2014年7月27日日曜日

塾長の部屋(69)~「組織が個人を成長させ、個人が組織を成長させる」

僕がコミットしている2つの組織、弊社TechnoProducerと、発明塾は、僕自身の「ある」ポリシーに沿って、運営されています。

それは、

「組織の成長なくして個人の成長なく、個人の成長なくして組織の成長は無い」

という、極めてシンプルかつ当たり前のことです。アルバイトの学生さんも含めると、常時20名を超える組織となった弊社も、当初は常勤の社員数名で始まりました。

発明塾も、最初は例の「起業と事業創造」に出てくれた学生さん数名から、始まっています。


いずれも、新たなメンバーが加わるごとに、メンバーひとりひとりも成長し、その結果、組織として成長してきました。


弊社では原則、「ペア」を組ませて、仕事を進めることにしています。僕の経験上、1人でも3人でもなく、「ペア」が最も効率よく、かつ、本人たちの中長期的な成長を促します。
ほとんどの人は、「なにかと比べ」ないと、自分のやり方の何が悪いのか、自分に何が足りないのか、自分がなぜ失敗するのか、気づくことが出来ません。

「相手の視点を盗む」

ことで、客観的な視点を身に付け、また特に「相補的な視点」を、身に付けることが出来ます。

以前紹介した、「Critical & Optimistic」も、相補的な視点です。


発明塾でも同じです。意図的にペアは組ませていませんが、各自に「こういう人と議論するように」とあらかじめ指示しておく他、合宿等でのGr分けを、「本人達が成長でき、かつ、議論が創造的になる」ように、設定しています。


ご存じ、チクセントミハイの「フロー」。
原書のタイトルには、
「How to Achieve Happiness」とある。
Achieve なんですね。


マズローの言う通り、

「一人で、暗い洞窟に籠って、自己実現を達成できた」

人はいないのです。適切な対話、創造的な議論が出来る仲間との対話を通じて、長い成長過程の末に、自己実現に達するのです。

「良き仲間に恵まれること」

実は、これが「組織」の最も重要な目的だと、僕は考えています。僕が繰り返し引用している、

「知識創造企業」(野中)

に書かれていることも、結局これに尽きます。


大学での講義も含め、仕事柄、僭越ながら前に立って、何かを学んでいただく場を主導することが多いのですが、僕が心がけるのは常に、

「創造的な議論、対話」

です。そういう対話が出来るような「問い」を立てることから、教材作り、指導案作り(注)は始まります。それは「教室」もまた一つの組織として、「学習共同体」として、運営していく必要があるからです。良い仲間に恵まれることで、よい学びが達成されます。


複数の人間が集まって何かをする。それは、

「創造的対話を通じて、互いに成長し、その結果”場”が発展する」

ためだと、僕は考えています。教室であれ、企業であれ、同じです。


今後も発明塾は、

「創造的な議論が出来る人材の輩出」

を通じて、それぞれの組織と社会を発展させることを、目指します。



※ 注) 弊社の知的財産、発明に関するセミナーは、すべて「指導案から独自に」作成しています。また、全てのセミナー講師に「指導案作成」を、義務付けています。



2014年7月26日土曜日

発明塾京都第190回開催報告~効率よくアイデアを出し、粘り強く拾う

今回も、遠隔含め、いつものメンバーで討議を行いました。
試験期間でもあり、急に暑くなる時期ですので、体調管理にはくれぐれも気を付けてください。


大学院入試組は、あと1週間ぐらいかな?

