものだからです。


2017年1月9日月曜日

「ギリギリの判断」を積み重ね、「合理的な意思決定」を~自身の歩幅で一歩づつ(発明塾第357回、第358回/投資部第12回)

年始第一週から、2回の討議、おつかれさまでした。

年末年始に

課題解決思考(1)

で、

「しっかり考え抜いた」

んだろうなということを、感じさせる議論がちらほらありました。

「実戦で結果を出しながら、必要な知識を身に付け、また、その知識を使いこなす”技量”を向上させていく」

のが、発明塾の

「原理原則」

です。

野中郁次郎氏は、「形式知と暗黙知」と仰っていますし、コマツ時代の上司の1人は、「知識と知恵」と仰っていましたが、同じことです。

「自ら学び、結果を出し、他者の評価を受ける」(”大谷メモ”より)*1

を原理原則に、進めて下さい。


さて、発明討議の方では、

「エッジ情報検索」

特に

「仮説検索」

の能力が問われたと思います。

結局のところ、いつも行っていることの繰り返しで、耳タコだと思いますが

「調べられなければ、いいアイデアは出ない」
(そもそも、いいアイデアかどうか判断すらできない)

ということです。

「技術の用途探索」

において、重要な問題は

「課題の存在の証明」

です。”発明方程式”を念頭に、”検索戦略”をよく考えましょう。


投資部の方では、年末年始に皆さんで討議した、今後の方針に従って進めてもらう上で、注意点を幾つか話しました。

重要なことは、各自が、

「ギリギリの判断」

を積み重ね

「合理的な意思決定」



「冷徹に」

下して欲しい、ということです。ギリギリの判断を行おうとする際、自身の

「心理的バイアス」

が明らかになります。これが重要だと思っています。


「もっと大きな投資収益が得られる機会が、あるかもしれない」
(”機会損失”という言葉を、覚えておきましょう)

「損失が出たら、どうしよう」
(収益機会には、通常、同等程度の損失機会がついて回ります)
(人間は、収益より損失を大きく評価するバイアスを持っていることも、覚えておきましょう)

「みんな、自分と同じように考えているから大丈夫」
(多分それは、ベンチマークに対比での”損失”にしかつながりません)


発明において

「なぜ、今まで誰もそれに取り組んでいないのか」

を討議することをもっとも重んじていますが、投資においても、全く同じ問い、すなわち

「なぜ、まだ誰もそこに投資していないのか」

という KSQ(Key Success Question:発明塾造語/弊社登録商標) に答えを出すことが、最初の重要な関門になります。

市場平均/銀行貸出金利などの”ベンチマーク(機会コスト/資本コストなどを含む)”を上回る超過投資収益の源泉は、そこにしかないからです。
(ベンチマークで良ければ、特に議論をする必要はありません)


(クリックでHPへ)
愛読誌の一つです。
今回は、「ネジ」の話、あと、「メゾスケールの材料設計」の話が
個人的に面白かったです。
いずれも、僕の専門(機械工学/材料/ナノテクノロジー)とも
とても関係が深い分野ですし。


実は、”発明”においてもっとも重要なことは、

「”いわゆる”創造性に関わる知識やスキル」
(アイデアをたくさん思いつくとか、物事を幅広くよく知っているとか・・・)

ではなく

「意思決定能力」

だと思っています。発明塾開始当初、小塚さん(彼は、幸運にも第一期生ですから、すべての歴史を知っています)が度々

「なんでここに、楠浦さんがあれほどこだわって時間を使うのかが、不思議」

というコメントを、度々残していますが、それは、そういうことです。発明討議において、

「厳しい時間制約」

の中、確実に、”求められる”発明を生み出すため

「意思決定」

を行っているわけです。これが行えず、

「入り口でウロウロする」
(僕は、コップの縁を舐めて終わる、とか、入り口を舐めて終わり、などという表現をしますが、同じことです)

