「発明塾®」へようこそ!: 発明塾@京都 第3回報告

2010年8月20日金曜日

発明塾@京都 第3回報告

毎日暑いですね。今回で京都開催第3回目となった20日も非常に暑かったです。
キャンパスプラザ京都はなかなか設備がよく(ホワイトボードが広い)進めやすかったですね。

さて、今回は学生さん8名を含む10名が参加されました。ほとんどの方が2回目以上ということで、早速各自のアイデアの討議に入りました。

いつも言っていることですが、いきなり解決策を出すのではなく、まずはそのテーマの内容を理解する、既存の技術がどうなっていることからはじめました。結構調べて、踏み込んだ分析をしている学生さんもおられました。

次は、どの課題に注目するか、ということを決め、アイデア出し、その参考になる異分野情報の収集、がポイントです。

注目する課題のKW(キーワード)にして検索をかけ、IPC(技術分類)分析すれば思いもよらない分野とのつながりを発見できる、ということがわかりましたね。

たとえば、「ろ過」という技術がインクジェットプリンタと、どう関係があるのか。

そういうことを調べていくことで、自分にない「引き出し」「切り口」を、他の発明から借りてくることが出来ます。

次回までに、このような方法で、各自のテーマについて作業を進めておいてください。整理しておくと、以下のようになります。

見出しは、私にそう質問される、と思っておいてください。ソクラテスメソッドですね。

①「そのテーマ、具体的にどんなテーマ?なにがどうなん?」
・まずそのテーマ自体を理解する。WikiやGoogle(画像)検索、Youtube、TEDなどで勉強する。
・今その分野は、何が問題か、どうHOTなのか。取り組むことにどういう意味(社会的意義)があるのか。

せっかく頭を使うのですから、世の中に大きく貢献できる可能性があることを、やりたいですよね。時間は貴重なのです。


②「今、どんな感じになってんの?どこがどんなことやってんの?何が問題、課題?」
・既存の取り組みを把握する。
・できれば、特許検索(Astamuseやかんたん特許検索でOK)で把握する。特許には、実現されていないアイデアが多数埋れている。

注意点は、IPDLは使いづらいのでできれば使わないこと、です(IPDLを知らない人は無視してください)。理由は、「単にデータ(検索結果)が羅列されるから」です。Astamuseやかんたん特許検索は、検索エンジンがGoogleのような「知能」を持っており、検索したい(とエンジンが判断したもの)をランキング表示します。インターネットとGoogleが当たり前のように日常生活に存在している皆さん(学生さん)にとっては、こちらのほうが使いやすいはずです。
残念ながら、日本の特許庁のページには、このようなシステムはありません。

ここで注意すべきは、それらの技術や取り組みが「どの様な課題の解決」を目指しているのかをつかんでおくことです。この段階で、自分が取り組みたい課題のイメージを持っておきましょう。
たとえば、「空気清浄」がテーマの場合に、「VOCの除去」なのか「ウイルスの除去」なのか、というようなレベルのことです。空気清浄、という漠然としたことを考えるより、遥かに考えやすくなります。


③「皆ちょっと考えてみよか!何でもいいから言うてみて。何でもええで。3回批判したら退場な!^^」
「皆この分野とか近い分野について、特許調べてくれる?こんなのあります!とか。こういうのはどうでしょう、とか。」
・この段階で、出来れば一度アイデアを多数出す。

すでにあるものでもいいので、とにかく思いつく(調べられる)限りのいろいろなアイデアを、とにかくだしまくる。この段階では、自己否定せずとにかく思いついたら全部書き出すことが重要です。

友達と討議するなら、くれぐれも、否定的な友人とディスカッションしないように、ちょっとお調子者?の友人と討議するようにしましょう^^

ブレインストーミングの鉄則は「とにかく量を出す」「批判厳禁」「結合歓迎」「相乗り歓迎」です。
「クルマ!」それなら「自転車も」、いやいや「歩行者でも使える」、とか、連鎖的にアイデアを出す「癖」を付けてください。整理はあとでいいのです。とにかくアイデアを出しまくれ!

プライドを捨て、恥を恐れなければ、アイデアなどいくらでも出ます。

くれぐれも「そんなのつまらん」「それはすでにある」「そんなの馬鹿げている」「そんなの今の技術じゃ無理」「恥ずかしい」「難しそう」とか考えないように。


④「ちょっと整理してみ。分類して、構造化して。」
・これまでに得られた情報とアイデアを「構造化」する。

これ、今回やりましたね。

興味がある人は、「問題解決の全体観(中川邦夫)」という本を読んでみれば、世間で使われている手法が分かります。構造化、はパソコンには出来ないので、人間の出番です。「概念化」と言ってもいいでしょう。

実はここが発想のポイントで、これは訓練で身につける「技能」なのです。ひたすら訓練あるのみ。


⑤「切り口出そか。今どんな切り口があって、他にどんなんがありそう?皆どう思う?」
・「構造化」された情報=ツリーを見て、新たな解決手段(これがアイデア)を考える。

まずは自分が取り組む切り口を決めましょう。そもそも構造化する、ということは、切り口でまとめるということなのです。

・もしくは新しい切り口を考えてもいいでしょう。

新しい切り口は、既存の切り口に法則性を見出したり、さらに上位の概念にまとめて、そこから導き出したりして見出します。

「熱」「光」ときたら・・・「電気的手法では?」とか「磁気はどう?」とかそんな感じです。
「物理」「化学」・・・・「生物」ですよね。(歴史!とかも、斬新でいいですが^^)


⑥「その切り口でもっかい皆で考えよか。なんか適当な言葉で特許も調べてみ、ヒントになるで。」
・その切り口に沿って、再度アイデアを出す、もしくは異分野を調べる。
・すでにあるアイデアをブラッシュアップしてみてもよい。

・いくつかアイデアが出たら、休憩がてら、そのアイデアが既にどこかで誰かが考えていないか調べてみる。


実はここからが勝負で、必ず近いものや似たようなもの、違う分野でやっている、などの情報が見つかります。その情報と、自分のアイデアの何が違うのか、を突き詰めて考えることで、「本当に自分が考えていたのはなんだったのか、自分のアイデアの本質は何か」が明らかになります。
これが客観的に見た、「あなたの発明の本質」です。

違いがわかれば、さらに調べ、本当に他にやっている人がいなければ、それが実現可能か、実現可能ならどんな要素技術を使うのか、メリットは何か、メリットが生かせそうなフィールドは本当はどこなのか(ここで、全く違う発明になることが往々にしてあります)、など詳細を詰めていきます。

ほかにも、テクニックとして、
・似たようなアイデアがあるが実現されていないとき、「なんで実現されていないのか」考える。
>ここが、発明の本質になる可能性がある。
・トレードオフ(矛盾)を見つけ出したら、それをもっと高い次元で両立させるアイデアを考えてみる。
>これは、Trizの手法を拝借する。
があります。これも、今回簡単に説明しましたね。

こうして、アイデアを考え、その実現に課題があればさらにその課題について情報を集め、アイデアを出し・・・を繰り返せば、いつか収束します。


その辺は、また別途。