自分の能力とこれまでの努力を信じて、強い気持ちで臨んでください。

健闘を祈ります。


さて、今回の討議では、前回ざっとアイデアを「広げた」ものを、事前に整理してもらっていましたので、それをもとに「観点」の抽出を行いました。

以前に比べて、非常に議論の効率が良くなり、出てきたアイデアの筋が良くなっているなと思っていましたが、皆も同じ印象のようです。

なぜなのか、という議論もしましたね。


一つは、「最初から幅広いアイデアが出せている」ことのようです。妙なこだわりを持たず、初期のアイデア出しに必要な「広がり」を持たせることに徹することができた、のが大きいようです。この辺は、いい意味で「自分が捨てられるか」が問われます。

自分「だけ」の面白さにこだわると、広がらなくなってしまいます。


もう一つは、「言い換え」が上手くなった気がします。概念から概念へ、抽象度の高い所で上手く広げたり、ずらしたりできるようになっています。競合を上手く定義する、など、テクニック論もありますが、抽象的な思考能力も上がっているようです。



「観察者は、行為者の動作を内面化(internalization)する
ことによって、その動作の中に内在化(indwelling)する」
P57(第Ⅱ章 創発)


それに加えて、ここはいつも通りですが、僕が粘り強く拾い続けることで、より「エッジ」なアイデアのみに集中して、議論ができました。


今年も合宿を行いますが、下手すると、合宿でだいたい結論が出そうですね。いつもは、「合宿でアイデアを広げよう!」だったので、随分と短縮されています。

その時間的余裕で、もっとぶっ飛んだ、クオリティの高い発明を出しましょう!


ではでは、次回もよろしく。


2014年7月19日土曜日

発明塾京都第189回開催報告~「今年の夏休みも、発明コンテストです!」

第189回は、夏休みに開催する「発明コンテスト」の、公募説明会となりました。

企業の担当者の方にお越し頂き、直接お話を伺いました。
今回は「用途発明」の募集でしたので、

「そもそも今回の技術は、どのような技術か」
「すでに、どのような用途があるのか」
「この技術ならではのポイントは何か」

などについて、活発に質疑応答が行われました。


その後の議論で、既にいくつか面白い視点が出ており、テスト期間を挟んで、夏休み開始から本格的に議論を行います!

今年も期間中に何度か「合宿」を行い、普段とは異なる「集中的」な討議から、発明創出法にも習熟して欲しいと思っています。新規メンバーにとっては、先輩にキャッチアップする「またとないチャンス」です。

新規加入したいという学生さんも、このタイミングであれば「発明が一通り体験でき」ますので、興味ある方は、連絡ください。

発明塾入塾「お問い合わせ」ページ


ではでは、次回もよろしく。

繰り返しですが、当面は試験期間ですので、無理せず、学業優先でね。
特に、大学院入試を控えている学生さん、健闘を祈ります。



「特に愛読」する本の一つ。
P.センゲ、W.ベニス、A.マズロー、
彼らの主張の共通点は、
「組織と仕事が、個人を成長させる」
全く同感です。


2014年7月11日金曜日

発明塾京都第188回開催報告~「なぜ皆、発明が出来るようになるのか」

第188回も、無事終了しました。

今回は、大学の講義の関係で、時間がタイトで失礼しました。

前回の宿題をレビューした後、キヤノンのインクジェットプリンターに関する特許の分析を、行いました。優れた発明を「リバースエンジニアリング」することは、発明を「仕上げる」能力を培う上で、非常に重要な訓練です。

ただ、「漫然と」読んでも、何も身につきませんので、今回行ったように「サイエンス」のレベルまで深堀りし、かつそれを「権利として」事業で有効に使えるように仕上げる作業を想定し、読む必要があります。

今回用いたサイエンスの知識は、「表面エネルギー」です。

発明塾の発明に、よく出てきます。

なぜでしょうね?今回の討議で、「優れた発明に表面エネルギーがよく出てくる理由」が、明らかになったと、僕は思っています。

キーワードは、「認知バイアス」でしたね。

これも、よく出てくる言葉ですね。


さて、すでに皆さんご存知のように、今年から発明塾の卒業生が、うちの会社(TechnoProducer株式会社)で働いてくれています。

せっかくなので、彼が入社する時に、

「発明塾卒業論文として、”発明塾は何がすごいのか”、ちょっと論文にしてくれへんかな」

とお願いしてみました(注1)。


" Where there is a will, there is a way. "
大学生時代に、僕もよく受験生に贈った言葉の一つ。
普段、ベストセラー本は”全く”読まないのですが。