人、つまり、

「”決断しないという決断”を行っている」

人を、”ダブラー”と呼ぶのでしたね。残念ながら、発明塾で結果が出ない人の多くは、このパターンです。これも、個人差が大きな”心理的バイアス”の一つです。

「ギリギリの判断」

を積み重ね、討議を振り返り(そのための”ログ”ですよね)、上手くいった原因を探り、再現可能にし・・・という、地道な積み重ねの上に、今の発明塾の手法があります。ただしそれは、

「形式知」

部分の話です。

「暗黙知」

部分を、各自が涵養しなければ、形式知は活かせません。


取り上げた「医療廃棄物」処理関連の企業について、僕は

「数字が、ガイダンスに届かなかった理由は何なの?」

と、アタリマエのことを聞きました。もちろん、本当の理由など、分かるはずもありません。

これは、特許情報(特許公報を含む)について

「嘘ばっかり書いてあるから、読んでも仕方がない」

と言われることがあるのと、全く同じです。発明塾で、特許情報を

「参考にしながら」

発明を創出しているという話をすると、必ず上記の質問(批判?)が出ます。

似たような話は、「特許情報は1.5年前の情報ですよね」質問/批判でもあります。

僕や、発明塾生の大半は、それで発明が出せるので、いちいち真面目に答える気がしないのですが・・・気が向けば、お答えすることにしています。*2

答えの切り口は、色々あります。下記もその一つです。


重要なことは、

「入手可能な情報から、ギリギリの判断を積み重ね、合理的な意思決定をすること」

です。

「入手不可能な情報について議論する」
(手に入ればいいのにな、的な”妄想””願望”)

「入手可能な情報の一部が無意味である可能性が高いことを根拠に、すべて切り捨てる」
(典型的な、”ゼロか1か”思考)

いずれも、

「合理的な意思決定」

には、向きません。


常に

「ギリギリ」
(”限界的練習”の話をしましたよね)

まで考えることです。


何がギリギリかって?

それは、

「あなたの能力」

次第で、僕にはわかりません。確実に言えることは

「僕の歩幅と、あなたの歩幅は、異なる可能性が極めて高い」

ということです。

常に、

「自分のギリギリを試す」

ことです。そして、僕の歩幅のほうが大きかった場合、あなたはラッキーです。後々、自分の歩幅が僕の歩幅に近づいてきた時に、参考になるからです。

「自分の最大限の歩幅」

にチャレンジして下さい。しかし、

「自分の歩幅」

を見失うことがないように、歩んで下さい。


次回もよろしく。



*1 ”大谷メモ”が欲しい塾生さんは、楠浦まで。企業内発明塾の方も、ご相談ください。
*2 ちなみに、「永久に」特許情報が、発明に有効だとも思っていません。おそらく、近い将来「特許情報をもとにした発明創出」が、完全に「常識」化し使いこなされる日が来るのですが、そのときには、特許情報は「発明の道具として、機能しなくなる」ことになります。常識からは、「超過収益」は得られないからです。

2017年1月1日日曜日

「挑戦」に、「敗者」は存在しない~「創造」すること、「決める」こと、そして「ブレない」こと

年末年始を含めた「節目節目」に、皆さんに改めて意識してほしいことは、常に、以下にまとめています。

「新社会人へ」贈る言葉~塾長の部屋(63)

僕も、一つ一つ時間ある限り読み返し、たまに(?)改訂したりします。

最近は、年始だからといって特別何かメッセージを記しているわけではありませんが、2014年は、以下のようなことを書いていました。

塾長の部屋(59)~「”完全なる経営”で、マズローが試みたこと」

最近は毎日ではなくなりましたが、やはり、相変わらず、かなりの頻度で開く本の一つです。


環境が大きく変わって初めての年末年始ということで、本棚の整理や、本の追加(要するに購入)を行いつつ、改めて読み直した本にもとづき、いくつかメッセージを記しておきます。