面白がって?快諾してくれた彼の考察結果は、

「正直、”発明塾”の何がすごいのか、塾の存在が当たり前になっていて、よくわからなくなりつつある」

僕にとって、非常に有意義なものでした。いろいろあるのですが、僕が”もっとも”本質的と感じた彼の指摘は、

「どんな課題にも、必ず発明を出せると信じていること」

です。彼曰く、

「なぜかそれを、楠浦さんが一番強く信じていて、疑わないのがすごい」
「楠浦さんが、絶対発明できるから、って言うから、皆、できるんじゃないかと思う」

みたいな感じだそうです(注3)。


最近の発明塾では、

「どうやってファシリテーターを育成するか」

を、一つの課題(注2)にしていますが、彼曰く「ファシリテーターが”自分たちの能力”を強く信じてないと、たぶん発明は出ない」だろう、とのこと。

「楠浦さんの存在意義は、もはや”発明法を教えるヒト”ではなく、”絶対発明できると信じる存在”」

という結論のようです。正しい気がします。


現在発明塾で教えている内容は、「数年前に立命館大学で教え始めたころの発明法」とは、全く異なるものになっています。立命館大学出身の塾生が、その変化に最も驚いているかもしれません(注4)。

しかも、日々進化しています。これは、発明塾の発明法が「もはや僕の発明手法」ではないことを、意味します。参加している塾生一人一人が、自分なりに手法を作り上げており、その「共通言語」として、現在の「発明塾式発明法」がある、ということです。

僕にとっては、とても理想的です。


ではでは、次回もよろしく!



※ 注1) もちろん「仕事」なので、もっとちゃんとした指示ですけど・・・。

※ 注2) もう一つは、「企業で通用するレベルの特許情報分析法を、マスターしてもらう」ことです。

※ 注3) 実際、発明塾でも、海外の発明家達とのセッションでも、「納得いくアイデアが出なかった」ことは、一度もありませんので、「発明できること」を疑う理由が、そもそもありません。

※ 注4) 現在は、発明塾で指導している手法を「簡素化」して、立命で教えています。



京都大学「起業と事業創造」(2014年度)_知財戦略_講義報告

今年も、京都大学の全学共通科目「起業と事業創造」にて、知財戦略の講義を担当しました。

講義中、2度ほど討議時間を設けたところ、想定以上に非常に熱心に討議していただきました、ありがとうございました。


さて、私が京都大学で「知財と発明」に関する講義を行うのは、年に2回。

ひとつはこの「起業と事業創造」で、もう一つは、工学部の機械系2学科対象の、「ものつくり講義」です。「ものつくり講義」は、今年は11月に担当する予定です。

それぞれ、対象とする学生さんの専攻も、年次も違いますので、全く異なる内容になっています(注)。


今回は、経済学部・法学部の学生さんが多いと、事前に聞いておりましたので、内容もそれに合わせたものにしました。


以下、トピックだけ示しておきます。



・「国家間の産業政策交渉に使われる、特許と知財」

旧電電公社の特許が、通産省主導のコンピューター産業育成政策の過程で、IBMとの交渉に使われた件は、とても有名です。

・「知財戦略の基本は、ゲーム理論でいう”協調ゲーム”になる」

知財に親しんでもらうために、経済学の基礎理論として、大半の経済学部生が学んでいる「ゲーム理論」をベースに、考えてもらうのがよいようです。

・「”排他権”が持つ意味、それによって決まる特許権の”経済学的”または”経営上の”価値」

法学部学生にとっては、他の財産権との違いを、特許が実施の「排他権」であることに注目して理解してもらうのが、よいと思っています。
また、それにより、特許権の価値が決まることを知ってもらうことで、法学的にも、経済学的にも、特許権を正しく評価するための理論が、理解できると思います。