新たに参加したメンバーは、これをきっかけに、過去Blogや、楠浦が塾内で公開している「本棚」の本を読み進めてみてください。また、皆さんに問題提起している、「投資部」の進め方についても、考えてみてください。

京都大学等の講義で度々紹介している、「DeepSprings College」(今年で100周年のようです、我々も、目指したいですね)や、ビルゲイツの「”本当に大切なことに資源が割かれていない”講演」についても、この機会に、理解を深めてほしいと思っています。

また、我々は引き続き、以下のことに(会社として)注力しています。発明塾とは別の組織ですが、僕が中心になっている2つの活動を、切り離すことはできません。

①もっと「知と頭脳を武器にする」ためにはどうすればいいか。それを企業の競争力に結びつける「科学」を確立し、提供できないか。
②もっと人々をクリエイティブにし、「武器になる知」を生み出せるようにするには、どうすればいいか。
③もっと人々が学べるように出来ないか、そのための環境、方法はどうあるべきか。それを環境として提供出来ないか。
④もっと創造的(クリエイティブ)なリーダーを増やし、より良い社会を創ることは出来ないか。
塾長の部屋(47)~「仕事の哲学」 より)

①と②は、歴代の塾生さんの協力を得て、大きな成果が出ていることを確認しています。今後は、③と④が問われるでしょう。


では、行きましょう。主に、

「Authentic Leadership」(ビル・ジョージ Medtronic 元 CEO)
(生産性出版, 第一刷/2004年)

から、いくつかの「言葉」を取り上げます。


Amazon.co.jp のページへ移動します)


● 本物を目指す(Authentic)

「本物を目指せ、そして、自らに正直であれ」

というメッセージが、P16 前後に言葉を変え、記されています。

発明塾でもよく言うのですが、

「強みと弱みは、あなたの個性の、裏表に過ぎない」

のです。個性を殺さず、強みを生かし、弱みを克服するには、

「自らに正直であり、また、自らに向き合う」

しかありません。小手先のテクニックや、取って付けたような「ハウツー」では通用しません。本物を目指す、とは、そういうことだと、僕は理解しています。


● 逃げずに「挑戦」する(Challenge)

イサカは存在しない。ただ、イサカへの旅路があるのみ」(ニコス・カザンザキス

と、P38にあります。カザンザキスの代表作の一つ「キリスト最後の試み」は、「挑戦」が一つのテーマになっていると、僕は理解しています。キリスト教の歴史についてある程度知識がないと、やや読みづらいですが、前書きだけでも、読む価値はあります。冬休みにぜひ読んでほしい本の一つです。

先の「本物」も、挑戦すべきことの一つですが、本書では例えば、前書きを書いているウォーレン・ベニスの著書の内容を引用しつつ

「人間としての深い意味を試され、さらにのちの人生で成功に導いてくれた”試練”」(P38)

と記されています。また、

「本格的にテストしてくれる挑戦的な機会を避ける」(P40)
「自分の本当の姿を鏡に映してみる暇が持てない」(P41)

というような状態に陥らないように、とも書かれています。僕はよく、「Detail」にこだわりなさい、と言いますが、本書では、若手くしてリーダーたらんと意気込む人に潜む

「自らの手を汚さない」(P41)

ようなメンタリティーが、どのような災いをもたらすかについて、言及しています。


● 「価値観」を明確にし、行動で示す(Integrity)

「あなたの情熱に火をつける目的を発見したら、次にあなたの価値観を人生で経験する試練の中でしっかりとテストすることが求められる」(P54)

とあります。「挑戦」することによってのみ、得られるものがある、と僕がよく言うのは、そういうことです。人生の様々な試練の中で「試す」ことによってしか、明らかにならないものが、いくつかあります。「価値観」も、その一つでしょう。

「あなたの価値観を曲げるように求めるプレッシャーにいかに対応し・・・間に生じる潜在的な対立にどのように対応すべきかを学ぶことができる」(P54)

僕が、「挑戦」によって、より「豊かに」なると感じているものに、「人との縁」があります。本書にも似たようなことが書かれていますが、「共通の試練をくぐった仲間」にとどまらず、

「似たような試練を経験した人との出会い」

と、その際の「共感」が、様々な「縁」につながると感じます。似たような試練を乗り越えた人は、似たような価値観を持っているのでしょうか。何が先で何が後か、わかりませんが、よい「縁」は、「試練」「挑戦」と裏表である気がしています。そういう意味で、

「挑戦に、敗者は存在しない」(*)

と、僕は感じています。挑戦した分だけ、後の人生において必要なものが、必ず得られます。

* これは、ヘミングウェイの言葉をもじったものです。興味ある人は、原典を探してみてください。


● 「規律」(Descipline)、仲間、そして「語る」こと(Story)

これについては、「7つの習慣」について語る機会に、ゆずるべきかもしれません。行動を

「一貫性と自己規律に貫かれた」(P60)

ものにするために、

「つねに自らをピークに置く」(P60)
「つねに頭脳をシャープに保ち、身体をトップシェイプに保つ方法を実践する」(P60)

ことが求められます。僕が、(原則として、皆様にご迷惑がかからない範囲で)平日は飲酒せず、また、毎日なにがしかの筋トレを欠かさないことは、すでに述べた通りです。

「自分に自己規律をもたらす、一貫した習慣」(P61)

を持ってください。これも「挑戦」の一つです。

また、上で述べた、「挑戦」の一つの果実である

「何らか本当に重要で、意味を伴うものを作り出す人たちのグループ」(P63)

について、発明塾では度々、「良い仲間と良い議論」というフレーズで、確認しています。この点について、少し脱線して、別の本に頼りましょう。大先輩でもある西堀栄三郎氏の「創造力」(講談社,第一刷/1990)には、「これからの組織運営」(1990年から見て、になります)について

「”自分からやっている”という自由主義の下に、”みんなで寄って共同の目的を果たそう”」
(P172/「四章 どうしたら人は活かせるか」)

というチームワークの概念で捉えることになる、と記されています。発明塾では、個人の目的と組織の目的を、「一列に並べる」(同一にする、ではない)という意味で、「惑星直列」という言葉を、良く用いていますね。

最後に、これも僕が重視する「ストーリー(語ること)」について、述べておきましょう。ビル・ジョージは、株式市場からの重圧という、「価値観を曲げることを求めるプレッシャー」に対して

「あなたの企業について、あなた側の物語りを語ることが大切なのだ」(P221)
「あなたのメッセージを伝え続けることが重要なのだ」(P221)

と述べています。僕も経験がありますが、企業として追求すべきことについて、利害関係者(ステークスホルダー)、特に、株主/投資家と合意できる範囲は、多くの場合、短期的には極めて限定的になります。しかし、ここで「試練を通じて価値観を明らかにする」ことが、あなたの人生、および、あなたのチームがより発展するために、重要であると憶えておきましょう。

たまに、「起業しました」と報告を頂く、過去の講義受講生の方などの話を聞くと、「ほんとにそんなことやりたかったの?」という感想を抱くことがあります。「自分を見失わず」、また、

「本来の自分や、自分が正しいと信じることに反することをしない」
(P174「ハーバードからの贈り物」デイジー・ウェルドマン, ランダムハウス講談社, 第一刷/2004年)

ことを、心掛けてください。もちろん、多くの塾生さんはまだ、「自らを創り上げていく途中」にあることも意識しておく必要があります。あまり「狭く」考えすぎないようにするために、「適切な」経験を豊富に積んだ「よき相談相手」に相談することも、大切でしょう。塾に僕がいる理由、そして、OBOGを交えた議論を始めた理由の一つです。「共通言語」と「良い議論」ですね。


● 「音楽」から学んだこと~僕の「固有性」

最後の最後に、発明塾の原点を、いくつか確認しておきましょう。京都市伏見区にあった、少し不思議な塾で学んだことが、その一つであることは既に度々取り上げています。また、川崎重工での「設計者」としての経験も、その一つです。