・「特許権は”取引可能な財産権”で、その価格決定は、オプション理論で説明が可能である」

シカゴ市場で始まっている、IPXIの取り組みとその意味を、金融工学の理論を使って説明しました。ランダムウォーク仮説、ボラティリティー、オプション、など経済学部生にはなじみが深く、楽しんでもらえたようです。
あわせて、経営上の「オプション」としても意味がある投資であることも、説明したかったところですが、時間切れでした。

・「特許と標準化は、バリューチェーン上の位置取り争いの手段である」

この辺は、小川先生が度々論じておられるので割愛します。技術系学生や、MBA系の学生さんには、興味のあるところだと思います。

・「排他権と”相対的知財力”」

排他権とゲーム理論、の組み合わせで論じることが出来ます。今回、時間が割けなかったので、続きはまた来年やりたいと思います。

・「特許は、技術の普及のツールである」

Xeroxの複写機特許の開放等、イノベーション絡みで”さわり”だけ、お話ししました。興味がある人は是非、「クアルコム」に関する特別講義を!


ざっと見ても、「知的財産」の世界は、技術、経営、法律、経済、金融学、会計、マーケティング等、様々な領域と密接に関連していることが、わかります。





講義終了後、熱心に質問を投げかけてくれた学生さんも、「知的財産の仕事の広がりと、その魅力」を感じてくれていたみたいで、今後が楽しみです。


欧米の特許弁護士には「法学博士と医学博士です」のような、ダブルディグリーの強者も多く、個人的には「非常に刺激的な人材がひしめき合っている」業界だと、仕事を通じて常々感じます。


今回興味を持ってくれた学生さんには、今からしっかり勉強して、世界に羽ばたいてほしいという期待を込めて、弊社知財教育教材の「無料モニター受講生」を公募し、提供することにしました。


早くも、応募してくれた学生さんがいるとのこと。



テスト期間終了後、夏休みもしっかり勉強してね。


では!



※ 注) と言っても、「知財と発明」について、紹介するという点は同じです。さらに、「討議を通じて、多様な意見を踏まえ、自分なりの結論を出す」このと訓練の場、という意味では、全く同じです。

2014年7月4日金曜日

発明塾京都第187回開催報告と、次週のイベント告知

今回は、7月12日の「発想法セミナー」で取り上げる題材を用いた、演習を中心に進めました。立命館大学の「発明」講義でも取り上げているトピックですが、今回は、塾生さんのファシリテーションで、「僕は受講生になって」参加しました。


気づいたことは、

「ファシリテーションの重要性」

でしょうか。「発明のプロセス」を、よどみなく制御することが、ファシリテーターの仕事です。


12日までに、今回の反省点を整理して「より盛り上がる」セミナーを、開催して欲しいですね。


さて、告知続きになりますが、7月10日(木)16:30-京都大学全学共通科目「起業と事業創造」で、「知財戦略」の講義を行います。

タイトルは、


「知財」で 事業をレバレッジせよ!

です。当日配布するレジュメの抜粋を、以下添付します。パワポスライド配布は、立命と同様に、廃止します。


「たったこれだけ」の事を知っていれば、
あとは演繹的、論理的に考えることで、
正しい知財戦略を、立案することが可能です


当日紹介予定の参考文献も、ここに挙げておきましょう。

【知財・発明に関するもの】(●は平易なもの)
 「キヤノン特許部隊」丸島●
 「オープン&クローズ戦略」「国際標準化と事業戦略」いずれも、小川 
 「知的財産戦略」丸島 
 「 21世紀の挑戦者 クアルコムの野望」稲川●
 「発明家に学ぶ発想戦略」I.シュワルツ●

【経営・経済に関するもの】 
 「ものづくり経営学」藤本●
 「現代経営学入門」藤村・洞口(法政大学) 
 「ゲームの理論と経済行動」ノイマン 
 「道具としての金融工学」藤田●

それでは皆さん、当日よろしく!