別に川崎重工を「推す」わけではありませんが、Kawasakiでもう一つ得たものの一つに、「音楽」を通じた様々な気づきがあります。もともと、上記「塾」で、英語の授業の一部に「音楽」があったこと、自らが教える際も、積極的に取り入れていたことからはじまっていますが、Kawasakiでは、Jazzを通じて

「良き仲間」

に数多く巡り会い、また、皆様の前で(奉仕活動の一環として)演奏する立場に立たせていただき、貴重な気づきを数多く得ました。

「その場、そのパートにおいて、自分がリーダーである」

ことも、その一つです。発明塾の討議における「確信犯」とも、つながりがあります。「今、この部分は、自分が引っ張らなければならないのでは」と感じた時、すでにあなたはリーダーなのです。

「個性を生かす」

という、ありふれた言葉も、それを実践し、駆使する必要に駆られたからこそ、身に染みつきました。「同じ音」ではない何か(*)、あるいは、「補完する音」を追求しなければならないからです。しかも「即興」で。この、

「即興(Improvisation)的、かつ、補完(Complement)的な、リーダーシップ」

を学ぶことは、特にある種の音楽において、重要な気がしています。音楽教育の、1つの目標になりえるでしょう。もちろん、当面、発明塾で「音楽」を教えるつもりはありません。

現在は、楽器も持たず、趣味としては完全に中断していますが、いつか「教育」という視点で取り組みたい分野の一つが、音楽です。「完全習得学習」など、本質的なことをクリヤしないと取り組めない分野だからです。

* ここには、スティングがよく言う「静寂」も含まれます。「弾かない」ことが、「音楽を豊かにする」ことを学んだことは、現在の発明塾の運営に、とても役立っています。「議論のための議論」を僕が嫌うのは、「音楽は、静寂で成り立っている」という、実体験にもとづく気付きによるところが大きいと思っています。結果を出すために、何をすべきか、ということです。「音を出せばよい」だけではないのです。「沈黙が議論を豊かにする」ことがあると、僕は確信しています。


● 終わりに

2016年に本格稼働した「投資部」。ここで学んでほしいことの一つは、おそらく「決めること」「ブレないこと」「間違っていると気づいたら、すぐに修正すること(決めること)」だと思います。リーダーシップとは、そういうことではないでしょうか。間違いを恐れずに必要なリスクを取り、必要な時に素早く決め、エゴを捨てて結果を受け入れ、必要な修正を素早く行う、これの繰り返しです。

失敗を恐れる人に、僕が言えることが、少なくとも2つあります。1つは、川崎重工で一生を終えようと思っていた僕が、期せずしていくつかの仕事を経験することになって気づいた、

「ゼロからやり直すことの、意外な楽しさ」

そして2つめは、Me and Bobby McGee にある

「Freedom is just another word for nothing left to loose」
(自由とは、失うものが何もないってこと)

です。僕はこのフレーズを、

「失うものが何もなくなったってことは、自由を得たってことなんだよ」

と、ある回の塾(京都市伏見の学習塾の方です)での授業で、訳しました。

今でも、僕は、そう訳すと思います。


楠浦 拝


2016年12月28日水曜日

冬期アイデアコンテスト「”枯れた but コア技術”を生かした新事業/新製品のアイデアを生み出す」~第356回

今回は、いつもと違い、日曜日の夜の討議になりました。

皆さんお疲れさまでした。


当面の「発明塾」の討議は、題記アイデアコンテストを対象に進めます。


動向が気になるOBOGもいるでしょうから、可能な範囲で紹介しておくと、テーマは

「ある、既存製品について、そこで用いられている技術を正しく定義」

した上で、

「その技術を生かした、新たな事業/製品のアイデアを生み出す」

ということになります。
(ある企業様からの依頼です)


第一回(今回)の討議は、主に、

「技術を正しく定義」

するところに、(僕としては)注力しました。

結果として、

「エッジ」

のあるアイデア、情報がいくつか見つかりました。


「コア技術」
「強み」

を、どう定義するか、しっかり理解できましたか?

各自、討議ログを振り返り、

「どのように技術が定義されたか」
「なぜそのように定義されたのか」
「そこから、どのようにアイデアや情報が見つかったのか」



「自分で再現可能なように」
(偶然の必然化)

ドキュメントにまとめておきましょう。

「1回見たら、覚える」

ことが重要です。

「同じモノは、2度と見れない」

からです。


(Youtube より)
Dali が 「アナロジー」をどのように用いているか、
いわば「頭の中」がわかる、貴重な作品です。
見てわかる通り、「Disney」の作品です。


僕が何気なく出した情報、言ったこと、すべてメモされているはずです。
(あるいは、メモする必要があることがわかります。)


そのようにして、発明塾は成り立っています。

メモする人が、一番学べるからです。


「枯れた技術」

でも、

「捉え方」
(発明塾は、ここが上手いんだろうと思っています)

次第で、

「いくらでも新しい用途がみつかるだろう」

ことが、今回の討議からだけでも、わかったのではないでしょうか。


つまり、

「最初が重要」

です。


しっかり振り返り、また、年末年始に、アイデア/エッジ情報を探して、次回討議に臨んでください。


小塚さん(塾長代行)、安富さん(投資部)、次回討議いつでしたっけ?


楠浦 拝

2016年12月23日金曜日

「ルービックキューブ」「実践が7割のダナハー式」~@京都忘年会/九州大学訪問など

トピックを幾つか。

●@京都忘年会

@京都忘年会出席の皆さん、お疲れ様でした。

出張移動の途中、短時間になりましたが、特にOB/OGの皆さんが元気に、そして活躍している様子を伺うことができました。

「原理原則」

を忘れず、各自の目標に向かって、日々精進して下さい。


色んな話をしましたが、

「ルービック・キューブ」

の話が、印象に残ったようですね。


僕は苦手なので、時々そういう気持ちになるのですが

「1マスだけ、揃ってない」

という状態になると、

「なんとか、そのまま、大きく動かさずに、揃えられないかな」

と考えてしまいます。

しかし、この誘惑は、

「罠」

です。


「1マス揃わない」

理由に遡ると、

「ゼロからやり直し」

になることが、往々にしてあります。


「原理原則」

を徹底することです。


惜しげもなく、突き崩し、最適なものにする

ことを、妥協なく、行って下さい。



●九州大学訪問

「発明塾」紹介の機会をいただきました。最近、大学からの問い合わせも増えてきたように感じます。



Leadership, Growth, Lean だそうです。


消耗品ビジネスと言う視点だけでなく、

「人材育成」

の視点でも注目している

「ダナハー」

の資料を見ると、

「人材育成は、実践が7割、トレーニングは3割」

ということだそうです。

我々も、どんどん変わらないといけないな、と感じます。


当日の資料より


九州大学訪問は、

「ご縁」

によるものです。


京都大学でのご縁、タイヤメーカーにおられたということで「ソフトマター」「レオロジー」などを研究しておられたというご縁、・・・など様々なご縁の積み重ねです。
(前職における「ナノインプリント」の研究は、ほぼ、「高分子」の研究に明け暮れました。専門は機械工学ですが・・・「成果を出すためには、なんでもやる」以外の選択肢はありません。人を雇う時間もなく、専門書を読み漁り、専門家に教えを請う、の繰り返しでした。)

ちなみに、当時ご紹介いただいた先生には、その後、全く別の場/別の形でお世話になりました。
(教え子にあたる方々が、共同研究先におられたり、学会でお世話になったり・・・)

「色々なものが、繋がっている」

と感じました。


皆さんには、特に、

「仕事で成果を追求する中で、出来た縁」

を大切にしてほしいな、と思っています。


楠浦 拝